ホロライブはアイドル部と同じ道を辿るの?


結論から言うとNoです。


ホロライブ界隈、最近色々と騒がしいですね。
ちょうど1年位前に始まったアイドル部の炎上と被る部分があるのか、
「ホロライブもアイドル部みたいになっちゃうんじゃないか・・・」
と心配している人がいるらしいんですが、実際どうなのかな、と考えてみました。
少々旬を逃してしまった感のあるテーマですが、ちょっとその気になったので文章を書こうと思います。

※あくまで責任のない個人の意見なんで、妥当かどうかは各自判断してください。あと面倒くさいことにはなってほしくないんで、この記事をもとに特定の誰かに迷惑がかかるようなことはしないで下さい。


ホロライブとアイドル部の騒動の共通点と相違点

ホロライブとアイドル部の騒動には以下のような共通点があります。
・箱単位での大規模な炎上
・運営への信頼の低下
・比較的小規模な問題も前後の炎上と結びついて大規模化する

このような共通点から、
「ホロライブから脱退者が出て、アイドル部の時みたいに取り戻せないほどの崩壊が起こるのではないか」
とイヤ~な想像をしてしまう人がいるのも無理はないでしょう。


一方で、これらの騒動には明確な違いがあります。
それは

・問題とその原因がはっきりしているかどうか
・問題が内部で完結するかどうか

です。


炎上の理由が分かりやすいホロライブ

ホロライブの炎上はとても分かりやすいです。

著作権の軽視、国際社会への無理解、迂闊な発言……

大半の常識のある人間は何が問題かわかるでしょう。
だからこそ、ホロライブの炎上には冷静な批判の目が向けられています。
たとえばこの記事↓

客観的な「事実」と個人的な観点からの「問題点」をきちんと分け、とても妥当な意見を冷静に述べています。

他にも、ニコニコ大百科の『ホロライブに関する不祥事の一覧』にはホロライブの問題が有志によってまとめられており、残念ながら現在は閉じられてしまいましたが、その掲示板ではニコニコ大百科とは思えないほど理性的に問題となりそうな事実について議論されていました。
ホロライブには盲目的な「信者」が多いとされているようですが、炎上の性質から、このような冷静な指摘がされやすい状況なのでしょう。


一方、一年前のアイドル部はというと、物事の原因が一切わからないまま事態が進行し、ファン全体に不穏な雰囲気が漂っていました。
夜桜たまの「お気持ち」、夜桜たま、猫乃木もち両名の「契約解除」というわかりやすい転換点はあったものの、一連の騒動の根本の原因について運営からの説明がなかったこと、運営への細かな不満が蓄積していたことなどから、ファンは論理的な解釈をすることができず、感情的な批判、憶測による誹謗中傷などが横行することになりました。
(もっとも、今となっては運営が詳細な説明を行えなかった理由は何となく想像できるのですが・・・)

例えばこのような記事があります↓

この記事はいかにして.LIVEに対する不満、不信感が蓄積されていったかを時系列に沿ってまとめた力作です。しかし、この記事は投稿者の筆が乗るにつれ感情が抑制できなくなったかのように、後半ほど「事実」と「憶測」、そして「感情論」がないまぜとなっています
特に演者3名の「お気持ち」は恣意的な解釈がされており(夜桜たまの「他メンバーに了解を得てない」部分をカット、花京院ちえり、カルロ・ピノの配信を「運営擁護」と断ずるなど)、投稿者のプロフィール欄などと合わせ、運営及び残留メンバーに対する明確な悪意を感じます
この記事は事実を時系列順にまとめようとしているあたりに論理性を垣間見ることができるのですが、巷にあふれる.LIVE批判はそれすらない単純な感情論、憶測による批判、人格否定ばかりでした。

理性による能動的な行動(冷静な批判や意見)がしにくい状況で、最も理性的な行動は「何もしない」ことです。安易な批判をせず、無理筋な擁護もしない。しかし、「何もしない」ということは案外つらいものです。ファンはホラー映画の登場人物が少しづつ正気を失うように、感情の抑制が効かなくなっていったのです。


このように、アイドル部の炎上では問題の原因がわからず、理性的な批判が難しかったが故に、憶測や感情論に基づいた批判が広範囲にわたって展開されたのです。それらは論理的な根拠が希薄であるが故に抑制が効かず、騒動の拡大、ひいては求心力の低下を招きました。

ところがホロライブはというと、とってもわかりやすい。何が問題かはっきりしており、ファン側から(あるいはアンチ側から)理性的な批判がされる環境です。問題がはっきりしているため追及の焦点が定まっており、それ以外の部分に批判が広がりにくい。
アイドル部のような感情的な騒動の拡大はしないでしょうし、感情的な反発からくる大きな求心力の低下はないと思います。
(あるとしたら「理性的な反発」ですが、案外、理性では「愛着」を捨てれないものです。)


あなたの炎上はどこから?外から?内から?

