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IBD患者の今宵の食卓 第十一卓

もしかしたら今回生涯初めての経験だったかもしれません、元日に終日自宅で全くの一人で過ごすことになり、またとくに来客の予定もないのでそれならと今年は思い切って江戸時代の庶民のような超シンプルなお節料理にしました。

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

2022年元旦 お節・雑煮

シンプル雑煮

まず雑煮なのですが、これは今年に始まった話ではなく私の実家から伝わる代々の流儀なのですが、菜っ葉と餅だけの澄まし仕立てというあまり聞いたことのない位のシンプル雑煮です。
私の実家は岡山なのですが岡山全体で見てもこのようなシンプルな雑煮を食べるうちはあまりなく、恐らくですがこういう形の雑煮は江戸時代の備前の国の下級武士の伝統なのではないかと思ってます。
ただ正式にはこれに使う菜も福立菜という地場独特の伝統野菜なのですが、今では岡山でも福立菜なんてもはや売られてないんじゃないかと思います。

ビタミン菜

正月に食べる雑煮だけはやはり子供の頃に食べ慣れたものでなければどうも落ち着かず、しかもシンプルなだけに重要なファクターである福立菜も売られていないという状況の中、いろいろ試して行きついたのがビタミン菜という漬菜です。
これは伝統野菜ではなく島根県の農業試験場で1954年に作り出された新しい(といっても私の生まれるより前だ!)漬菜https://www.atariya.net/yasai/vitami.htmなのですが、熱に強いのに食感は柔らかい、風味が澄まし出汁に溶け込んで自己主張しない、菜っ葉自体に旨味があって味に深みがあるみたいな特長は福立菜以上に福立菜的で、毎年我が家の雑煮には欠かせないものになっています。

下茹でせずそのまま出汁で煮る

ただ、これも八百屋やスーパーではあまり見かけることがなく、あったとしてもコンスタントに手に入るわけでもないので、私のうちでは、まさに正月雑煮のこの一点のために毎年必ず私の家庭菜園でかなりの面積を使って重点的に育てています。
またご近所、知人にもこのビタミン菜の評判はとても良く、正月のために9月の彼岸頃に種を蒔き、上手に育成していって高品質なものを年末に収穫するという作り手としての責任も我が家だけのことで済まされない重いものになっています(#^^#)

出汁は昆布、鰹節、煮干し、干し椎茸からとったもので味醂と薄口醤油で味付けしています(出汁12に対して味醂0.8、薄口醤油1程度)。
また実家では丸い餅を煮る雑煮だったのですが、私は関東流に焼いた餅を使った方が香ばしくて自分の好みなので今では専ら四角い餅の焼雑煮にしています。

数の子・黒豆・田作り・高野豆腐

例年は手作りで三段重+二段重位大仕事をして作るのが恒例だったのですが、例年同じことばかりやっても進歩もなく、一度過去を清算して(そんなオーバーな話か!)江戸時代の庶民の習慣に伝統回帰してみました。
数の子・黒豆・田作りというのが基本のようですが、重箱が四つに分かれていて三品では形が悪いのでそれに高野豆腐とさやえんどうを加えました。

田作りも小魚だけというのがあまり好きではなくクルミを加えてアレンジしています。(以下https://cookpad.com/recipe/1395954を参照させていただきました)

干した黒豆

黒豆は豆からの手作りです。6月下旬に種を蒔き、11月中下旬に収穫、約一か月干してからさやから豆を取り出します。
例年は豆にして3合やっとなのですが今シーズンは作柄良く5合程度穫ることができました。
一晩水に浸しておいた黒豆は圧力鍋で18分程度煮ました。

正月アレンジは虎のイメージ?

そんなこんなで、元日は今までにない試みをやってみたのですが、明日からはまた子どもたちも帰ってきたりするので、もう一段重を増やしていこうかなと思っています。












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