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ネット物販で南の島暮らし 11

第四章 どうやったら売れるの?
 
「やっぱりダメじゃん…」

 そんな言葉が、頭の中で繰り返されている。やっぱり自分でネットショップをやるなんて無理だったんだと打ちのめされた気分で、サンセットカフェでアイスコーヒーを飲んでいた。
 そこへプーさんがいつものようにやってきた。
 
「お、智恵ちゃん。おはよう。ショップはどんな感じ。」

「…ダメです。一件も注文が入らないです。」

「うん。サイト作っただけじゃ注文は入らないよ。」
 当然のように軽く言葉を返すプーさん。

「ええええっ!そうなんですかぁ!?」

「まぁ、たま〜にそれでも売れちゃう時はあったりするんだけどね。まずは、Googleさんにちゃんと登録されているかチェックしようか?ネットショップのホームページのアドレス(URL)で、Googleで検索してみてヒットするかやってみるの。それで検索結果に表示されていれば、とりあえずそのままでもいいんだけど、表示されないなら、Googleさんに登録を依頼するみたいなことをしたほうが良いんだよ。ただ、方法は使っているネットショップサ―ビスによって若干違ったりするから、それはそのサービスのマニュアルをチェックしてみてね。」

「そうか。検索エンジンでヒットしなかったら、お客さんに来てもらえないんですね。」

「まぁね。ネットショップを作っただけじゃ、人里離れた山奥にお店を出しただけ…みたいな状態なんだよね。そこにお客さんに来てもらうって事を考えなきゃならないんだよ。集客ってやつだね。」

「そっかぁ。集客しなきゃ、お客さんはショップに来てくれない…だから、注文も入らないんですね。」

「うん…そだよ。(笑)そんな落ち込まなくって良いんだって。ただ、検索エンジンでヒットするようになれば、お客さんが集まるかっていうと、そういう訳でもないからね。」

「そうですよね。集客が大変なんだって聞きますもんね。」

「でも、やる事をちゃんとやっていれば、集客もそれほど難しいものじゃないんだよ。僕なんか、ほとんど何もしなくても一日5〜600件のアクセスは集められているからね。」

「なんとか集客とかってありますよね。そういうやつですよね。」

「まぁ、そういうこと。でも、要は、その時代時代に旬の媒体があって、それをうまく利用するってだけで、基本的な考え方は変わらないんだよ。基本的なことがわかっていたら、その媒体の特性に合わせて表現を変えていけば良いだけなの。」

「そうなんですね。今だったらどれがおすすめなんですか?」

「う〜ん、みんなそういう風に聞くんだけどねぇ。おすすめは全部…なんだよ。(笑)無料でできるのなら、どれも全部やったほうが良いんだよ。露出が多ければ多いほど、集客には効果が出るわけよ。でもさ、僕らみたいな個人レベルのビジネスではさぁ、それって無理でしょ?だから、確かに流行り廃りはあるんだけど、自分が楽に続けられるものを選んだら良いと思うよ。」

「自分が楽に続けられるもの…。」

「そう。きっと誰しも得意分野ってあるもんなんだよ。文章で表現するのが得意な人もいれば、写真やイラストで表現するのが得意な人もいるし、動画や音声で表現するのが得意な人もいるんだよね。だから、自分が得意で楽にできるものをメインにやっていけば良いと思うんだよ。
ビジネスを安定させるには、同じお客さんから何度も買ってもらう…つまり、リピート購入をしてもらえるようになるのが重要なわけ。そうするとどうしたって、お客さんとの関係を維持し続けなきゃいけないでしょ。
ということは、お客さんを楽しませるような情報発信をし続けなきゃいけないわけ。そうでなければお客さんはショップのファンになってくれない…つまりリピート購入が起きないってことになるんだよ。そして、何度も何度も接触回数を増やすことで、お客さんは親近感を持ってくれるんだよ。心理学的にザイオンス効果なんて言われたりするんだけどさ。それでもって、ということは、やっぱり『継続は力なり』なんだよ。継続することで信頼が積み上がっていくわけだから、継続できることをやらなきゃいけないんだよ。」

