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そもそも全ては妹のせいだ。

今日は5月2日。朝、10:00に起床。
朝から本を読み、録画したテレビ番組を見た。とても良い一日。
そう、とても良い一日だったのだ。

事の始まりは16:00頃。妹に頼まれていたフィギュアを売るため、近くのリサイクルショップに出かけることにした。大学には電車で通っているから久しぶりに自転車にまたがる。

そのリサイクルショップは全国的に展開しているわけではなく、知る限りでは私の地元でしか見ない。少しばかりヤングなにおいを漂わせているためか、私が小学生の頃は学校の先生に「あそこには悪い大人がいるから、立ち寄ってはいけない。」なんて言われたけど、今思い返すとひどい話だ。今から行く私はもちろん悪い人間ではないし、店側からしても営業妨害や名誉棄損ではないか。

そんなかわいそうな店に着くと、私は早速店員にフィギュアを渡して手続きを始めようとした。ところが、
「運転免許証かマイナンバーをお持ちでないと、売ることはできません。」どうやら、顔写真付きの身分証でなければいけないらしい。写真のない学生証ではダメとのこと。しかし私には、無駄を存分に楽しもうとする用意がある。本来の目的は果たせなかったけど、せっかくなら何かを得て帰りたい。そんな気持ちから、トイレの場所を確認してから古本コーナーへと向かう。

世の中には「青木まりこ現象」というものがある。書店に寄った際、突然便意がこみ上げる現象のことだ。都市伝説のように語られることもあるが、実はまだ見つかっていないだけで本当に医学的根拠があると睨んでいる。なんせ、私はほぼ100%、便意を催すからだ。もはや、「青木まり子病」なのだ。3分ほど古本コーナーを物色したところで、事前に確認してあったトイレに向かう。今思うと、これが悪夢の始まりだった。


トイレに入り口には、こんな立て看板があった。

女性側にはもちろんしずかちゃん

最近Xで話題の、よく見ると謎ポーズをしているのび太のシルエットが印刷されていた。余談だが、「性」の字にドラえもんフォントが使われていると、なんだかいかがわしいもののように感じる。シルエット故に真相は不明だが、のび太がなにかを露出しているではないか、、、とか思わされる。

無事、用を足した私はさらに店内をうろつく。以前来た時と比べて、店内がずいぶんと変わっていた。特にUFOキャッチャーが増えていてた。何かめぼしいものはないかとさらにうろつく。そのころには既に破滅への一歩を踏み出していることを知らずに。

箱入りドラえもんグミが景品にあった。多分、張り付いているシートが食べれるでおなじみのアンパンマングミのドラえもんバージョン。私はドラえもんが好きだ。ドラえもんTシャツも着ていたし。好きな道具は「アンラッキーポイントカード」。身に起きた不幸がポイントとして貯まり、使用するとその分の幸運が訪れる。アニメオリジナルだけど、お話含めて好きだ。
さすがにこのグミを取って帰りたいと思った。いや、思わされていたのだ。あの看板のサブリミナル効果によって。

500円くらいを使ったときぐらいからだろうか、もはや自分の意志でお金を入れている気がしなくなったのは。

私は、極力バイトをしない生活をしている。お金がなくてもバイトはしない。学生は働くべきではない。そんな気持ちをグッとこらえながらも、おとといは泣く泣く仕事をした。そんな私から、目の前の宇宙人はUFOを巧みに操作し、「次こそは」という暗示をさせる電波を発信し続けた。サブリミナル闇のび太と宇宙人による総攻撃だ。もはや取れないとわかっていながらも、100円を投入し続けた。財布を開くと1000円札しかない事に気づいた私は、すぐに両替機を探していた。両替機だけは信用できた。入れたお金と同じ分の価値を提供してくれる。消費欲に駆られたら、両替機にお金を通して帰ってくるのはどうだろうか。どんな買い物よりも安全で、損とか消費とかいう概念は一切存在せず、物量的には増えるのだ。気が付くとまたあの台の前に立ち、再び円を投入し続けた。

そんなこんなで、まもなく私は全財産の2000円を吸い取られ、手元には売るはずだったフィギュアだけが残っている。両替機もグルだった。

帰り道に公園を横切った。小学生が元気にボールを蹴っている。
今だからこそ伝えたい。あんなお店に行ってはならない。青狸によって色を失ったサブリミナル闇のび太と、人間の欲を巧みに利用した搾取を生業とする宇宙人の巣窟なのだ。学校の先生は、嘘なんて言ってはいなかった。

家に着いて、パソコンを広げこのnoteを書き始める。

どうやら、顔写真付きの身分証でなければいけないらしい。顔写真のない学生証ではダメとのこと。

この文章を書いている時だった。

ネットの大海に学生証をさらす勇気はない

私の学生証である。毎朝、鏡を見る度嫌な思いをさせる顔がこちらを見つめている。この顔を殴りたい。


もしも、「アンラッキーポイントカード」を持っていたら一体何ポイント貯まっていたのだろうか、気になるばかりである。


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