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何気ないことが多大な影響を及ぼすことも

何気ない事から習慣化してしまうことは時折あることです。
訪問リハビリの仕事をしていると、色々な方に出逢います。

90代の女性。歩行車を使用して移動しています。
自宅は市街地より少し離れた所にあり、地域の地主さんをしていたようで、大きな蔵付きのお屋敷に住んでいます。
大きなお屋敷ですが、女性が寝起きしているのは縁側から廊下続きにある離れのような部屋にいます。
息子夫婦と同居。息子さんもお嫁さんもよく気にかけて声をかけてくださっています。家庭環境もとても良い印象です。

訪問リハビリの目的は、通所サービスへ行っていたが本人が行きたくないため、訪問でリハビリをして欲しいとの目的でした。

訪問開始の時は、訪問入浴を使用しており、自宅で入浴できるようになれば良いのかなかと思っていました。

離れから浴室まで行くのは、かなり広い家なので歩き甲斐はありました。
訪問入浴でも良いが、自分の家のお風呂に入りたいみたいとの看護師からの情報もありました。
そのため、当面の間は歩行距離を伸ばすために歩くことや、転ばないための動作を練習していくのが良いと考えていました。

実際、トイレは夜間以外は部屋の前にあるトイレへ歩行車を使用して往復できており、それは日課になっていました。

日課になっているトイレまでの移動は往復10m程。
自宅浴室は往復50m程はあるでしょうか。

90代、浴室までの移動、そして練習。
色々考えましたが、すぐには難しい問題なのではないかとも。

運動も大切だけど、年齢的なことも考えると、あまり無理強いはできないかも知れいないとの葛藤も出て来る事も。

とりあえずは、隣の縁側までの歩行を行なうように関わりを持っている中で、本人からは縁側で猫の最後を看取った話などの話題が見られていたり、様々なエピソードが出てきていました。


それを繰り返しているうちに、本人や家族から毎日に縁側に歩いて行くようになったとの話を聞くことが多くなってきました。

そうです、浴室までの移動を目的としていた物の浴室へは本人は必要性は感じていませんでした。
なんせ訪問入浴が、自室の窓から浴槽を入れることもできたし、自宅の浴室よりも入り易い訪問入浴の浴槽の方が入りやすいですから。

何よりも、縁側で日光浴が本人にとっては何よりも意味のある習慣となりました。
自室からはあまり外の様子、四季の移り変わりが分からない。
だけど縁側からは外の様子が良く見える。

四季を感じることも、人工的な暖かさよりも日光の暖かさを感じられる縁側へいくことが、意味のある習慣へなりました。

そのことで、トイレよりも遠い所へ天気の良い日はいくようになり、歩行の安定であったり、動くことへの意識が変化していきました。

何気ない作業の提供ですが、それが私たちの知り得ない効果を産むことは時折あるというお話です。


自分が何気ない一言をかけたことで、それが他の誰かを大きく突き動かす事もあるのですね。
後付けになる事もありますが、自分が他の誰かに関わることで、関わった誰かに大きな影響を与えることも、あるので常に色んなアンテナを張り巡らすことが大切だと思う今日この頃の話でした。


おしまい。


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