日本の不動産業のあり方を変えたい 不動産取引時の情報非対称性について

日本の不動産業のあり方を変えたい

不動産取引時の情報非対称性について

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/wg/toushi/20170420/170420toushi07.pdf

日本の不動産業界は、欧米諸国に比べて情報公開の質が
全く劣っている。日本人が一生のうちに不動産を購入する回数よりも欧米の方の方が一生のうちに不動産を購入する回数は多いデータも出ていることもあり、取引自体に慣れがあったりすることもあるが、そもそも取引構造に問題があるのである。

問題は大きく3つあると考えています。

1、取引データが公表されていない
2、建物の構造状態が不明確
  (インスペクション調査が実施されていない)
3、1、2の罰則規定がない

1、取引データが公表されていない

日本というのは、ここだけにしかない情報というのがたくさんあるのである。すべての不動産売買情報がデータベース化されておらず、その業者しか取り扱っていない、その業者しか取り扱えない情報というのが多々あるのが不動産業界です。

昔からある町の不動産が長く生きて商売できるのはこの構造にあると言ってもいい。取引の正確性は全く無視され、正しい情報を正しく販売する業者よりも、売主から直接不動産情報を得ている不動産業者が、売主買主の両方から3%ずつの仲介手数料を貰い、取引を行うのである。
業者は合計6%手数料を欲しいために情報を公開せず、ここだけの情報として扱い販売する。消費者保護の観点が優先されているとは考えにくい。

欧米では、販売情報は必ずデータベースに掲載しなくてはいけないし、ある不動産サイトでは、いくらで何年前に販売されていたかなども確認できる。市場の価格で購入し市場の価格で販売するのであれば、なんら隠す必要のないデータである。

日本人のお金儲け=悪いことというようなイメージもあるが、
価格の公開が、不動産の価格崩壊を防ぐ手段だと考えています。
市場の原則に則り、市場の価格で購入し市場の価格で販売し、利益をいただく。
これこそが正しい不動産業界だと思う。

また、日本の不動産とは先ほどのここだけの情報が出回っている以上
エージェント制を導入しにくい市場である。

信頼のおけるエージェントが買主、売主にそれぞれ代理人に入ることで
それぞれの代理人となり、高い専門性のやりとりで消費者保護が可能になる。

これこそまさに正しい不動産業界のあり方ではないだろうか
ここだけの情報という構造が大きく業界を歪ませており、
公正な取引に悪影響を及ぼしていることは、業界人なら容易に理解できるはずだ。

2、建物の構造状態が不明確

主に中古市場の取引の際、業者が販売する以外のもの(個人所有のもの)については、
多くの場合、瑕疵があった場合は免責となっている。
業者が反復継続して販売する場合は、会社としての信用毀損をしないために、
しっかりとした建物を販売しようとするが、
個人が売却する場合には、長期的な信用を構築する必要がないので、
そういったインセティブが働かないのである。

これは市場に不明確な不動産を流通させている原因であり、
市場の流通を阻害していると考えられます。
この場合の販売時だけでもインスペクション調査を必須にすることは
一般の素人が購入検討する場合には必要な情報だと義務化できないのであろうか。

プロと素人の知識の差を、どこかで補うような政策が必要だと思う。

また、インスペクションを行なった際には何かしたのインセンティブを
与えないといけない。インスペクション調査を行うメリット大きく得るには
建物の評価方法の見直しも同時に必要だ。
個別性の高い不動産において木造22年、RC47年の減価償却方法はあまりにも一辺倒すぎる。

3、1、2の罰則規定がない
1、2が実施されない理由は単純で、罰則規定がないということだ。
この罰則規定さえしっかりと設けることが、多くの業者が勉強せざる終えなくなり、
売主から直接情報を握ってるだけで、実務的に全く機能しない不動産業者は淘汰されているはずだ。
ここまでくると日本の不動産業者の立ち位置がもっと上がるはずです。

弁護士、会計士に並び、高い専門性を備えた宅建士を一人でも多く活躍してもらう社会を実現するには
ここまでやるしかない。

理想論を語りました。政治家にでもなるかな。

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