"タスク管理マニア"の経営アドバイザーが、タスクの期日が決められず、優先順位づけも全然できなかった25年前の話をします
新入社員、新天地で仕事をはじめた方は怒涛の1週間を終えた頃でしょうか。もし「思ったよりもうまくできなかった」と感じても大丈夫ですよ。まだ何もはじまっちゃいません。いまはまだ、練習試合前のウォームアップみたいなもんです。
初々しい人たちの姿を見ていたら、仕事ができなかった若手時代、入社2年目だったか3年目だったか、そのころの話をふと思い出したので、書いてみます。
25年前のことになります。今となってはタスク管理マスターかのように、えらそうにクライアントにアドバイスしてますが、昔はうまく仕事の「期限」を切れず、優先順位づけが全然うまくできなかった、という話です。
社会人28年目に突入した私から、新しい仕事をはじめたばかりの方への励ましと、仕事をうまく進めるヒントになればと思って書きました。
なんでも自分でやらなきゃと思いこんでいた
若いころの私は、とにかく意識と理想ばっかり高くって、やる気はあるんだけど、仕事はちっともうまく進められませんでした。
たいして仕事ができるワケでもないのに、なんでも自分でやらなきゃと思いこんで、使えないオジさんにキレてた。常にタスクに追われてて、でも終わらなくて、いつも残業してた。そして、それを頑張ってる証拠だと思ってたし、正しいことだと思ってました。
でも、しょせん2-3年目の若造です。やる気と高い意識はあっても、やるべきタスクの多さと自分の力不足で、結局周りに迷惑掛けてました。
仕事が進まないなら、もっとインプットしなきゃと苦手な早起きをして、勉強したり、仕事の役に立ちそうな本や記事を読んだり。するとドンドン知識が増え、頭でっかちになり、余計に「あれもできてない、やらなきゃ。これもできてない、やらなきゃ」と焦るばかりでした。
やらなきゃいけない仕事がまだある、と飲み会のあと人知れず職場に戻って仕事するはずが、結局デスクで寝落ちしてしまったところを夜遅くに課長に発見され、タクシー券渡されて帰ったことも。
「何してんだ、まだやってんのか?」「はい、まだやることあって…」「もういいから、今日はコレで帰れ!」
そんな自分にガッカリしたけど、それでも自分の力不足を認めたくない気持ちがまだあった気がします。
期日を入れるのが怖かった
そんな(ひどい)状況を見かねてサポートに入ってくれた大先輩が状況を見て、最初に放ったひと言は今でも鮮明に覚えています。
「はぎ、タスク洗い出したのはいいけど、期日入れような」
当時の私はタスクに期日を入れられなかったんですよね。いや、なんなら、わりと最近まで期日を決めたり、優先順位をつけるのは苦手でした。
やるべき仕事を洗い出すことはできる。下手に知識はあるから、あれもやった方がいい、これもやった方がいいとリストアップしていける。でも、それらをすべてやってたら、どう考えてもプロジェクトは大幅に遅延する。しかも、個々のタスクの見積もりも出せない。やったことないんだから。
いま思うと、期日を入れるのが怖かったんでしょうね。期日を入れるってことは、やると決めること。〇〇までに終わらせるってコミットすること。
「もし、それまでに終わらせることができなかったら...」
そう思うと怖かったんだと思います。大先輩からのひと言はそんな気持ちを見透かされたようでグサっと来ましたね。だから今でもよく覚えてる(苦笑)
今ならわかります。当時の自分にこう言いたい。
仕事ができない自分という現実と向き合う強さがなかった
結局は、理想の「シゴデキな自分」にはほど遠い、仕事ができない自分という現実と向き合う強さがなかったんですよね。
理想を高く持つのはいいけど、現実を直視するのも大事です。現実を直視してはじめて、改善と成長へと向かうことができます。
さて、昔話はこれくらいにして、当時の私のように未経験の仕事に取り組んでいる人、タスクがいっぱいで優先順位づけに苦労している人へのアドバイスをお伝えします。
新しい仕事、未経験の仕事をうまく進められない人へのアドバイス
お手本を見る。これは未経験者にとって最高の学習方法です。周りにその仕事ができそうな人がいたら、とにかくその人に「あなたならどうやるか」を聞いたり見せてもらうのが一番です。
