東大生が大学入試共通テストに反対する超根本的な理由

センター試験を人類でもっとも極めてきた東大生は入試改革に反対しています。

2020年度の入試から、センター試験ではなく、大学入試共通テストが実施されます。これは、従来のマーク式から記述式に変えていく、という話でした。センター試験ではうまく測れなかった「思考力・判断力・表現力」を重視するために、今後記述式の問題を導入するそうです。2020年度の入試ではまだ記述式は導入されないようですね。

皆さんはこのような入試制度の改革についてどう思いますか?

僕を含め、多くの東大生は反対です。センター試験の高得点層を占める、センター試験を知り尽くした東大生が反対しているんです。そのため、二つ返事で賛成するべき制度変更ではないはずです。

今回はそんな大学入試共通テストに反対する超根本的な理由をまとめていきたいと思います。


入試制度改革にメリットはあるのか

政府が主導して、多額の資金を投じて入試制度を変えようとしているのだから、それなりのメリットはあるはずです。僕なりに入試制度改革のメリットを考えてみました。

マーク式のセンター試験では、「消去法」という、受験において超便利な手法を全問題で利用することができます。つまり、知識が曖昧でも、答えが選べてしまう場合があります。その分、記述式を導入することで「本質を理解しているか」を確実に問うことができるでしょう。

これが僕の思う、記述式を導入するメリットです。

しかし、センター試験の選択肢はよくできていているので、本質を理解できていないと正解できない問題が多いです。つまり、「思考力・判断力・表現力」を兼ね備えた人の方が、センター試験で正解を選べる確率が高くなります。

結局、相対評価の受験において、センター試験でも「思考力・判断力・表現力」を測ることができている、ということになります。


入試制度改革のデメリット

それでは、入試制度改革のデメリットをみていきましょう。

デメリットその1

そもそも優秀な人は試験の形式を選ばない

大学入試は「要領が良い・地頭が良い・努力ができる」人を全受験生から選び出す行事だと思っています。そして、そのような人は試験形式がどうであれ、その形式に合わせて試験対策をして、高得点をとります。つまり、入試をわざわざ記述式にしなくても、優秀な人を見つけ出すことはできるんです。

そのため、大人数を対象とした試験では、もっとも費用を抑えられるマークシート式が優れているんですね。

大切なのは試験形式の変更ではありません。試験への対策をできる環境を平等に整えることなんです。

デメリットその2

変更手続きや採点時のコストが莫大

センター試験から大学入試共通テストに変更するために、一体いくらの税金が使われたのでしょうか。変更しなければ一切使われないはずだった費用です。

さらに、マーク形式ではないため、機械で採点ができず、莫大な人件費がかかってしまいます。おそらく大学生バイトで補うのでしょうが、採点の質も怪しいです。お金稼ぎのために採点している大学生に、受験生の一生の命運を分ける試験を採点させて良いのでしょうか。

デメリットその3

二次試験や面接で解決できる問題を共通テストで解決しようとしてしまった

共通テストで受験生のすべての能力を測るとすること自体、無理があります。そのために今まで二次試験や面接がありました。外部のテスト(英検やTOICなど)もそのために活用されていました。そこで解決できる問題を、今さら共通テストで解決しようとするのは、まさに「車輪の再開発」で、無駄でしかありません。

以上が、僕が大学入試の改革に反対する理由です。ご精読ありがとうございました。

まとめ

大学入試改革のメリットは共通テストで評価できる能力が多くなること。

大学入試改革のデメリットは、意味がない、費用がかかる、他のやり方がある。

今後、大学入試が記述式に変わるとすれば、AIの発展により機械で記述問題の採点ができるようになった時でしょうね。


#2020年代の未来予想図

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