アップランドという企業はぐずりがちな視聴者をあやすのが下手くそです。不器用で、絶妙に気が利きません。

一方、カバーはあやすのが大得意。口八丁手八丁、ひょうきんな表情なんかもしてみせれば視聴者は大喜びです。

何が言いたいかというと、
あやすのが下手すぎてギャン泣きされてしまったのがアップランドの炎上
あやすのに夢中になってたら周りがとんでもないことになってたのがカバーの炎上
ってことです。

アップランドの炎上は自身(箱と企業)とそのファンでほぼ完結するのに対して、カバーの炎上は外部とのかかわりの中で生じたものがほとんどなのです。(夜空メルのストーカー被害など例外もあり)


ホロライブを心配する人が最も恐れることに「演者の脱退によって箱が分裂、崩壊すること」があるでしょう。実際、アイドル部は2名の脱退が契機となって大きく評判を落としました。

しかし、ホロライブにおいて演者の脱退は起こりにくいと考えています。(あくまで環境面で当時のアイドル部と比較して、ですが。)

当時のアイドル部は内部に問題を抱えていましたが、その問題は外部にまでは波及していませんでした。そのため、脱退した2人は箱外部でプレッシャーをほとんど感じず、「前世」の財産を引き継いで活動を始めることができたのです。
2人はそれをよく理解しており、麻雀界の手引きもあったことから劇的な転生劇を演出できたのでしょう。

ホロライブはというと、たとえ脱退者が出ても元アイドル部の2人のようには世間から歓迎されないでしょう。
任天堂やカプコンなどのゲーム会社だけでなく、昨今の米中対立にまで演者を巻き込んでしまった以上、「ホロライブ抜けてまた新しくはじめまーす」なんてすんなりできるはずがありません。「転生したら別人」なんて都合のいいバーチャル理論を尊重してくれるほど、世の中は甘くないですから。
外部から睨まれていることを演者たちも十分認識しているでしょう。

ただ、転生ではなく配信者として引退することは一応あり得ると思います。その場合、ある程度のファン離れを起こすと思いますが、卒業をうまく演出できればそれほど荒れないはずです。カバーはそこらへんの演出は比較的上手いと思うので、それが原因で箱が崩壊する、という状況にはならないでしょう。


まとめ

ここまでをまとめると
・ホロライブとアイドル部の炎上はかなり性質が違う。
・アイドル部のようなファン感情の暴走からくる大規模な求心力の低下はホロライブでは起きにくい。

と考えられます。

じゃあホロライブの状況はアイドル部よりマシかというと、そうとも言い切れません。

説明したようにホロライブの炎上は外部と強く結びついており、穏便な解決はかなり難しいと言えます。
正直、この先どうなるか全然わかりません。活動の規模を縮小せざるを得なくなるかもしれませんし、一部界隈にとってアンタッチャブルな存在になってしまう可能性すらあります。(とはいえ、それによって登録者数などが激減してその後も延々減り続ける・・・なんてことにはならないだろう、というのが私の考えではあります。)


ホロライブファンはどうするべき?

批判にしろ擁護にしろ、冷静かつ理性的にすべきです。

批判するならば、あまり煽るような言葉や悪意ある表現は使わない。
擁護するなら、批判側の意図を汲み取る努力をする。

こういった意識を持つべきかな、と思います。
感情的な意見は感情的な反発を招きます。感情の応酬になっては事態は好転しません。


ここから、いくつか見かけた意見について私の考えを述べます。完全なる私見なので、妥当かどうかはわかりませんが・・・

①「運営に金を渡したくない」
この考えは理解できますが、あんまりそこに嫌悪感を抱いても仕方がないんじゃないかと。結局、運営が回っていないと演者は活動できないわけで、その運営を回すのに資金は絶対に必要ですから。
「俺が好きなのは運営じゃなくて演者だ!」と言っても結局運営と演者は相補的な存在であり、どちらかだけで存在できるわけではないのです。「〇〇の△△割は運営にとられる」とか、視聴者側が考えても仕方がないでしょうに。

②「〇〇にはホロライブから逃げてほしい」
まあ言いたくなる気持ちはわかります。でもこれって、すごく残酷で無責任な言葉じゃないかなぁ、と思うのです。演者本人の気持ちや脱退した際に負うリスクを一切考えていない。よしんばリスクを無視できるほどのメリットが脱退にあるとしても、大抵の人は「愛着」とか「情」とかいうものを捨て去ることに苦痛を感じます。そういったものを全部無視して、全部捨てさせて、「逃げてこい」ってすごく勝手な意見だなぁと思ってしまうのです。

①、②はアイドル部騒動時にもよく見かけた意見ですが、なんとも自分勝手な感情論だと冷ややかに眺めていた記憶があります。考えてしまうことはどうしようもないですが、それを言葉としてしまう前に、今一度冷静になってみてはいかがでしょうか。


蛇足のあとがき

それなりに色々書きましたがあくまで個人の意見ですので、参考程度にしてもらえれば。私自身絶対に正解だとは思っていませんし、異なる意見があるのも当然だと思います。

とりあえず、前の記事よりはちゃんと書けたかなぁと思えたので満足です。


最後に、この記事を書きながら思い出した2つの同名の曲を紹介して終わります。
最後まで読んで下さりありがとうございました。

はたして舞台に立つのは、フレッドなのか、ピンクなのか。
(どちらも最終的には・・・というのは、ちょっとした皮肉です。)