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地球の裏側で見た世界の水産養殖

この記事はUMITRON Advent Calendar 2022 24日目の記事です。

こんにちは、UMITRONのCo-founderのマサ (@masahiko_yamada) です。ウミトロンのシンガポール法人の代表として海外事業をメインで経営から執行まで幅広く担当しています。現在は、南米のチリに出張中でチリ🇨🇱の現場からお送りしております!

さて、今年も会社としてAdvent calendarを継続してやっています。みんなで自由にブログを書くのは楽しいですね。せっかくなので前回の記事に続いて、ウミトロンの海外現場の様子を写真を使いながらレポートしていこうかと思います!


はじめに

ウミトロンでは、国境を超えてアジア・米州・欧州等のさまざまな地域への技術提供に取り組んでいます。そもそも「なぜグローバルで事業に取り組んでいるのか?」という点が気になった方は、こちらの記事をご覧いただければと思います。水産養殖の現場に技術実装する上で、現場を理解することは重要です。今後は、定期的に海外の出張現場の様子を写真等でレポートしていければと思います。第一弾は南米のチリです。

チリの水産養殖

チリのサーモン養殖現場近くの美しい海

チリは世界有数の海面養殖生産地で、サーモン類の生産ではノルウェーについて世界第2位。チリにとっても銅に次いで輸出高の大きい基幹産業となっています。チリの北部は銅産業が盛んですが、Puerto Montt以南はサーモン養殖が最大の産業であり、多くの地域住民は水産養殖業に関わっています。

チリのサーモン養殖はPuerto Montt以南で広く行われている

サーモン養殖の現場

チリや北欧では、水産養殖企業の経営統合が進み、1社あたりの生産規模が非常に大きいのが特徴です。そのため、大規模養殖に最適化された給餌バージ(据え置き型の給餌船)を拠点に、現場のオペレータが船に2週間交代で住み込み、チームで魚を育てています。

海上に固定された据え置き型の給餌船

給餌バージから伸びたパイプラインが各生簀に繋がっていて、船の上から人は魚の様子を観察しながら餌やりをしています。チリでは数年前に餌のやり過ぎなどが原因で赤潮が発生し、大きな問題となりました。そのため、生産者は細心の注意を常に払いながら、魚が必要とする以上の餌が排出されないように根気強く1日中、観察を続けています。

給餌バージから各生簀にパイプラインが繋がっていて船から給餌を行う
生簀に設置されたカメラを有線で給餌バージのモニターに出力し、オペレータが目視でサーモンの様子を観察しながら餌やりを調整する

給餌バージには衣食住で必要な物が一通り揃っており、オペレーターが快適に過ごせるように工夫されています。

リビングやジムも備え付けられており、生産現場の従業員ができるだけ快適に過ごせるように工夫されている🎄ワールドカップの試合も見れた⚽!!
給餌船ではシェフによる料理が振る舞われます。美味しかった!!
ゲスト用の宿泊スペースもありました!

日本と海外の魚類養殖の違いとウミトロンの取り組み

日本は、台風などが多いことや、独立した生産者がそれぞれ保有する漁業権の範囲で生産をしているため、上述した大型の給餌バージは設置の難易度も含めて需要は限定的となっています。そのため、ウミトロンが提供するAIや衛星リモートセンシングなどの技術を現場実装していくために、ソフトウェアとハードウェアを一緒に提供しています。
一方で、チリや北欧の大規模生産者向けには既存の大型給餌設備と連携することで、魚の食欲等をAIで自動解析するUMITRON REMORAや海の環境情報を定量化するUMITRON PULSEといったソフトウェア単体で展開しています。

現場を知ることで各国の生育環境に適した技術を横展開している

課題解決の糸口は現場から

ウミトロンは国内外に関わらず、生産現場を訪問し、直接喫緊の課題を聞くことや、現場作業の様子を長時間観察することで「一次情報を取得すること」を大切にしています。AIや衛星リモートセンシングといった技術も、現場理解をなしでは、リアルな水産の現場では役に立ちません。水産現場の「どのような課題を、どのようなユーザー体験で解決すべきか」その糸口は全て現場にあると私たちは考えています。そのため、チリをはじめ、各国の現場の第一線で生産者と向き合い、現地で聞いた生の声や情報がテクノロジーやデータ以上に重要な資産となっています。

現場では生産者からのヒアリングに加え、長時間滞在してオペレーションの工程を観察して、1次情報を取得することを心がけている。
現場オペレーションにおける仮説を生産者に説明し、フィードバックを得る

地球の裏側の仲間と食料問題の解決へ

水産養殖のような自然の中の営みにおいては、理想を掲げながらも、目の前に解決しなければいけない課題がさまざまあります。そのような課題と向き合い、環境面や魚にも配慮しながら日々私たち人類のための食料を生産する生産者の皆さんに出会う度に、現場へのリスペクトの気持ちが溢れてきます。

特に現場に長く滞在を続けると、生産者の皆さんのハードな仕事の側面や、それぞれのうちに秘めた想いにも触れることができます。ウミトロンは遠隔でサービス提供をしているため、常に海外の現場に訪問できるわけではないですが、パートナーである生産者と想いを共有し、例え地球の裏側からでも、一緒にグローバルアジェンダに取り組む仲間として寄り添い、支えたいという強い思いが積み重なり、それが私たちの原動力にもなっています。

今後もチリをはじめとした各国の現場で生産者と向き合うウミトロンの仲間と、世界中の生産者の皆さんと供に、「持続可能な水産養殖を地球に実装する」というミッションに取り組んでいきます。

日々生産者現場に向き合う生産者の皆さんとともに。

(おまけ)チリ出張のその他諸々

出張ではオフサイトを楽しむことも大切な気分転換で、私たちのバリューの一つである「Go ride the wave!(楽しもう!)」という価値観も大切にしています🏄 バリューについて詳しく知りたいという方は、こちらの記事をご覧ください♪

ということで、せっかくなのでチリで見つけた養殖現場以外のあれこれも写真で紹介します。

チリのサーモン生産地域の一つPuerto Monttのすぐ隣の街(Puerto Varas)では、チリ富士と呼ばれる山を見ることができます。🗻🗻
日本人にとっては馴染み深い景色に似ています。

見覚えがあるようで、富士山が2つあるのがアナザーワールド感もあります。
現場まで車で向かう途中には野生の生き物に遭遇することも。車には目もくれず食事に明け暮れる野生の子ヤギたち
新しい仲間と一緒に写真を撮ることもできました
チリは水資源が豊富で水道水がめちゃくちゃ美味しいのも特徴!!
スペイン料理とドイツ料理が融合した美味しいチリ料理がいっぱい(ほとんど撮り忘れました汗)
日本ではチリの銀鮭以外ほとんど出回らないですが、現地で食べたアトランティックサーモンは格別でした。

おわりに

今回は駆け足で海外の現場の様子をレポートしてきましたが、ウミトロンが普段出張で行く現場は、観光ではなかなか行かないような自然の中の沿岸地域が多いです。出張の際に美しい情景に出会えることが、テクノロジー企業としてはユニークな醍醐味の一つかもしれません。今後も非定期でゆるっと海外の出張レポートや写真を皆さんに共有していこうと思います。それでは皆さん、メリークリスマス🎄現場からは以上です!


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「テクノロジー、海、シーフード、自然、社会課題解決、グローバル」

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