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USオープン 女子決勝 大坂なおみVSアザレンカ マッチレビュー

今日の試合

今日取り上げる試合はUSオープン女子決勝の大坂なおみVSビクトリア・アザレンカになります。
対戦成績は大坂から2勝1敗になります。前哨戦のW&Sオープンの決勝でも対戦予定でしたが、この時は大坂の試合前の棄権によりプレーは行っていません。
今、ご覧になっている皆さんは勿論結果はご存じだと思いますので、振り返りとして読んでいただけると幸いです。

試合のハイライトは以下になります。


1st SET

大坂サーブからスタート。第1ゲームいきなりアザレンカのブレークからスタート。アザレンカは全てサービスキープ、第5、7ゲームでもブレークに成功し6-1で1st SETを先取します。

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1st SETはアザレンカが完全に大坂のパワーに対応し、ラリーを支配します。アザレンカはベースライン付近のポジションから下がらず、早いタイミングでストロークを打ち分けて、大坂を左右に振ります。

大坂と対戦する多くの選手は大坂のパワーへの対応に苦戦するのですがアザレンカは序盤から完璧に対応します。アザレンカは2回戦でサバレンカ、準決勝でセレナと大坂と並ぶ女子テニス界屈指のハードヒッターと戦ってきた事がパワーへの対応に役立ったということも可能性として考えられます。

アザレンカのファーストサービスの確率が94%という数字からアザレンカはサービスゲームにおいて、確率を下げてフリーポイントを狙いにいくのではなく、ファーストサービスを入れて、その後のラリーで勝負していくプランだったと考えられます。

大坂はそれに対してパワーで対抗しようとするものの、ミスを重ねてしまいます。アンフォースドエラーでは大坂13アザレンカ3と大きな差が出ました。

1ポイントあたりの平均走行距離が大坂16.3mアザレンカ14.9mでした。
大坂の準決勝までの平均は10.3mでした。
大坂はアザレンカにラリーで振り回され、走らされていたことがわかります。

2nd SET


アザレンカサーブからスタート。
1st SET に続き第2ゲームでアザレンカがブレーク。
しかし、第3ゲームで直ぐに大坂がブレークバック。
3-3の第7ゲーム、5-3の第9ゲームも大坂がブレークし、6-3で2nd SETを奪い返す。

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0-2で迎えた第3ゲームで大坂は強打を抑え、ペースを落としてのラリー戦にシフトします。40-40からの2ポイントを我慢強くラリーをして奪い、ブレークに成功します。このゲームが結果的にはこの試合のターニングポイントとなりました。このゲームを落とすと0-3となり、かなり厳しい状況となるところで大坂は戦い方をシフトしました。

ペースを落とし、ラリーをすることで、大坂がペースを取り戻します。段々と大坂の強打が入りだします。ラリーの中で、チャンスが来るとパワーのあるボールでアザレンカを押し、ラリーを支配するポイントが増えます。ウィナー16アンフォースドエラー5というデータからも、大坂がミスを減らしつつ、攻めてポイントを取っていたことが分かります。

また、大坂はリターンゲームにおいて、2ndサービスのみならず、1stサービスに対しても攻撃的なリターンを打つことでリターンからラリーの主導権を奪います。アザレンカの1stサービスポイント獲得率48%2ndサービスポイント獲得率44%とアザレンカはサービスゲームでなかなかポイントを取ることが出来ませんでした。アザレンカの1st SETでのポイント獲得率は1stサービス75%2ndサービス100%(1ポイントのみ)であり、2nd SETは大きく下がっていました。

そして、大坂がラリーを支配し始めることで、アザレンカにも大きなプレッシャーがかかります。プレッシャーを受けることでミスが増えます。アンフォースドエラーは大坂5、アザレンカ10でありました。特に3-3で迎えたアザレンカのサービスゲームで、アザレンカは3球目のショットのミスを3度と1つのダブルフォルトでブレークを許しています。大坂が主導権を握ることで、アザレンカはより厳しいところを狙った結果ミスをしたと考えられます。

Final SET


大坂サーブからスタート。2-1の第4ゲームで先にブレークし、次のサービスゲームでは0-40からキープし4-1と一歩リードを広げる。しかし、アザレンカがサービスキープ、ブレークを重ね、3-4と追い上げる。ここで、大坂が次の第8ゲームをブレークし、次のサービスゲームをキープし、1-6 6-3 6-3で勝利し、優勝しました。

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2nd SETと同様に大坂が主導権を握り試合が進みます。
しかし、大坂から4-1で迎えた、アザレンカのサービスゲームでアザレンカが複数回にわたりブレークポイントを凌ぎ、キープすることで勢いを取り戻し、続くゲームをブレークし、3-4と追い上げます。
しかし、続くゲームにおいて大坂は我慢強くラリー戦を行い、チャンスを攻めるプレーを徹底し、ブレークに成功します。特に30-30ではしぶとくラリーで深いボールを打ち続けたことで得たポイントでした。

Final SETでもリターンゲームで大坂が攻撃的なリターンを仕掛けて、アザレンカにプレッシャーをかけ続けます。その結果、アザレンカの1stサービスの確率は62%と1st SETの94%から大きく下がります。アザレンカとしてはサービスゲームにおいてラリーを支配するポイントが大きく減ってしまったのが敗因の1つといえるでしょう。特にFinal SETでは流れを取り戻しかけていた第8ゲームをブレークされてしまったのが致命的となっていました。

また、1ポイント辺りの走行距離が大坂11.7mアザレンカ11.5mと大きく下がり、両者の差はかなり縮まりました。1st SETよりも大坂がラリーを支配するポイントが増え、同時にラリーの短いポイントも増えたということが分かります。


まとめ

この試合の全体でのスタッツは以下になります。

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この決勝での大坂の勝利の大きな要因は修正力、適応力にあったと考えられます。
アザレンカに完全に試合を支配されながらも、大坂自身がプレーを変更、修正することでアザレンカのプレーに適応し、自身のレベルも試合の中で上げていきました。

この修正力、適応力には多くのメディアで報じられているフィセッテコーチの戦術、中村、茂木トレーナーのトレーニング、ケアが大きく寄与していると個人的に感じました。

この後のツアーはクレーシーズンと移ります。大坂があまり得意とは言えないサーフェスですが、このUSオープンでみせた高い修正力、適応力を発揮できれば、去年とは異なったクレーシーズンになると考えております。
クレーシーズンの戦いにも注目です!

今回はここまでになります。
ありがとうございました。



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