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発話が難しい生徒とのやり取りの工夫

頭では言語を理解し、返したい言葉も頭にあるのに、うまく言葉にできない児童生徒がいます。そうした子供達も身振りや手振り、書字を活用しながら相手に伝えたいことを伝えようとしています。子供によってはうまくノンバーバルコミュニケーションを活用しています。

一方で、伝わらない経験から自己肯定感が低下して、伝える意欲を失っている子供達もいます。

そういった子供たちとのやりとりにおいても、発話によるコミュニケーションに拘らず、さまざまなやり取り手段を活用しながら、考えや感じていること、意思を引き出させる工夫が必要です。
意欲が低下している子供も伝わった経験の積み重ねによって自己肯定感が高まり人との対話への意欲が喚起されると考えます。

したがって、教師側がさまざまな引き出し方の知恵を持ち合わせておくことが重要です。
試行錯誤していく中で、児童生徒の認知レベルも実態把握が可能になります。


◯質問の仕方も子供の実態に応じて使い分ける

まずは、回答しやすい問い方が有効だとかんじています。オープンクエスチョンだと自由度が高く、より具体的に相手に自分の伝えたいことを伝えられる反面、表現方法によっては難易度が高いこともあります。

書字ができれば、ある程度オープンに聞くことも可能でしょう。
特別支援学校にいる生徒たちの多くは書字が苦手な子供たちも多くいます。

また、伝えたい気持ちを言語化することも苦手なケースがあります。

ですから、子供たちのレベルに応じてクローズドとオープンクエスチョンのいい塩梅を探ります。この塩梅がマッチしていないと子供の内面にある気持ちや意思を引き出しきれません。

◯その児童生徒が表現しやすい手段を探す

体や表情、書字、ICT機器をうまく使い合わせることで、子供達が表現しやすい手段を見つけ出すことが大切です。誰しも自己表現したいという欲求があるはずです。

自分自身にとって、伝えやすい手段を見つけることができると自己表現する意欲も喚起されます。

そうなれば、人との対話も積極的になり人とのコミュニケーションが増えます。

人との関わりの中で他者視点に触れることは自己理解促進につながります。従って思春期におけるアイデンティティの確立に大いに役立ちます。
人との関わりが少ないと自己理解も促進されず、生きづらいまま人生を過ごしていくことになると思います。

◯具体的な工夫

書字で表現できるように常に付箋を持っており、自分が書いて提示したり子供に書かせたりしています。

教員の手をYES or NOに見立てて、クローズドクエスチョンすることもあります。
すると、こちらの指示を理解していることの確認ができるとともに生徒の意思表示にも活用できます。

特別支援学校では手話を習う機会も多く、今後の課題としては手話の活用です。難聴の生徒も数名いることから手話を習得することで対応できる幅が広がると実感しています。
教師として様々なやり取り手段を身につけておくことは、児童生徒の可能性を引き出す上において重要なことだと感じています。

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