「なるほど。」

「だから、文章を書くことが苦手でも、喋ることだったら結構簡単にできるとかだったら、今だったらポッドキャストみたいな音声メディアもあるし、顔を出しオッケーだったり、商品が見た目美しいものだったりしたら動画を使ったりしてもいいし、写真撮るのが好きだったり、イラストが得意だったりしたら、インスタグラムみたいな画像系のS N Sを活用したりすれば良いのよ。とにかく、自分が楽しく続けられるものじゃなきゃ続けられないから。」

「そっかぁ。楽に続けられるものですね。」

「そう。ただ、今のところは文章での表現が、一番効率的ではあると思うので、ブログとプラス何かS N Sとを組み合わせるのがオススメかなぁ。ブログは、僕の中ではカタログだったり、会社案内だったりするイメージなんだよ。だから文章の内容もひと記事で1000文字から2000文字以上のボリュームで、読んで役に立つような内容がオススメなんだよね。よくブログにS N Sみたいな短い文章と写真だけを投稿するような人がいるけど、もったいないよね。」

「そうなんですか?」

「うん。そういうことはS N Sでやればいいんだよね。ブログはもう少し読み応えのある文章を載せた方が、後々検索エンジンにヒットしたりして、いい広告宣伝になったりするんだよ。」

「じゃあ、S N Sはどんな感じで使えばいいんですか?」

「S N Sは、街中で配られているティッシュとか、ポスティングのチラシって感じかなぁ。智恵ちゃんがTwitterとかInstagramとかFacebookを覗く時って、長文を期待してないでしょ?なんかパッと画像とか、短いつぶやきとかって、直感的にわかるものを期待してるでしょ?そういうところに、ダラダラと商品の説明とかしても読んでもらえないわけよ。だから、S N Sの使い方としては、直感的にクリックして続きを見たくなるような画像だったり、キャッチコピーだったりを投稿するわけ。そこから、ブログとかショップサイトの商品解説ページとかに飛ばせてから、しっかりと商品の説明を見せるようにするわけ。」

「そうかぁ。メディアの特性を活かして、そのメディアに来る人たちに合わせて、適切なメッセージを発信するってことですね。」

「その通り!わかってるねぇ。(笑)だから、ブログは投稿する記事の内容が勝負だし、S N Sは投稿回数や頻度が勝負になるわけ。」

「…なんか、やれそうな気がしてきました。」

「あ、でも、もちろん投稿する内容は、智恵ちゃんの販売する商品を買ってくれそうな人が、喜んだり興味を持ってくれそうな内容じゃなきゃダメだよ。よく高級レストランの食事とか、ホテルの部屋とかの写真を投稿する人っているでしょ。(笑)あれも、そういう事を自慢することでビジネスになるっていう人ならいいけど、そうでないなら逆にマイナスなったりするからね。(苦笑)」

「そうなんですね。わかりました。」

「あとは、自分のお客さんになりそうな人がよく見る媒体かっていうのも重要かな。例えば、今は若い人たちにとっては、Facebookはもう古いって感じなんだけど、ある程度の高齢者にはFacebookが旬だったりするんだよね。今の若い人たちには、YouTubeよりもTikTokの方が旬だったりするけど、高齢の人にはticktockはスピード感についていけないみたいな事もあるのよ。だから、ある程度の高齢者向けの商品を売るためにはticktockよりもFacebookを使った方が効果的だったりするんだよね。だから、単純に今流行っているから…ってだけで選ぶのもちょっと違ったりするんだよね。」

「そうかぁ。私の場合だと二〇歳代後半から四〇歳代って感じかなぁ。そうするとインスタとかですかね。」

「まぁ、そうかなぁ。今後どうなるかはわからないけど、現時点ではインスタがメインで、同じ会社がやってるFacebookにも同じ内容で構わないので投稿すればいいんじゃないかな。でも、記事の数はそれほどなくてもいいけど、ブログの記事もちょっと長めのを最低でも月二本くらいは投稿した方がいいと思うよ。やっぱりある程度の長さの文章ってさ、書いている人の人間性とかってどうしても出てくるじゃない。そういうのが見えてくるとお客さんはまた親近感を感じてくれたりするんだよねぇ。これからの時代、僕らのような個人ビジネスが生き残るためにはさ、『誰から買うか?』ってところなんだよ。」

