オペラ「Medusa」に寄せて

今回、私はペルセウス役として蒔田裕也さん作曲のオペラ「Medusa」に出演致します。
実は蒔田さんと私は同い年でして面白いご縁を頂けたなと思っております。

さて、今回の記事では初演ということもありますし、どんなオペラなのかということを完全にペルセウス側の意見としてネタバレのない程度に書いていきたいと思います。
ご興味のある方は是非会場までお越しくださいませ。ご連絡待っています!

・ギリシア神話が元になっているオペラ

オペラ「Medusa」の主人公はタイトル通りメドゥーサというゴルゴンの女神です。髪の毛が蛇となっており、視線が合った者を石にさせる力を持っています。
今回のオペラではメドゥーサの登場〜討伐までが描かれます。台本は全て日本語です。

と書くとシンプルですが、実際は音楽展開も激しくかなりドラマチックな作品です。そしてシリアスなストーリーの中でも美しい旋律が出現する場面や激しい和音の連続が続く場面もあり、聞いていて飽きない作品と思います。

ストーリーとしてこれはギリシア神話全体に言えることですが、神々が人間臭すぎる点です。ここが魅力です。様々な思惑や嫉妬、怒り、悲しみが交差する場面もあり楽しめます。
オペラのオチは会場まで取っておきましょう。

ちなみに日本語作品なのですが、メドゥーサのドゥはduと深めのウ母音での発音を心がけております。これはちょっとした小話です。笑

・キャスティング

今回のキャスティングはこんな感じ

このメンバーに加えて、ダンサーさんの打越麗子さんが加わります。打越さんは洗足音楽大学の先生もされている方でボディテクニックや舞台の使い方など参考になることが多く、語彙力はないですがすげぇな〜という感想を抱いております。今回ダンサーさんかなり役回りとして物語の重要な部分を担います。

さて、今回のキャスティングは作曲家の蒔田さんがキャスティングしたメンバーとなっております。名古屋拠点のメンバー、東京拠点のメンバーそれぞれ半分くらいの比率です。
全員での立ち稽古が始まってあぁーこのキャスティングはぴったりやわ!と思うことが多く、私もキャスティングしてもらえて光栄に思います。

実は蒔田さんの作品を歌うのは今回で4度目、4度目ですが初の対面での実演となります。それまでは実は全てリモートの演奏でした。
✳︎これまでに歌った作品一覧
・モノオペラ「みえないあした」

・歌曲「千年の桜」

・歌曲「思考のスケッチ」

上記の演奏動画は全て私が歌っており、ピアノ伴奏は蒔田裕也さんとなっております。
ちなみに思考のスケッチの作詞は私自身で無調(十二音技法)の部分を取り入れてほしいという願いを詩にも込めてあり、それを聞き入れて頂いた作品です。

メドゥーサに関してはコロナ禍になった頃にペルセウスの場面の譜面を見させて頂いており、今回実演できることになったので本当に嬉しく思っております。やっと蒔田さんと今回対面で出会うことができました。喜びに満ち溢れております。

・ペルセウスについて

今回このためだけにこのシャツを買いました

さて、今回僕が演じるペルセウス、彼はゼウスとアルゴス王アクリシオスの娘ダナエの子。 自分の娘から生まれる子に殺されるだろうとの神託を受けたアクリシオスは,ダナエを青銅の部屋に閉じ込めておいたが,ゼウスが黄金の雨となって屋根から降り注ぎ,ダナエと交わってペルセウスが生まれたとされています。
これを知ったアクリシオスは、娘とその子を殺害しようとしますが実行できず、二人を箱に閉じこめて川に流しました。彼らはセリポス島に流れ着き、漁師ディクテュスによって救出され、セリポス島で生活することになります。その後、ディクテュスの兄でセリポス島の領主であるポリュデクテスがダナエに恋をし、邪魔になる息子ペルセウスを遠ざけるためにゴルゴンのメドゥーサの首を取ってくるように命じました。そしてペルセウスは神々の力を借りメドゥーサを討伐することに成功します。

と、まぁこのような神話があるのですが、今回のオペラではペルセウスの身の上はほとんど明かされることはありません。しかし、生まれた経緯や半神の人間ペルセウスを呼びメドゥーサを倒せば彼を英雄にすることができるということは会話に出現しています。
オペラ「メドゥーサ」では英雄になる前のペルセウスであるということがポイントになりますでしょうか。ただ彼は半神ですので通常の人間よりも力は強い人間です。今回の演出ではさながらジークフリートのような雰囲気もあるかもしれません。(余談:ジークフリートのSchmiedliederなど大好きですが、ほんといつか歌いたいです。)

なお、メドゥーサ討伐の後もペルセウスの物語は巨人アトラスとの戦い、アンドロメダと結婚、ディオニュソスとの戦いなど続いていきます。
そして死後はアンドロメダ、ペルセウスと共に星座となります。ちなみにヘラクレスはペルセウスの子孫です。
この辺りの話もオペラ化すると面白いかもしれません。オペラ「Perseus」とか続編で出たら喜びます。笑

さて、話を今回のオペラ「Medusa」に戻しましょう。ペルセウスは今回オペラの中において激しい音楽を歌う役の一人です。アリアもあり、哲学的なことを述べ、メドゥーサ討伐に向けた激しい音楽を歌っていきます。アリアがなかなかにカッコ良いので是非聴いて頂きたいと思っています。
またメドゥーサ討伐の場面などは激しい音楽でかなり激動感あるサウンドの中歌い、演技をします。緊張感もあり、楽しめると思います。

稽古での一枚、稽古内での笑いも大切にしております

小話ですが、個人的に今回、普段から筋トレをしていて良かったと思っております。以前の私はかなり細身で173cm 55kgという体型で、この体型でペルセウスを演じるのは無理があったと思います。
今の体型は173cm 70kgと増量に成功しかなり見た目も以前より大きくなったと思います。しかし肥満体型になるわけにはいかないので上手く調整しないといけません。
オペラをやるということは見た目にも気を使うことが必要です。なにより舞台ですから太るとは違いますが、良い意味で体型が大きくて損する事はありません。
と、今回普段のトレーニングにも感謝しているのでありました。
いくらでも小話は出ますが、何者かを殺害する役をやるのは今回で三度目になります。ダークなテノール道まっしぐらです。
これまで役柄的にナイフで殺害(カルメン)、落雷を発生させて殺害(龍王役実は大蛇)など色々やってきましたが、今回はまた新パターンでして新たな道具のスキルが増えそうです。舞台人として成長できればと思っております。

オペラ「Medusa」チケット予約頂いております。平日の夜ではありますが、皆様のご来場お待ちしております。

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