むずかしいのは、周りに経験者がいない、できる人がいないときですよね。私の若いころは、そういった経験談は本や記事などの2次情報を参考にするしかありませんでした。でも、今は経験者がみずから発信していたり、経験者同士が集まるコミュニティがあったりするので、直接当事者、経験者に聞くことができます。
本や記事は(ある程度)整理、体系化されているので、全体像を捉えるには効率が良いです。ただし、一見すると理解しやすいのですが、実はその過程で抜け落ちたり、加工されていることも多々あるので注意が必要。
一方で、当事者からの話は体系化されてないかもしれませんが、具体的なユースケースと現実解を知ることができます。最初からうまくいったのか、うまくいかなかったときにどうしたのか。そういった現実解を知ることで、自分の仕事に活かすことができます。
自分が未経験だと、周りの先輩たちはみんな仕事ができる人に見えちゃうかもしれません。でも、若手に任される仕事って、意外と「先輩もやったことがないこと」だったりします。
そんなとき、大企業だと「社内のどこかに知見があるはず」と思って探しまわるんですが、たいていの日本の大企業って「言語化・形式知化が下手なスモールチームの集合体」なので、全然見つけられません。むしろ、社外に助けを求めた方が早かったりします。2024年の今なら、お手本探しに社外の経験者、コミュニティを活用するのが得策です。
優先順位がつけられない、期日を決められない人へのアドバイス
これはもう決めるしかないんですが(笑)、コツは仮でいいので一旦決めてみることです。「とりあえず仮置きで」という気持ちで設定してみる。明日、今週金曜、来週金曜。いつでもいいので、ひとまず置いてみる。
期日を仮置きしてみると、たくさんのことが見えてきます。
今日|今週のタスク多すぎじゃね?
仮なんで、とりあえずやってみましょう。するとイヤでもその日の終わり、週の終わりに振り返ることになります。
ここまでは終わったけど、まだこれだけ残っている。そこで、残ったタスクの期日を再設定します。
遅れたことを記録するために過去期日のままにしておくという手法もあるのですが、それは別のところに書いておき、次に目指す期日を再設定するのが大事です(チームで仕事をしている場合は、勝手に変えずにちゃんと関係者に連絡しましょうね)
そして、またやってみる。すると、また終わらないタスクがある。また再設定し、やってみる。また終わってないタスクがある。
これを何度か繰り返してみると、きっと気づくと思います。その残ってるタスクの優先順位が低かったことに。自分が1日で、1週間でできるタスクのボリュームに。
期日を決めると勝手に優先順位がつくんです。なぜなら、必然的に優先順位が低いタスクはあと回しにされるから。
期日を決めると自分の実力(スキルとキャパシティ)と言う現実を直視できます。なぜなら、期日内にできなかったタスクが明らかになるから。
さらに、タスクと期日を可視化すると、関係者とのコミュニケーションもやりやすくなります。リストを見せながら、「今日は|今週は他にこれだけやることがあるので、こっちまで手が回りません」と言えばわかりやすいですし、関係者との調整もやりやすいし、経験者からのアドバイスももらいやすくなります。
現実を直視してはじめて、改善と成長へと向かうことができます。ぜひ、仮でもいいので、いったん期日を決めてみてください。
理想を持つことは行動力の源泉
若いときは、理想はあるが、現実が見えてない。年齢を重ねると、現実はイヤというほど見えるが、理想が掲げられない。むずかしいもんですね。
でも、どっちがむずかしいと言ったら、理想を掲げる方がむずかしい。理想を持てるのは若いときの特権です。
理想を持つことは行動力の源泉。その力を活かすためにも、ひとりで抱え込まず、助けを求めてください。お手本を探しに、社外にも目を広げてください。そして、仮置きでいいので期日を設定するクセをつけてみてください。
求められてもないアドバイスをしちゃうのはマイルド老害だって聞いた気がするけど、いつかどこかでだれかの助けになることを願って。
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