「誰から買うか?…ですか?」

「たとえばさ、アマゾンで買い物をするじゃない?アマゾンにはさ、僕らと同じような個人商店のような人たちもセラーとして出品してるんだよ。でもさ、アマゾンで買い物するときに、『このセラーさんだから買いたい!』って思ったことある?多分、『こっちの方が安いから、このセラーさんから買おう』って感じじゃない?つまりリピートで注文が入らないんだよ。注文が入るとしたら、他に同じものを販売しているセラーがいないとか、ライバルのセラーよりも安い価格で出品しているかなんだよ。だから、ビジネスとしては厳しくなるんだよねぇ…。やっぱり、個人レベルのビジネスで重要なのはさ、リピートと紹介なんだよ。リピート注文と紹介が起きるにはさ、お客さんが自分の商品や、ショップ、もしくはショップの店長やオーナーのファンになってもらわないと無理なんだよね。飲食店とかだとわかりやすいんだけどさ。智恵ちゃんの地元にも、個人経営なのにいつもお客さんが入っている飲食店ってあるでしょ?」

「あぁ、ありますねぇ。」

「そういうお店は、どうして繁盛しているんだと思う?」

「う〜ん。味が美味しいっていうのもあるし、お店の雰囲気とか、お店の人の接客とかが気に入っているとかですかね。」

「でしょ?ただ安いからって理由じゃないでしょ?だから、それと同じ事をネット上でもやればいいだけなのよ。だけど、大手のプラットフォームはそれをやらせてくれないの。お客さんとセラーさんとのコミュニケーションを取らせてくれないの。お客さんからの連絡が来るのは、クレームがある時だけ。だから、お客さんからのメールがみんな嫌いになっちゃって、お客さんとコミュニケーション取ろうなんて気も起きなくなっちゃうんだよね。それに、セラーさんからお客さんに直接連絡するのも難しいのよ。アマゾンのセラーさんから、感謝のメールとか、近況報告とか、新商品の案内とか、お店独自のセールイベントの情報とかって届いたことある?ないでしょ?」

「あぁ、そうですね。」

「でもさ、独自のショップだったらそれが可能なわけ。まぁ、この辺りはまた次の段階の話だね。今はブログとかS N Sの話だったね。よくね、文章がかけないっていうような人がいるんだけど、そういう人はさ、友達とか家族に喋っているように書いてみると書けたりする人はいるんだよね。あとは実際に人としゃべっているのを録音して、後から文字起こしするとかね。」

「そっかぁ。それならなんとなく書けそうな気もします。」

「それでこれもさ、まずはスピード、量、質だからね。まずはスピードでなるだけ早く、そしてなるだけ大量に…そうやって小さな失敗を早く大量に経験することで、質は後からついてくるからね。」

「わかりました。とりあえず、ブログとS N Sやってみます。」

「うん。まずは、2000文字くらいのブログ記事を五本くらい投稿しよう。まずは自分やショップの自己紹介で、どんな想いや理念でこのショップを立ち上げたかみたいなストーリーでもいいし、商品の開発ストーリーや、作家のプロフィールや人柄を紹介するような内容でもいいし、商品の魅力の紹介をより詳細に伝える内容でもいいし、お客さんの感想を紹介してもいいし、いくらでも書ける内容はあると思うよ。それで、ブログが書けたら『ブログ更新しました!』って感じで、ブログに誘導するリンクアドレス付きでS N Sに投稿するわけ。あとはブログ記事を書く合間に、ちょっと気分転換のつもりで、商品画像と一緒に、思わずクリックして覗きに行きたくなるようなキャッチコピーと一緒にS N Sに同じ内容、同じ写真でも構わないので、何度も何度も投稿するわけ。S N Sのタイムラインって当たり前に広告が出るでしょ?あ、この広告前にも見たことがあるなって広告も出てくるでしょ?つまり、同じ広告が表示されてもあまり違和感を感じないメディアなのよ。だから、同じ内容の投稿をしててもあまり違和感がないわけ。という事は、いくつかパターンを用意して、何度もお客さんがクリックして内容をチェックしたくなるような投稿をすればお客さんの目に留まって、必ず一定のアクセスは集めることができるから。まぁ、有料で広告を出せば、この作業をS N S側でやってくれるって事なんだけどね。」

「そうかぁ、なんだかできそうな気がします。うん、まずはブログとS N Sをやってみます!」
 

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