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ネット物販で南の島暮らし 19

「まぁ、そういうやり方もあるけど、あまりオススメはしないんだよね。Amazonや楽天などに出店すると安売りショップのイメージがついちゃう可能性があるんだよね。値引き販売なんかしないような高級ブランドがAmazon店とか、楽天店とかって出店してないでしょ?公式の販売サイトは独自サイトのみっていうのが、ほとんどなんだよね。
 それにライバルにも見つかり易いし、すぐに他のショップと比較されちゃったりするからね。後はネットショップを複数持つと、在庫数の管理とかも大変になって来るんだよね。つまり、別々のショップで同じタイミングで同じ注文が入っちゃって、片方はすぐ発送できるけど片方は売り切れで『さぁ、どっちを優先する?』なんてことも、起きかねないんだよ。
 だから、どこでも販売されているような一般的な商品であればAmazonとか楽天とかを活用しても良いと思うんだけど、智恵ちゃんのショップのようなオリジナル商品を扱っているのならAmazonみたいな大手のプラットフォームを利用しなくても良いんじゃないかと思うんだ。」

「そうなんですね。」

「だから、ネットショップの数を増やすんじゃなくて、あえてアナログというか、リアルビジネスを活用するわけ。」

「リアルビジネス?」

「そう。普通にリアルなお店で販売しちゃうってこと。」

「えーっ!でも、お店を出店するようなお金ないですよ。」

「もちろん分かってるよ。(笑)それにそんなリスクの高いことはオススメしないから安心して。つまり、智恵ちゃんがお店を開くんじゃなくて、すでにお店を開いている人のところで売ってもらうって事。」

「あぁ、そういう事ですね。」

「そう。できれば卸販売という形がとれれば最高なんだけど、まだそれほど実績がないからねぇ、そういう時は『委託販売』がお願いできないか聞いてみるわけ。
 つまり、すでに何らかの店舗ビジネスをしているところに行って、商品を仕入れる必要はないのだけど、陳列だけさせてもらって、もし売れたら手数料として20%くらいを差し引いてこちらに入金してもらえないか?って交渉してみるの。
 それだったらお店側もリスクは無いし、余っているスペースがあるなら、そこを利用するだけで収入アップにもつながるわけじゃない?
 で、こちら側としても、『このショップで、実物をチェックできます』みたいにお店の宣伝もします!みたいなオファー(提案)をすると、相手のお店にとっても魅力的だと思わない?」

「そうですね。それだったら、喜んで置いてもらえそうですね。」

「それでもし、実際によく売れるなんて事が起きたら、委託販売だと20%の利益だけれど、卸販売でまとめてある程度仕入れてくれるなら、売価の50%O F Fで卸販売しますみたいなオファーをしてみるわけ。
 元々こちらは50%O F Fでも利益が残るような価格設定にしてあれば、利益率は下がるけれど、ある程度まとまった数の卸販売になるから、利益額はアップするわけよ。
 お店側だって、それまでの委託販売の実績があって、ある程度の売上予測が立つから仕入れ易いし、仕入れて販売すると利益率も増えるしで良い事づくめでしょ。そんな感じで卸販売の売り上げなんかも入ってくると、ビジネスもかなり安定して来るんだよね。」

「そっかぁ、卸販売ってのもできるんですね。」

「そう。智恵ちゃんに価格決定権があるわけ。智恵ちゃんがメーカーなわけ。うまくいけば全国から卸販売させて下さいなんて依頼も来る可能性があるわけよ。」

「…なんかワクワクしますね。」

「まぁ、でも委託販売は広告宣伝の一環だと思ってね。あまりそこでの売上は期待しないようにね。(笑)」

「え〜っ、なんでそこで落としちゃうんですかぁ。せっかくテンション上がったのにぃ…」

「ごめんごめん。(笑)いや期待させちゃって、あんまり結果に繋がらなかったらガッカリするでしょ?ビジネスなんて思い通りにいかない事の方が多いんだからさ。それに人によっても違うんだよ。僕がやってうまくいった事でも、智恵ちゃんがやったらうまくいかなかったなんて事も本当に良くあるんだよ。ただ、まぁ、最善を期待するっていうのも大事なんだけどね。(笑)」

「どっちなんですかぁ!(笑)」

「どっちでも良いんだよ。(笑)智恵ちゃんがしっくり来る方選んで。」

「…じゃあ、最善を期待しちゃいます。」

「(笑)了解!」

「…じゃあ、実際どんなお店に話を持っていけば良いんでしょうね?」

「まぁ、同じようなアクセサリーを置いている店に置いてもらえれば、それはそれでありがたいけど、同じようなアクセサリーを売っているようなお店だと敬遠される事もあるよね。
 でも、石垣島だとお土産屋さんとかなら、置いてくれるところもあるかもしれないし、あとは商品はバッティングしないんだけど、同じ顧客層が集まるようなお店でも良いんだよ。
 たとえば、女性向けのアクセサリーなら美容室とか、ヒーリングサロンみたいなところでも良いし、それこそこのサンセットカフェだって良いと思うよ。良いですよね紘子さん?」

 プーさんは、カフェにいて一緒に話を聞いていたオーナーの奥さんに話を振った。

「あぁ、あんまりスペースはないけど、この辺とか壁とかにかけても良いんですよね?」

 レジの側のスペースと空いている壁のスペースを紘子さんが指し示してくれると

「全然それでオッケー。」
とプーさん。

「えぇ、ホントに良いんですか?ありがとうございます。」

「まぁ、智恵ちゃんのところのアクセサリーなら、うちの店もちょっと華やかになるし、観光客の人は興味持ってもらえるかもね。」

「はい。もしうちのアクセサリーとかも売れて、ちょっとでもカフェの売り上げに貢献できたら私も嬉しいです。」

 さらにプーさんが話を続ける。

「うん。それで大事なのが、商品に同梱しているようなリーフレットと、ショップのU R LとQ Rコードなんかが印刷されたネームカード(名刺)なんかもちゃんと用意しておくこと。
 要は、お店の人がいちいち商品説明とかしてたら大変でしょ?だから、商品の魅力を伝えるリーフレットをお客さんに渡すだけで、説明が済むようにするわけ。
 そしてさらにその当日は手持ちのお金がなかったり、時間がなかったりで買えなかったお客さんでも、ネットで注文できるとなったら、帰ってからでも注文してもらえるかもしれないでしょ?だから、こういったアイテムを一緒に用意して置いておくの。
 これはフリーマーケットに出店したり、何かのイベントでブースを出す時なんかでも必要だからね。
 良くそういうイベントに出店して、その場で売ることしか考えていない人がいるけど、ああいう場は実際にお客さんに商品を手に取ってもらって直接感想を聞けたり、反応を見れるっていう事の方が大事で、さらにその場で売れなくても、後日ネットで注文できるって事をアピールする広告宣伝のためのイベントなんだよね。そこで一時的な売り上げを上げるっていうのだけが目的じゃないんだよ。」

「常に次に繋げる事を考える…何となく、わかってきました。」

「そう、それが仕組みを作り上げていくってことになるからね。」

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