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#カタノリ 読書会開催レポ 『考える技術・書く技術』第Ⅱ部 考える技術

#カタノリとは

たいていの人生の悩みや仕事のコツは偉大な先人たちが多くの苦労の末にたどり着いた知恵を残してくれているものです。

現代に生きる私たちは、素手で戦う必要はなく、偉大な先人たちが残してくれた知恵をうまく使っていきたいものです。なにせ、現代の問題はただでさえ複雑化している上に、加速するスピードの中で、問題を解決していかなくてはならないのですから。

先人の知恵をベースに、自分の置かれた環境で成果を残すことを「巨人の肩の上に乗る」と表現したりします。

アイザック・ニュートンは同じ科学者であるロバート・フックへ当てた手紙の中で、「私がかなたを見渡せたのだとしたら、それはひとえに巨人の肩の上に乗っていたからです。(If I have seen further it is by standing on the shoulders of Giants.)」と書いています。
私たちは巨人の肩の上に乗る小人のようなものだとシャルトルのベルナールはよく言った。私たちが彼らよりもよく、また遠くまでを見ることができるのは、私たち自身に優れた視力があるからでもなく、ほかの優れた身体的特徴があるからでもなく、ただ彼らの巨大さによって私たちが高く引き上げられているからなのだと。
ー イギリスの作家・哲学者 ソールズベリーのヨハネス著「メタロギコン」より

そんな生き方、働き方を多くの人に知ってもらいたくて発信しています。
ハッシュタグは #カタノリ です。


読書会第3回はハードスキル篇

第2回のソフトスキル篇に対して、今回はハードスキル篇と題して、名著、ロジカルシンキング・ライティングの元祖、バーバラ・ミント著『考える技術・書く技術 問題解決力を伸ばすピラミッド原則』を題材に開催しました。

この本もド定番なので、名著だとは知ってるけど、そこそこ厚めな上に、Amazonのレビューを見ると、翻訳がヒドイとか分かりにくいとか、散々な言われようなので、たいてい断念しますねw

ですが、この本のエッセンスを理解するのは、とても大事、というよりも、個人的にめちゃくちゃ役に立ってます
例えば、SCQA のフレームワークは、自分の考えがまとまらなかったり、煮詰まったりしたときには、毎度使ってます。
この手のスキルが身につくと、以前つよつよなコンサル上司が「3日悩んでも答えが出なかったことに対して、5分で答えが出せるようになる」と豪語していたのも、それなりに理解できます(やや盛ってるとは思いますがw)。

そんなわけで、多くの人に理解してほしいし、実践してほしいので、読書会の題材に選びました。

SCQA とは
Situation (状況) - Complication (複雑化) ー Question (疑問) - Answer (答え) 
個人的にこのフレームワークでもっとも大事だと思うのは「答え」を書くところ。


著者のバックグラウンドと、この本の成り立ち

著者のバーバラ・ミント(Barbara Minto)さんは、ハーバードビジネススクール(HBS)1963卒で、マッキンゼーに初の女性コンサルタントとして入社された方なので、まぁすこぶる学業優秀な方だということがわかります。
ちなみに、当時は、割と若いうちに(20代中盤とかで)ビジネススクールに行ってMBAを修了するのが主流です。
そしてハーバード大学が女性にMBAを授与しはじめて間もない時代でもあります。

マッキンゼーには1963年から1973年まで在籍され、主にロンドンオフィスに在籍していたようで(クリーブランドオフィス入社なのでアメリカ人だと思いますが)、ヨーロッパスタッフのレポート作成指導責任者を務められました。

そんなキャリアよりも、彼女を表するのに一番わかりやすいのは「MECE を発明した人」でしょう。

MECEとは?
Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive の略。
Mutually Exclusive=相互に排他的(ダブりがない)であり、かつ Collectively Exhaustive=集めると全体を表す(漏れがない)。つまり、構造として、漏れなく、ダブりもない、という意味。

