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外部人材のうまい活用法とは?実際に使ってもらった人材の立場から考えてみた

私の仕事は、コンサルタントだったりアドバイザーだったり業務委託者だったりメンターだったり、クライアントさんや状況によって変わります。

2023年に外部人材である私(萩原)をうまく使っていただいた例をご紹介することで、皆さんがフリーランスや副業人材といった外部人材(含む私)を活用する際のヒントが導き出せればと思います。


1. 会社やチームに客観性をもたらす

外部人材を使うことで得られるメリットのひとつが、「外の視点」を取り入れることだと思います。

チームが少人数だったり、経験の幅が限られていると、気づかないうちに視野が狭くなったり、視点が固定的になりがちです。

私のような外部人材を使うことで、世の中一般的にはどうやってるのかを知り、それを踏まえて自社ではどうすべきかを議論しやすくなります。

実例として、こんなことをやらせてもらいました。

外の視点を取り入れると有効な、外部人材の活用ケース
・マネジメントミーティングで「そもそもそれでいいのか?」と問いかける
・顧客の視点が欠けている、不足していることを指摘する
・チームの議論やアクションのクセを指摘する
・チーム合宿の企画とファシリテーション

単なる壁打ちにとどまらず、中身の議論に入りこみ、問いを投げかけたり、ファシリテーションしたりしてます。これまでの経験を引き出せるような場に入れてもらえると、買い手にとってお買い得になる感覚があります。


2. 会社やチームに規律を持ち込む

1から派生して「中の人だけだと甘くなりがち」な場面に、外部人材を置くことで緊張感や「ちゃんとやる空気」を醸成しやすくなります。

こちらも実例を挙げてみます。

中の人だけだと甘くなりがちな場面での外部人材活用ケース
・経営会議のアジェンダに重要だけど緊急じゃないトピックを持ち込む
・定例会議をちゃんと運営する
・重要だけど緊急じゃないことにマイルストーンを設定する
・アクションアイテムを管理する

といったことをやりました。なお、これらをやる際はその前段で、目的や頻度、出席者といった定例会議の構成を設計しておき、定例会議を運営しながら戦略に沿って日々のビジネスが進むよう担保していくというイメージになります。

スタートアップやベンチャー企業など変化が激しいチームでは、放っておいても話すことはたくさんあるので、定例会議のアジェンダ設定があいまいでも、思いついたトピックだけでいくらでも時間を使えてしまいます。しかし、それではただでさえ限られたリソース(経営メンバーの時間と脳ミソ)を無駄に浪費することになります。

戦略や方針を言語化する。マイルストーンを設定する。順調に進んでいるのか、進んでいない場合は軌道修正するのか、それとも期限をズラして継続するのか。

こういった「ちょっと厳しくなりそうな議論」をテーブルに乗せるのに、外部人材を使うのは有効だと思います。

また、厳しい議論から出てくるアクションアイテムの可視化も、中の人だけだと甘くなりがちです(自省も込めて)。たいていは、アクションの中身が大変だったり、未知・未経験の仕事だったり、リソースが足りないことが明らかだったりするので、できることなら細かく詰めたくないんですよね。「マジでそれやらないといけないのか…….」という気持ちになるので。

だからこそ、「今の議論を踏まえると、こういうアクションが必要そうですね」「これはだれがやるのがよさそうですか?」「いつごろまでにやりましょうか?」と淡々と詰めていく役割を、私のような外部人材に担わせる方が角が立ちません(たぶん)。

このカテゴリーの支援を通じて、2023年はクライアントさんが大きくピボットを決断する場面に何度か立ち会うことになりました。立ち会うだけでなく、会社の生死をわけるような決断のファシリテーションをすることも。

緊張感ある議論を繰り返し、最後はマネジメントの総意として決断するのはツラく大変ですが、スタートアップには欠かせないプロセスだと実感しました。

余談ですが、クライアントの1社である I’mbesideyou さんでは、こういう議論を全部英語でやりました(そこそこ大変だった)。

また、こういった経営アジェンダに直結するアクションを管理するためのプロジェクト管理・タスク管理の仕組みを導入することも多かったです。これは次の3にも関連してきます。


3. はじめての業務について勘所を得る

「外部人材を使う」というと、自社にない専門性を外部から調達するパターンが思い浮かびやすいですね。いわゆる「プロ人材の活用」は、このパターンだと思います(4で説明します)。

一方で、実は「とりあえず当たりをつける、ゼロから平均値まで持っていく必要がある」という状況でも、外部人材は活用できますし、むしろこういうときの方が使い勝手が良いんじゃないかと思います。

少人数チームでは、「その業務をだれもやったことがない」という状況がたくさん発生します。未経験の業務については「筋の良い初手」が打てるかどうかのインパクトがきわめて大きい。

そこで私のような「いろいろ経験してきた人」をうまく活用できると、「ずいぶん経ってから、初手から間違えてたことに気づく」という悲惨な状況を回避しやすくなります。

実際に、私をうまく活用してるクライアントさんは、かなり幅広いトピックを持ち込んでご相談いただいてるなという印象です。

実例を紹介します。

とりあえず当たりをつけることが必要な状況での外部人材活用ケース
・タスク管理をはじめとしたチームでの仕事の進め方
・報告業務の見直し
・はじめての採用
・経営管理の仕組み
・業務のシステム化

こうしたことについて、ポイントをお伝えするだけでなく、進め方の細かな相談に乗ったりしました。また、もう少し大きなレベル感だと、こんな例もあります。

もう少し大きな、当たりをつけたいときの活用ケース
・事業戦略立案のポイント
・バリュープロポジションの定義の仕方
・ビジネスモデルに応じた組織設計のポイント
・新規事業の企画やマーケティング支援

こういったことを知るためにビザスクなどを使うのはハードル高いと感じるでしょうし(もちろん使うのもアリです)、実状に沿ったアドバイスという意味では、身近に外部アドバイザーがいると便利なんだと思います。


4. 個別業務の支援を受ける

いわゆる「業務委託」と言われる内容ですね。なお、「自社に知見がない」「自社でできない」から業務委託する、というのは大変危険な発想です。

自社に知見がないのに、どうやって委託先の良し悪しを見分けるのでしょうか?自社でできないのに、どうやって委託先に業務を依頼・指示できるのでしょうか?

