山村 雅康

療育実践家 ハビリテーションプログラム主宰 障碍者者発達支援 https://www.…

山村 雅康

療育実践家 ハビリテーションプログラム主宰 障碍者者発達支援 https://www.yamamura.info/wordpress/ https://www.facebook.com/yamamuramethod

最近の記事

療育実践報告 その3

最適なタイミングで最高の環境が用意される プールの備品に「赤台」というものがある。 プールフロア(水深調節用の底上げ台)とも呼ばれ、水深を浅くする目的で設置するものだ。子供用プールを持たない施設では、1レーンに赤台を敷き詰めることで約40センチ底上げした浅いレーンを造ることが多い。 通常、それぞれのレーンはコースロープで仕切られるのでレーンを横断的に使うことは出来ないし(潜水してロープをくぐれば可能だが)、またそういった使用方法は想定されていない。 ところが、この頃レッスン

    • 療育実践報告 その2

      目標は設定するが時間的制約は外す 半年を過ぎたころに初回アセスメントもほぼ終了し、それに沿ってプログラム全体を通した緩い目標を立てた。 それは「水泳大会に出場する」というものだ。 出場して順位やタイムを競うことが目的ではなく「出場すること」それ自体が目標である。 その前提として、場面理解力、目的的に時系列に沿って進めることの理解(因果律)、偏桃体の情動スイッチが入る前に自己管理する力(情動スイッチが内攻するのが自傷的行為というのが前提となる見立て)、など集団行動参加への「力

      • 療育実践報告 その1

        トラウマ克服子供プールでしか遊ばない人 理由は強い行動制限か? 先日の水泳大会で療育プログラムメンバーのAさんが25mを完泳した。Aさんにとっては無論のことだが、療育実践者の僕にとっての一つの到達点だった。 ここまでの道程を振り返りながら、僕の療育プログラムのレッスンの一例として紹介する。 水泳課題(スポーツとして取り組む泳法獲得)は発達支援の通過点だ。 水泳上達が目的ではなく、総合的な発達高次化への手段の一つとして捉えている。その過程で得られるものは、運動と感覚のステー

        • 具体的理解から表象理解へ

          下記のリンクは3年前のレッスン動画です。 このメンバーは現在では4泳法の言語弁別理解ができるようになっています。3年前は泳法の動作理解はできていましたが、それぞれに個別の名前があること、その名称と運動動作の紐づけの「表象理解」が苦手で言語指示では弁別困難でしたが、現在はしっかり獲得しています。 具体化から表象化への運動高次化の実践ですが、プール場面だけではなく「らせん状発達高次化」として日常生活へフィードバックされつつあり、それが生き辛さの軽減に繋がっています。 https

        療育実践報告 その3

          ASDの耳塞ぎを簡単に「聴覚過敏」で片付けないように

          感覚入力失調 「見え」についての偏位(へんい=かたより)があるように、「聞こえ」についても偏位や失調があります。 感覚入力において、視覚は見ない、まぶたを閉じるなど能動的シャットアウトが比較的容易ですが、聴覚は耳塞ぎしかシャットアウト手段がありません。ついでに言えば嗅覚に至っては能動的シャットはほぼ不可能です。鼻をつまんでも口腔から鼻腔への通路閉鎖はできないからです。 感覚入力受容の調整困難度で、 体性覚(加速感や平行感覚)>嗅覚>聴覚>視覚、といわれる所以はそこにあります

          ASDの耳塞ぎを簡単に「聴覚過敏」で片付けないように