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#91 51時間耐久サファリトレイン@タンザニア・ダル・エス・サラーム~ザンビア・カピリムポシ

2001年10月5日

ダル・エス・サラームで、エジプトのカイロで仲良くしていた西村さんとナイロビ以来2度目の再会。彼と日本人カップルの4人でタンザン鉄道に乗り、隣国のザンビアまで移動することになった。

朝食を済ませて鉄道駅へ到着すると、駅舎は中国でよく見た四角い無機質なデザイン。それもそのはず、この全長約1860kmの国際鉄道は中国の支援で敷設されたのだ。2等車の6人用コンパートメントはインドの寝台列車と同様に、座席の背もたれを跳ね上げると3段ベッドに変身する仕組み。2等車は欧米人旅行者が多く、3等車は現地人で一杯だった。

9時46分、ほぼ定刻に出発したことに驚いた。48時間で到着すると駅員が教えてくれたがここはアフリカ。もちろん信用していない。ダル・エス・サラーム市街を離れると、既に見飽きたサバンナの景色が続いた。出発早々、駅でもない場所でいきなり停車。「象の群れが横切るのを待っているのかもね!」なんて冗談を言いあったが、先が思いやられた。各駅停車で20分~30分置きに停車するし、車内が暑くてダルいと、みんな愚痴をこぼしてばかり。

ところが、車窓から見える広大なサバンナに、長い首をしたキリンの姿が目に飛び込んできて状況は一変した。いきなり退屈な列車がサファリトレインに変身したのだった!流れていく景色にみんな釘付け。日差しを避けて木陰で休むキリンは大きな大人から子供まで目撃できて大喜び。トコトコと小走りするイボイノシシ、ガゼルの群れ、シマウマ、ヌー、2頭の象も見ることができた。同室となったスイス人2人組はカバだ!と叫んだ。

お腹が空いてきたお昼時、駅に止まると売り子達が近づいてきた。一度逃すと戻ってこないので、窓から首を突き出して、焦るように買い物。売り物ははジャガイモのサモサ、茹で卵、チキン、とうもろこし、トマト、塩バナナ、ビニール袋に入ったトマトスープぶっかけご飯など。さっきまで外を凝視していたのに、食べ物を手に入れたら動物のことなどそっちのけ。やはり列車の一番の楽しみは食事だった。昼下がりからビールを飲んで最高の贅沢気分。

日が暮れると、ホタルが飛んでいるのが見えた。人工の明かりが皆無なので星空も綺麗である。暗闇の中、伝統的な焼畑農業で野焼きする火の明かりが浮かび上がり、窓から灰が飛び込んできた。夜は冷え込み、寝袋に包まって寝台ベッドに横たわった。

翌日、たっぷり寝て9時過ぎに目覚めた。停車駅で茶色い蒸しパンを持った売り子が、買おうか迷っているうちにさっさと3等車に行ってしまった。僕らも彼を追いかけて、車内を通り抜けて3等車へ。沢山の手が売り子に伸びていて競争だった。そこで、パン欲しさに先に金を渡そうとしたら、黒人の太ったおばちゃんが「商品とお釣りを貰うまで払っちゃダメよ!」と手で制止。アフリカの商習慣の鉄則を教えてくれた。

今日は動物も見られず、乾燥した大地に木がまばらな風景に変化も無く、退屈な一日となった。お昼時に止まった駅では、売り子たちが頭に載せたバケツには生のジャガイモと玉ねぎしか入っておらず、「調理してから持ってきてくれよ」と皆で憤った。仕方なく、残り物のパンを4人で分けて、サトウキビをかじって空腹を紛らわせた。

午後、いつの間にか国境を越えて、ザンビア側の駅に長時間停車。ビールを飲んで暇つぶし。日が暮れて夕食時の停車で、食べ物を持った売り子が登場!チキンとご飯の入ったサモサを入手してビールと共に堪能した。

3日目の13時、3時間遅れで終着駅ニュー・カピリ・ムポシに到着。駅前には首都ルサカ行きのバスが大型から小型まで多数待ち構えており、客引きたちがうるさかった。一番早く着くだろうと見込んで大型バスに乗ったが、期待は外れてノロノロ運転。次々と他のバスに追い越されて、2時間の予定が4時間後やっとルサカ到着。宿で2泊3日の長旅完了の祝杯を上げた。

(旅はつづく・・・アフリカ縦断終了まであと68日)
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