まず、先述の3(はじめての業務について勘所を得る)のような形で全体感や勘所を知る。そしてヘタでも粗くてもいいから自分たちでやってみる。それをやってから業務委託するのと、それ無しで業務委託するのとでは、まるで違います。

ちなみに、私自身も以前は「知見がないから外部に」という発想でした。が、いきなり外部に発注しようとしてこっぴどく怒られた経験がありw、考えを改めました。ぜひ参考にしてください。

私の実例としても、3(はじめての業務について勘所を得る)についてアドバイスだけでは足りない場合は、実務の支援に入ることになります。具体的には、こういう形になります。

個別業務の支援としての外部人材活用ケース
・定義するところから支援したバリュープロポジションにもとづくLPの制作
・事例記事やイベントレポートなどのコンテンツ制作
・顧客インサイトを得るための顧客インタビュー
・リード管理の仕組み構築と運用
・経営管理ダッシュボードの構築
・業務のシステム化によるデータ活用

このカテゴリーでは2022年に引き続き、GainsightさんKEENさん にお世話になりました。変わったところでは、大手日本企業の新規事業立ち上げ人材を発掘・育成するプログラムのお手伝い、という案件もありました。


5. どんな専門家が必要か、その専門家に何を聞けばいいのかを知る

先述の3(はじめての業務について勘所を得る)の派生形として、勘所を知った上で、どんな人を頼るべきか(どんな経験や専門性に注目すべきか)、その専門家に何を聞けばいいかを知るために外部人材を使う、というパターンもあります。

実際、私にご相談いただいても直接的にお伝えできること、支援できることには限りがある。でも、どんな人を探すべきかはアドバイスできる、という状況はたびたび発生しました。

具体例としては、「CFO的な人を探しているが、いい人を知らないか?」というご相談がありました。こういうときに、ざっくりと「外部CFO」というキーワードで探すのは効率がよくありません。

何を助けてほしいのか、どんな観点でのアドバイスを求めているのかを具体化していくことで、「メガではない銀行から融資を引っ張りたい。その観点でアドバイスと支援が欲しい」とニーズが明確化できました。

そこで、「それならエクイティ調達の経験者を探しても意味ないし、コントローラー的な経験だけの人でも意味ないので、元銀行員(できれば融資担当)で独立してアドバイザーやってる人を探すといいですよ」とお伝えすることで最適な専門家にたどり着けた、ということがありました。

他にも、ベンチャーキャピタリスト、システム開発の専門家、管理会計の専門家からアドバイスをもらえる機会があるが、何を聞けばいいか?といったご相談をいただいたことも。今の状況ならこんなことを聞くのが良さそう、こんな人を紹介してもらうのが良さそう、といったことをお伝えしてます。


6. 1on1でお悩み相談する

最後は定番のこれですね。1on1の中身は千差万別で、ゴリゴリ仕事についての相談なこともあれば、キャリアに関することも。経営者であれば、社内では相談しにくい話題(人の問題、組織の問題など)をご相談いただくこともあります。

実務的なご相談に乗るケースでは、上司が忙しすぎて相談しにくいとか、相談しても上司も未経験なのであまり期待できないという場合は、コーチングではなく、ティーチングをすることもあります。上司の方にとっても私のような外部人材を配置することが解決策のひとつになってるケースもありそうです。

また、何に困ってるかもわからないけど、とにかく困ってるんです!とか、最近ずっとモヤっとしてるんです!みたいな状況でも、外の人間に話すことで言語化できたり、対話を通じて課題がハッキリするということが多々ありました。

知り合いに相談するようなトピックでも、アドバイザー契約があることで「ちょっと今日いいですか!」みたいな急な相談が(気兼ねなく)できるというメリットもあります。


まとめると

私にご依頼いただいた内容だけでも、外部人材を活用するパターンにはこの6つがありました。

  1. 会社やチームに客観性をもたらす

  2. 会社やチームに規律をもたらす

  3. はじめての業務について勘所を得る

  4. 個別業務の支援を受ける

  5. どんな専門家が必要か、その専門家に何を聞けばいいのかを知る

  6. 1on1でお悩み相談する

外部人材を活用するシーンは、4の「個別業務を支援してもらう業務委託」だけじゃないよ、と思って書き始めましたが、他にもまだまだありそうですね。

特に3、5、6は、忙しくしていると悩みを抱えたまま、あっという間に数ヶ月が無駄に過ぎ去っていきがち。悩み(どうすればいいのか?なぜ進まないのか?)を、課題(この分野の知見がない)やタスク(こんな人を見つける)に転換するために、外部人材を活用する手もあると知っておくのは大事そうです。

あらためて、身近に外部支援者がいるかどうかで、会社やチームの動きは大きく変わるんだなと実感しています。どんなに視座が高くても、支援してくれる人が近くにいないと、理想を実現するのはむずかしいものです。

他のパターンを実践している方はコメントやTwitterで教えてください。副業が普及し、フリーランスも増え、業務委託をする機会もますます増えていきそうな2024年に向け、皆さんのヒントになれば幸いです!

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