見出し画像

調べない力

『呪術廻戦』を見ておりまして。
(いわゆる「ネタバレ」が無いように書いているつもりですが、気になる方はご遠慮ください。)


Amazon プライムに入っているため、Prime Videoは色々と見放題。お世話になっています。

ある日偶然、僕のAmazonのページに流れてきた『呪術廻戦』。コンビニやスーパーなど多くの場所でコラボレーション商品を目にする機会があり、どんな感じかと1話目をちょろっと見てみたのが始まりでした。

まあ、ハマりました。作画の迫力、おしゃれな音楽、日本文化を感じる言語。続きが気になる気になる。これまでPrime Videoでアニメはほとんど見ることがなかったのですが、劇場版の『呪術廻戦0』まで楽しみ、最近やっと最新回に追い付きました。連載やコミックなどは読んでいないため、アニメ版の視聴だけでここまで来ています。

しるるゆうぐん

さて、ある時、陀艮(だごん)というキャラが出てきました。タコみたいな敵です。いやはや、これがまためちゃんこ強い。
おお、どうなるんじゃこりゃ……と思いながら見ていると、この陀艮がさらに大技を繰り出しました。


「しるるゆうぐん!!」



ん……???


しるる……?

出会ったことのない響き。

しるる。

とんでもなく強い大技の名前に、

しるる。

汁が滴る一品料理のような響き。

しるる。

美味しそう。


呪術廻戦ですが、登場人物たちが発する言葉の中には、日本古来の言葉がもとになっているようなものもあるため、ぱっと漢字が頭に浮かばないことがあります。アニメは字幕なしで見ていますからね。コミックなどで読んだら、また違ったのかもしれません。


で、調べてみました

困った時はGoogleに。「しるるゆうぐん」なんて漢字はキーボードで変換されませんが、検索窓にはしっかり出てきます。

ほうほう、こういう文字なのか、しるる。
全く美味しそうじゃない。
汁が滴るとかそう言う感じは微塵もありません。

Googleの検索結果には呪術廻戦のキャラクターや技などを解説しているサイトさんが出てきたので、それも見てみました。陀艮というキャラやこの技の解説も、ふむふむと読み進めました。
そこまでは、よかったんです。そこまでは。

調べたサイトさんには、「ネタバレがあります」と親切丁寧に書いてくださっていました。陀艮の回はもう見ていたので、その結末も知っていた自分。だから、「ネタバレ」については何も気にしていませんでした。


そう、陀艮については。


おっ、あのキャラも載っているじゃない

当然ですが、漫画の連載はアニメ版よりずっと先に進んでいます。
このサイトさんは漫画をもとに書いていたため、僕が見ていたアニメの回よりも遥か先の情報が載っています。それぞれのキャラクターが「この後どうなっていくのか」も書かれているわけです。

で、開いちゃったんですね、気に入っているキャラのページを。何の迷いもなく。
そして見てしまったんです。「この後どうなっていくのか」の事実を。
内容はそれこそネタバレになってしまうので書きませんが、自分にとっては非常にインパクト(というかショック)のあるものでした。


えっ、うそ……

そう思いながら、反射的に閉じたブラウザ。command + Q!
「事実」を知ってしまったことに対して、自分でもよく分からない「閉じる」という行為。ささやかな抵抗だったのでしょうか。
ブラウザを閉じたからといって「事実」が変わるわけでもなく、でも閉じたから変わっていてくれ、間違いだったと言ってくれ、という意味の分からない願い。

そして、出来上がってしまうのですね。「どうなるか知っているのに、アニメはまだこれから」という状態が。せっかく「ネタバレがあります」「ネタバレ注意」って書いてくださっていたのに。

「なんで見ちまったんだ……!」という後悔、画像として強烈にこびりついた「この後どうなっていくのか」の文章。「見てしまった」という過去は変えられないのに、「事実」が待つ未来にも進みたくない。夜に一人で何をやっているんだという、しょうもない姿です。


今は何でも調べられる時代だから

調べれば大体の“正解”みたいなものが手に入る時代だからこそ、情報に立ち入らない「調べない力」(うまい言い方が見つからないのですが)も大事なんじゃないだろうか、といつも思っています。
これ以上立ち行ったらまずいかなと、一度止まることのできる感覚みたいなものです。
調べちゃった自分が言うと全く説得力がないのですが。

世界情勢から芸能人の方々の噂話、映画や漫画のレビュー。SNSの言葉や画像。気になることを気になるままに調べていたら、どうにもマイナスな情報も目にしてしまいます。
そしてそういう情報ほど、先が気になったり、中身を知りたくなったりすることが多い印象があります。で、情報に振り回される。

もしかすると、一直線に情報を調べていく時の方が、逆に大事な情報や注意を見落とす、忘れる、ということが多いのかもしれません。
知りたくて調べていった時でも、目にしたくない情報に行き当たってしまうことはあります。今回の自分は「知りたい」と思ってどんどん調べていたため、「ネタバレ注意」の文字を見ていたことが頭から抜けてしまっていました。いや、「ネタバレ注意」の言葉を甘く考えていたのだとも言えるのでしょう。

一旦立ち止まれること、といつも意識していたのですが、言うは易く行うは難し……。身に染みました。


で、この後、『呪術廻戦』は

見ます。

「先を知っている」というじくじくした気持ちは自己責任。いや、先を知っているから、気持ちを整理しながら見ることができるかもしれません(という言い訳)。
今後も毎週の楽しみとして見ていきます。

もう、調べないぞ……!調べたいけど^^;