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【訪問看護の採用戦略】リファラル採用(知人紹介制度)のメリットとデメリット
訪問看護の事業運営において、「採用」は最も重要な課題の一つです。
質の高い人材を、適切なタイミングで確保したいと切望する一方、採用には多大なコストがかかることもあり、経営者を悩ませる種でもあります。
その中で、リファラル採用(リファーラル採用)はコストを抑えて人材を確保できる手法であり、近年は実施している企業も増加傾向となっています。
今回は、訪問看護経営者である私の経験をもとに、リファラル採用について詳しく掘り下げていきたいと思います。
リファラル採用とは
リファラル採用とは、スタッフが持つネットワークを利用して人材を採用する手法のことです。
分かりやすくいうと、すでに働いているスタッフが紹介者となり、知人を会社に紹介する採用手法です。
採用に至った際には、紹介をしたスタッフに金銭的対価を設けている企業もあります。
リファラル採用はどのくらいの企業で実施されている?
「リファラル採用の実施状況に関する企業規模・業界別 統計レポート」(TalentX)によると、2018年調査では41.7%だった「実施している」という回答が、2024年版調査では62.0%となり、5年間で20.3ポイント増加したことがわかりました。
また、約75%の企業は少なからず1名以上のリファラル採用実績があること分かっております。
しかし、この数値はすべての企業を対象にしたものであり、訪問看護の業態に限っていえば、もっと低くなるのではと思っております。
リファラル採用における最大のメリットはコスト削減
このように、リファラル採用を実施する企業は年々増加傾向を示しています。
ではなぜ、リファラル採用を実施する企業が増えているのか、リファラル採用のメリットを抑えておきましょう。
企業それぞれにメリットを見出して導入しているかと思いますが、リファラル採用における最大のメリットは「採用コストの削減」です。
一般的に、訪問看護の採用手法としては、以下のようなものがあります。
人材紹介会社:費用は100万円前後
スカウト型求人(ジョ○メ○レー):看護師60万円、セラピスト25万円
SNS関連(広告ありorなし):0〜数十万円(投稿コストは発生)
HP・LP関連:0〜数百万円(開発・維持・運用コスト)
企業風土やエリアにもよると思いますが、東京では1人あたり40-50万円、中核都市で35-45万円、地方で25-35万円が相場かと予想をしております。
その中、リファラル採用はあくまでもスタッフの紹介という形式なので、極論コスト0で人材を確保することも可能なのです。
100万前後かかるかもしれない採用コストを、ほとんど0に近づけられるのは最大のメリットといえるでしょう。
リファラル採用のデメリット
しかし、リファラル採用にはデメリットもあると考えています。
実際、私は『常勤スタッフ紹介で一括20万円支給』『常勤スタッフ紹介で月3万円12ヶ月支給』というリファラル採用を導入している会社に関わっていたこともありますが、特に初期段階は効果的に感じていても、長期的な視点で見るといくつかの課題が発生してくることがあります。
私の経験則の中で感じた、リファラル採用の主なデメリットは以下の3点です。
金銭目的の紹介になってしまう
リファラル採用の導入当初は社員から多くの紹介が出て、カンフル剤としての役割を感じることもあるでしょう。
しかし、時間が経ってくると形骸化して温度感の高い一部の社員もしくはお金が欲しい社員のどちらかしか紹介が無くなってしまいました。
リファラル採用に金銭的インセンティブを紐付けると、金銭目的で紹介するスタッフが現れ、紹介される人材の質が低下することもあるのです。
組織マネジメントの難化
リーダーや管理職が、元々の職場でやりやすいスタッフ(言うこと聞いて楽など)を紹介してくるケースが散見されはじめ、面接時に「あの人の紹介だから」と、なし崩し的な判断をした経験があります。その結果、組織内のバランスが崩れ、マネジメントが難しくなってしまったことがありました。
エンゲージメントの低下
紹介した側は『一緒に働きたい&お金が貰える』という金銭的なバイアスが生じるため、不採用にするとエンゲージメントが低下するという悪循環に陥る可能性があります。
リファラル採用を成功させるコツ【えん訪問看護ステーションの事例】