そんな彼女がマッキンゼー内のライティングマニュアルとして作成した "Skillful Writing through Structured Thinking" をベースに、1985年に初版、1996年に新版として世に出たのが、この『新版 考える技術・書く技術  問題解決力を伸ばすピラミッド原則』になります(日本語訳は旧版が1995年、新版が1999年発売)。

つまり、この本に書かれている考え方のオリジナルは35年前に体系化されたもの、ということです。

トリビア1:彼女はMECEを「ミーシー」ではなく「ミース」と発音するそうです。
トリビア2:彼女は定量分析はそこまで得意じゃなかったようです。

(出典:McKinsey Alumni Center "Barbara Minto: "MECE: I invented it, so I get to say how to pronounce it"


お題は「第Ⅱ部 考える技術(第6章 ロジックの順序に従う、第7章 グループ内の考えを要約する)」

今回、なぜこの第Ⅱ部をお題に設定したかというと、第Ⅰ部の書く技術は、アウトプットたるレポート・文書ってこういうモノで、文書を作成するにはこうするんだよ、という内容ですが、その前提になるのがこの「考える技術」だからです。

“The pyramid is a tool to help you find out what you think.”
このピラミッド(手法)は、あなたが何を考えているかを明らかにしてくれます。
“The great value of the technique is that it forces you to pull out of your head information that you weren’t aware was there, and then helps you to develop and shape it until the thinking is crystal clear.”
この技術が素晴らしいのは、自分でも気づいていなかった頭の中にある情報を強制的に引き出した上で、自分の考えが超クリアになるまで発展させてくれるところです。
(出典:McKinsey Alumni Center "Barbara Minto: "MECE: I invented it, so I get to say how to pronounce it"、翻訳は萩原)
ペンをとる前には自分で気づかなかったような新しい考えを発見することもできるはずです。(p. 164)

自分の頭の中をクリスタルクリアにしない限りは、そもそもわかりやすい文書を作成できません。
そして、たいていの場合、文書(アウトプット)がイケてない理由は、文書作成術の問題ではなく、そもそも考えがクリアじゃないから と感じることが多々あります(自分を振り返ってみても)。


読書会の様子をチラ見せ

今の課題にうまくハマったようで何よりでした。


15年前に学んでいたので、ある程度は身についていて、自然に使えていると思いきや、そうでもなかったことに気づいた、という意見。
私もまったく同感です。

このお題から学べることはロジカルシンキングもさることながら、「人に伝える方法」だよねと。うんうん。

そして、例文がわかりにくいよねと。うんうん(笑)
無意識のうちに、例文は読み飛ばして、本文だけで理解を進めていたことに気づく参加者たち(笑)

そんなゆるやかな空気が、とまみさんの鋭い質問によって、一変しました。

Q. そもそも、この「考える技術」ってコンサルタントならいざ知らず、全ビジネスパーソンがMustでマスターすべきものなのか?

これは確かに深い問いです。

皆さんとの議論から、3つのポイントが出てきました。

1. マスターしてた方が無駄が少なく済む。コミュニケーションでは、相手の負荷を下げたほうが、お互いに無駄なことにリソースを使わなくてすむ。

2. マスターしてると自分が得をする。「考える技術」は自分の考えを進化させる技術なので、良いアイディアを生み出せるようになる。

3. こういった整理(ピラミッド構造化)は得意な人に任せるという手もある。コンサルタントを雇う価値はそこにあるとも言える。会社で全員がマスターすべきという共通認識をつくるのは意外と難しい。


恒例の参考書籍・関連資料リスト

今回も参加者の皆さんから多くの関連書籍が紹介されましたので、リストにしておきます。
ホント皆さん、引き出し多い。


グロービス学び放題:https://hodai.globis.co.jp/


おまけ

前回の参加者からお勧めされた『独学大全』、買っちゃいました。
厚さがヤベえ


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