見出し画像

#93 悪魔のプール・瀑布の滝壺落下まで1m@ザンビア・リビングストン

2001年10月11日

寝坊したので朝食抜きでチェックアウトして、急いでバスターミナルへ行ったが慌て損だった。リビングストン行きのバスが満員となり、ルサカを出発したのは9時過ぎ。車内は冷房が効きすぎて、体が冷えてお腹が痛くなった。バスの休憩までじっと我慢して野糞でスッキリ。長旅の試練をへて、便意への耐性が強まったと実感した。

夕方16時過ぎにジンバブエ国境近くの町、リビングストンに到着。安宿「JOLLY BOYS」に投宿した。夕食後、バルコニーでお茶を飲んでいると、ルサカの宿で挨拶だけしたベルギーのお爺さんと再会した。彼がエジプトからスーダンへと抜けた話を始めて、ハッと思い出した。

3ヶ月前、ビザ取得で訪れたカイロのスーダン大使館で一緒だったのだ。本当は彼と一緒の船でスーダンに向かうはずだったが、こちらの出発が一週間遅れてしまった。

夕食後、世界を旅するスウェーデンの可愛い女の子ミーヤと彼女のボディガードとして体よく使われているアイルランド人の学生スティーヴ、西村さんと一緒に地元向けのバーへ繰り出した。

店内はアフリカのダンス音楽が大音量でかかり、地元の黒人たちで賑わい熱気ムンムン。僕らも混じって狭いフロアで瓶ビール片手に踊った。すると、何人もの派手なザンビア人の女の子が入れ代わり立ち代わり、肌が触れんばかりに積極的にセクシーなダンスで迫ってきた。こちらも酔いが回っていたので際どく踊って楽しかったが、後で冷静に考えれば彼らは売春婦だったのだろう。

深夜まで遊んだので翌日も寝坊。リビングストンにもう1泊することにして、アフリカで四番目に長いザンベジ川にある世界三大瀑布の一つ、世界遺産のヴィクトリアの滝へ向かった。

画像1

南部アフリカ観光における最大の見所の一つでもあるこの滝は、雨季になると水量が増加して、立ち昇る水煙が遥か彼方からも見えるという。今は乾季で若干迫力に欠けたが、それでも、滝は縦長という概念を超える巨大な横長の滝であり、108mの高さの絶壁が1.7kmも続き、地球の割れ目に轟々と水が流れ落ちていく様は圧巻だった。10$の入場料は決して高くない。世界で一つだけの景色に見とれていたら、手に持っていたパイを狙うヒヒの群れに取り囲まれて焦った。

画像2

「乾季でないと行けない場所があるよ」と現地ガイドが教えてくれて、滝の上流へと向かった。川幅は1.5kmもあってとても広いが、先程の荒々しい轟音とは無縁の穏やかな世界。浅い流れの水音も心地良く、木々の緑と小鳥のさえずりは日本の春を彷彿とさせた。膝まで水に浸かりながら、慎重に川を渡って中洲へ向かうこと30分。更に水着に着替えて欧米人観光客とともに泳ぎながら下流へ進むと、人呼んで「悪魔のプール」に着いた。

画像3

そこはヴィクトリアの滝へ落ち込む直前、滝の上。足を浮かせると流れに体を持っていかれて、滝壺に落ちそうになるので気が抜けない。岩に掴まり、そーっと首を伸ばせば、断崖絶壁がすぐそこにあり、108m下まで見下ろせてしまう物凄い絶景だった。最初に訪れた滝の見学場所にも、手すりなどなく、その気になればいつでも落ちることが出来る状態だったが、この国の安全に対する価値観の緩さは実に甚だしい。

一緒にいた欧米人のおじさんはドイツから来たパイプオルガン職人で、横浜の海岸教会で彼のパイプオルガンが使われているという。後日、親切に一緒に撮った写真とオルガンの資料を日本に送ってくれた。

翌日、ザンベジ川に架かる鉄橋を渡りジンバブエへ入国。この国境は世界有数の絶景である。緑色の川が遥か下に見える鉄橋の真ん中では、バンジージャンプが行われていた。高所恐怖症なので、金を払って怖いことするなんて信じられない。

ヴィクトリアの滝をジンバブエ側からも滝を見に行った。昨日泳いだ悪魔のプールに入っている人たちを対岸から見て唖然とした。こちらから見ていると、崖のすぐ側の危険な場所まで行くなんて正気の沙汰とは思えず、自分も昨日そこにいたのが信じられなかった。

(旅はつづく・・・アフリカ縦断終了まであと62日)
------------------------------------------

いつも御拝読ありがとうございます。面白かったら「スキ」ボタン、フォローをお願いします!次回は2021年10月15日更新予定、『#94 シェラトンビュッフェ300円・ハイパーインフレのグルメ天国@ジンバブエ・ハラレ 』です。お楽しみに。

気に入っていただけたらサポートもしていただけると、更新の励みになります。どうぞよろしくお願いいたします。