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このように、リファラル採用にはデメリットも付随していることを理解する必要がありますが、とはいえ採用コストを削減できるという点は非常に魅力的です。
事実、私が経営する「えん訪問看護ステーション」でもリファラル採用を積極的に実施しています。
しかし、金銭的なメリットは用意していません。
そんな中、記事投稿現在では約60名のスタッフを採用していますが、リファラル採用が3割を占めており、HP・SNS採用が6割、その他1割という形で進んでます(リファラル採用が5割を超えていた時期もあります)。
弊社の事業展開が出来ている要因の一つに、採用が比較的上手くいっているということが挙げられますが、リファラル採用が多くの割合を占めているのです。
ではなぜ、金銭的なメリットを用意していないにも関わらず、リファラル採用が上手くできているのか。
この理由は、大きく以下の2つに分けられると考えています。
自発的に紹介したくなるような環境づくり
金銭的なメリットを用意していなくても、リファラル採用が上手くいっている1番の理由が「自発的に紹介したくなるような環境づくり」だと考えています。
スタッフが「一緒に働きたい」と感じる職場環境が整っていれば、自分が大切な人を呼びたいというのも至極当然の流れかと思います。
そのため、リファラル採用は金銭的な対価よりも、スタッフの会社への満足度が強く影響すると思っています。
採用費削減のメリットを伝える
経営をしていれば、採用費を削減することのメリットは痛いほど分かるはずです。
しかし、意外と働いているスタッフはこの部分を理解できていないことが多いです。
そのため、採用費という販管費コストを圧縮することが自分たちへのメリットをいう理解を伝えていくことが必要です。
例えば、採用費が少なくなることでその分の利益が生じる、そうすれば賞与が出やすい、というビジネスの構図を伝えていきます。
そのような教育を施していけば、スタッフの協力を得やすい環境を作り出すことができると考えています。
もし、リファラル採用に金銭的対価を紐付けたい場合は
ご紹介したように、弊社は金銭的対価なしにリファラル採用を実施していますが、心情として対価を出したいという経営者もいることでしょう。
その場合は「育成手当」のように、1年間(12ヶ月)で払うのは一つのアイデアとして良いかもしれません。
紹介したスタッフを気にかけてくれるし、退職時のリスクにも対応しやすいかと思います。
具体的な金額は、年間12万円(MAX24万円)くらいが変な色眼鏡が発生せず良いラインかなという経験則からの印象です。
まとめ
リファラル採用にはメリットとデメリットがありますが、私が思ういま現在のリファラル採用に関する結論は以下の通りです。
『会社に満足度が高く一緒に働きたい人は対価の有無関係なく紹介したい』
『高額な対価を用意するとそれに見合う人を選んでしまう(そもそもスタッフには価値付けが難しいため結局尻込み)。もしくは目先のお金が欲しいスタッフが目先のお金欲しさに適当な人を紹介する』
社員紹介のリファラル採用は、金銭的な対価よりスタッフの会社への満足度が影響すると思っています。
その予算を満足度が高い会社創りに回していくと好循環になって利益も残りやすいため、より賞与や処遇も上げやすくなるでしょう。
すべてがいきなり出来る話ではないですが、足元の環境を見直して、事業所の採用戦略を考え直してみるのをオススメします。
えん訪問看護ステーションでは、一緒に働いてくれる仲間を随時応募しています!(会社HP:えん訪問看護ステーショングループ)
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「訪問看護に興味がある」「初めてでも大丈夫かな?」という方は、ご相談だけでも構いませんので、ぜひご連絡ください!
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記事編集・監修:和田祥平
理学療法士。作家。Webライター。病院・訪問看護ステーションで勤務をする傍ら、介護・リハビリに関する記事の執筆・監修、書籍の出版等を行なっている。最新著書:介護のお世話にならない リハビリの専門家が教える 足腰の教科書(メディカルパブリッシャー)
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