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【読書メーターまとめ】2023年4月に読んだ本

 新年度の始まり。職場も新たになった。4月初旬は読書の時間あまりとれなかったが、徐々にペースをつかんできた。
 もう一つ新しいことが。それは、Kindle Paperwhiteを購入したこと。今まで紙の本にこだわってきたが、意外とというかかなり良い。字が小さくて諦めていた本も読める。また本の置く場所に困っていたため、手が出なかった本も気軽に手が出せる。今月の最初の一冊目、安倍晋三 回顧録も、きっと紙の本だと購入していなかったかもしれない。
 そんな4月の読書を読書メーターで振り返りたい。

2023年4月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2394ページ

■安倍晋三 回顧録 (単行本)

読了日:04月02日 著者:安倍晋三

安倍さんの支持者でもアンチでもないが、今となっては貴重な記録であり、出版に携わった関係者に感謝。第1次政権の挫折への率直な反省。リアリズムに基づく中国へのスタンス、官僚評等は興味深い。首相は与党から倒される。総理大臣は、たたかれてたたかれてやっと形をなす「鋳造品」。日本人の面白いところは現状変更が嫌いだが一度変更されればその現状を受けいれる。等の格言も良い。トランプ、プーチン、習近平との彼しか知りえないエピソードや猛獣使いと言われた著者ならではの人物描写も面白い。なかでも小池百合子、ジョーカー説は秀逸。

■幸村を討て (単行本)

読了日:04月08日 著者:今村 翔吾

著者の本を初めて読んだが面白かった。謎の男・真田幸村はいったいどんな人だったのか?幸村個人ではなく真田家の闘いとして、複数の目線を通じ、その姿を多面的に描く。真田家と家康との因縁を、御屋形様・武田信玄の時代から書き起こす。表裏比興の者と言われた真田昌幸を上回るものとし信之を描き出し、その親子関係の機微に触れるが、描き方はユニークで面白い。個人的に好きなのは、後藤又兵衛と毛利勝永の章。毛利勝永が「勝永」を最後に名乗る所は感銘。人としての生き方は、各々異なる。何を重要と考えるか。それは戦国も今も一緒である。

■51のデータが明かす日本経済の構造 物価高・低賃金の根本原因 (PHP新書)

読了日:04月08日 著者:宮本 弘曉

前著「101のデータで読む~」とほぼ同様の内容であるが、より日本の雇用慣行に焦点を当てた内容である。日本の状況を「未熟な資本主義」とし、労働市場の流動化による労働生産性の向上を提唱する。退職所得税制や解雇基準の明確化などを提案。また制度のみならず、世界一学びの少ない日本の社会人への危機意識をあぶり出す。より付加価値の高い業種への転換。AIの進展によってその必要性は加速度的に増すであろう。一方、私の置かれている労働集約型産業の未来は?どんな姿を描くべきか?著者の論説はわかりやすく継続的に論考を追いかけたい。

■超訳 ニーチェの言葉 エッセンシャル版 (ディスカヴァークラシック文庫シリーズ)

読了日:04月10日 著者:

「ツァラトゥトラ~」を読む前のステップとして読む。気に入った箇所を折りながら読み進めるが、折り目だらけ。生きる力が湧いてくる。順不同に特に気に入った箇所をあげていく「学ぶ意志のある人は退屈を感じない」「目標にとらわれすぎて人生を失うな」「自分の生きた意見をもつ」「安定志向が人と組織を腐らせる」「喜び方がまだたりない」「自分の評判など気にするな」「疲れたらたっぷり眠れ」「この瞬間を楽しもう」「脱皮して生きていく」「切れ者でありながら鈍くさくあれ」「短気は人生を厄介なものにする」「絶えず進んでいく」

■暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ

読了日:04月21日 著者:堀川 惠子

素晴らしいノンフィクション。魅力的な人物のことを新たに知れた。著者は、主要な登場人物として「船舶の神」と言われた田尻昌次中将を選ぶ。軍人の枠に収まらない魅力的な人物である。暴力を排除し、合理的な思考力が重要とし数学を重視する陸軍幼年学校教諭時代の姿。そして、七了口奇襲戦での実行力。新たな技術開発への組織牽引力。ただ意見具申によって、日露戦争の勝利に酔い、兵站を軽視し、精神論に傾斜していく軍官僚組織から排除される。戦時に軍人ではない船員であるからこそ丸腰で保護されない不条理には涙を禁じ得なかった。


■般若心経入門-276文字が語る人生の知恵 (祥伝社新書183) (祥伝社新書 183)

読了日:04月29日 著者:松原 泰道

本書を読んだのは2回目。少しづつ読んだ。般若心経を幅広い視野で解説してくれる。否定の否定という考え方が響いた。さとりとは、煩悩や迷いがなくなった状態ではなく、それらが、静められ、制せられてバランスの取れた状態という話も。他に「色即是空 空即是色」のこころを茶道に汲み入れたのが「静寂」という言葉と続いて紹介される千宗旦の椿の話や正岡子規が「禅とは、平気で死んでゆくことだけを教えるのだと思っていたら、どのようなときでも精いっぱい生き抜いてゆけ、と教えていることがわかった」と言ったという話なども印象的であった。

■皇帝フリードリッヒ二世の生涯 下巻 (新潮文庫 し 12-103)

読了日:04月30日 著者:塩野 七生

著者はフリードリッヒの生き方を「自らの信念を持つ人間は、それに反することは死んでもやれない。それでもやれば『恥』になるからだ」と書く。フリードリッヒの宗教分離や法に基づく統治、人材登用の考え方に信念を感じる。フリードリッヒ亡き後の子孫の運命には厳しいものがあるが、著者はフリードリッヒを彼が好きだった鷹に例え「飛び立っていく鷹にとっては、勝者か敗者かなどということは、関係なくなっているのではないか。生ききったと言える人間にとっては、勝者も敗者も関係なくなるのに似て」と締める。なんとも爽やかな終わり方だ。

最後に:1か月の読書を振り返って

 2月から忙しい日々が続いており、まだ新しい仕事に慣れたとは言えないが、精神的に少し余裕ができたためか、読書の時間も戻りつつある。仕事の影響による心境の変化か、般若心経やニーチェの言葉などに惹かれる。他は、結構雑食であった。
 5月もいろいろな本に手をつけたい。

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