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芝居原案「「退化」にさようなら」(※全文掲載)これを角田光代ちゃんが小説にしてくれます!

 ※これは、僕の芝居原案の一つです。これを、小説家・角田光代ちゃんが小説にしてくれています。5年かけて一冊の本にしてくれるんです。本は、社団法人真色出版部「Avec la nature(邦訳:自然と一体)」で本にします。価格は未定。本屋には並びません。全てインターネット注文になります。

ここからです。

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小説化させる作家:角田光代ちゃん

(登場人物)

角田:24歳。派遣社員。独身。写真と文章で生計を立てようと思案中。

白井賢介:静岡県立大学大学院の工学部の学生。趣味は曲創り。ジャンルはテクノ。

静岡県立大学大学院教授・鈴木太郎侍仁郎(サムライジロウ)さん:静岡県立大学大学院工学部教授。

(粗筋):角田は、日中に写真を撮る為に、夜間に働いている。昼間は、洋服屋を中心に、写真を撮らせてくれる人を探し、バイク「BMW」に乗り、街中を出歩いている。

ある時、アートイベントで知り合った白井の賢介と、「横浜トリエンナーレ」に行ったりもした。そんな白井の賢介が角田の家に来た時だった。大学院で研究している話を聞いた。それは、失くし物が出た時に、失くし物の方から、在る場所を知らせてくれる技術だった。その話を聞かされて、角田はこう答えた。

 「そんな、人間の能力の退化を賛歌する技術を開発しているの?」

白井の賢介は、何も答える事が出来ず、逃げる様に角田のアパートから去って行った。  

 次の日、白井の賢介は、静大大学院の工学部に、退部届を出しに行った。その時の会話は、こんな感じだった。

静大大学院の工学部の教授、鈴木さん:「そんな事を誰に聴いたんだ?何処の教授だ?東大か?」

白井の賢介:「いえ、ただの派遣社員で、将来は、写真と文章で喰って行くと言っていました」

鈴木:「年齢は?」

白井:「確か、二十三と言っていました。僕より若く見えますが」

鈴木:「二十三?」

白井:「そう言っていました。僕は、東大に行って、角田さんの考えを超える物を発明したいと決心しました」

鈴木:「それはいいとして、何とか静大の教授になって貰えないか?」

賢介:「でも、僕は写真を撮って貰いましたが、今まで撮って貰った写真の中で、一番気に入っています」

鈴木:「見せてくれないか?」

賢介:「はい。いつもバッグに大事にしていますから」

鈴木:「こんなに写真も上手いのか?」

賢介:「そうです。なんせ、写真と文章で喰って行きたいと言っていますから」

鈴木:「だったら、何故浜松くんだり何かにいるんだ?」

賢介:「それは僕には判りません」

鈴木:「そう言う考えの持ち主何だな、その人は?」

賢介:「“その人”なんですね?」

鈴木:「そりゃあ、そうだろ。そんな見識の持ち主の方なんだから」

賢介:「とにかく、僕は東大に入り直します」

鈴木:「待て待て。僕は、「失くし物探し器」の開発を止める事にする」

賢介:「いんですか?」

鈴木:「いいも何もないよ、そんな見識の持ち主に否定されては」

賢介:「じゃあ、僕はこれで失礼します」

鈴木:「待て待て。そのお方の詳細をもっと教えてくれないか?」

賢介:「僕は、角田さんに挨拶せずに、今から東京にアパート探しに行きますから」

鈴木:「そんなに急に東京に行くのか?」

賢介:「そうです。「思い立ったら吉日」って言葉がありますから」

鈴木:「そうか。解った。じゃあ、気を付けて頑張れ」

賢介:「有難うございます。僕は、今からアパート探しに向かいます。今迄三年間、本当に有難うございました」(了)

#読書の秋2020

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