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ネット物販で南の島暮らし 7

 その夜、サンセットカフェにやってきたプーさんに写真を見せると

「おぉ〜良いねぇ〜まずは、こんな感じでオッケーよ。」

「ありがとうございます。…そうしたら、次は何をしたらいいですか?」

「う〜ん、なんだと思う?(笑)」

「え〜と、なんなんでしょうかねぇ…教えてくださいよぉ。」

「だ〜か〜ら〜自分で考えるのが大切なんだよぉ。(笑)自分で仮説を立ててみる!」

「…はいぃ。…う〜ん、ショップのサイトを作るのに次に必要なのは……ショップの名前とか、商品名とかですかねぇ。」

「そっかぁ、まだショップ名も決まってなかったんだぁ。(笑)そうだね。基本中の基本だねぇ。(笑)まずはショップ名つけようか。まぁ、ショップ名なんてものは智恵ちゃんが愛せる名前だったらそれで良いんだけどさ。ま、お勧めとしては、お客さんが覚えやすくて、ショップの世界観が伝わるような名前がいいよね。占いとかで見てもらってもいいと思うよ。(笑)まぁ、なんにせよ、これから智恵ちゃんが育てていく子供みたいな存在になるかもしれないんだから、慎重にね。」
 
…名前かぁ。確かに重要だよなぁ。
覚えやすくて、世界観が表現されているような名前…ショップの世界観?!
 
「あのぉ…ショップの世界観って、どんなものですか?」

「まぁ、難しく考えなくて良いんだけどさ、智恵ちゃんがこのショップというか、このビジネスを通して、どんな世界にしていきたいのか?ってこと。」

「どんな世界にしていきたいか?」

「そう。例えばさ、みんなに笑顔になってもらいたいとか、優しい気持ちになってもらいたいとかさ、まぁあんまり世界平和!みたいな壮大なものだと、智恵ちゃん自身にあまりリアリティが感じられなくなっちゃうかもなので、もうちょっと具体的なものの方がいいかもしれないけどね。多分さ、今回商品の撮影をしている時に、色々と考えたと思うんだよね。『この商品を買った人は、どんな風に喜んでくれるのかなぁ?』とかさ。それできっと、こんな風に喜んでもらえたら…みたいなことも想像したと思うんだよね。それが智恵ちゃんの理想の世界なわけじゃない?それが智恵ちゃんの世界観で、ショップの世界観にもなるんじゃないかな。」

「…私の理想…」

「そう、それをシンプルに、かつ印象に残って、覚えやすく!」

「あぁ…、また頭が破裂しそうですぅ…(泣)」

「意外とね、こういうの難しく考えない方が良かったりするよ。思いついたものをとりあえず二〇個くらい書き出してみるの。直感的に浮かんできたやつ。…で、それをまた最初から見直してみると、『どうも気になる』みたいな候補が二つ三つくらい残るんだよ。で、あとはその残ったものの中から、覚えやすいとか、インパクトがあるとかってちょっとロジカルに考えて絞り込んでいけば良いんだよ。まぁ、別に最初から直感で『これだっ!』っていうのでも良いけどね。」

「わかりました。また、考えてみます。」
 
 結局そのあとは、サンセットに集まってきた地元の人や、観光客の人たちとワイワイと楽しく飲み明かした。南の島の夜のバーなんかに集まる人は気さくな人ばかりでいつもかなり盛り上がる。私もひと仕事を終えた開放感で、結構はしゃいでしまった。(汗)

 翌日目覚めると、もう午前十時を過ぎていた。こんな背徳感に満ちた目覚めもまた心地良い。(笑)少々ぼーっとした頭で、顔を洗ってTシャツと短パンの下に水着を着込んでから、そのままビーチに向かった。

 もう正午に近づいてきた日差しはかなり強い。遠浅のビーチの波打ち際は、ぬるま湯の温泉状態になっていて、思わず何もせずにT シャツ&短パンのままジャブジャブと海に入って行った。

そのまま浅瀬で空を見上げるようにプカプカと浮かんでいると、体の中のネガティブなものが流れ出て、新たに海のエネルギーが流れ込んでくるような感覚に包まれる。
 
「ショップ名かぁ…。」

とりあえず、浮かんできたものを言葉にしてみる。

「…海のエネルギー…貝殻アクセサリー…海のジュエリー…マリンアクセ…海の恵み…シーシェル…島のなんとか…アイランドなんとか…島の風…波の音…波のパワー…ウミンチュアクセ……」
 
…覚えやすくて…世界観が伝わるような…麻由さんの作品のイメージ…お客さんにどんな気持ちになってもらいたいか?…私は、何を提供したいのか?…
 
 目を瞑ってプカプカと浮かんでいた私の頭に、石垣の空港を出た時のイメージが浮かんできた。あの湿気を含んだ優しい風に包み込まれた感覚。

…あぁ、私はあの優しさに包まれた安心感と、自由に解き放たれた開放感をみんなに感じて欲しいんだなぁ。
 
…アイランド・ブリーズ〜島風(しまかじ)…
ポンっと、この言葉が飛び出してきた。
 
『島のアクセサリー専門店 アイランド・ブリーズ〜島風(しまかじ)』
 
これで行こう!…また、私の中に小さな炎がポッと灯ったような感じがした。
 

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