叱っても、いいんです。
「ほめて育てる」すっかり子育ての主流、いや教育の主流になっている印象があります。
父親や母親は「ものわかりの良い、叱らない大人」の役を引き受け、躾や厳しい指導は、教師やコーチに外注する。あまつさえ、叱ってくれた教師や周囲の大人にクレームを入れる。これでは子供は育たないと私は考えています。
必要な時に、適切に指導を受けること。その大切さは「ほめる」時も「叱る」時も同じです。
人は間違います。
わかっていても不適切な言動をとることがあります。
子供ならなおさらです。
その時に教えてくれる大人がいないことは、不幸です。
算数で、間違った答えを出してしまった子供に正しい解法を教えるように、生活の上でも同じように教えることが大切でしょう。
本人が気づけていない「他への影響」「危険なこと」「不躾なこと」などを、その子の当たり前にしないことは、私たち大人の責務です。
ただし、教えるにはコツがあります。
タイトルの図を見てください。人の行動領域は、「環境」から「自己認識」の部分まで五つに分類できるそうです。
例えば、宿題を忘れた子供を叱るときには、「行動」や「環境」、つまり宿題をやっていない事実を叱ります。
「この前もじゃないか、どういう生活をしてるんだ」
「全くおまえはだらしがないな」
というような「自己認識」や、「信念・価値観」「能力」にまで踏み込んだ叱責は避けます。
ほめるときには、その反対です。
懲らしめ、自尊心を傷つけても子供に「規範意識」は育ちません。子供は間違いを繰り返します。
「叱って」「教えて」「育て」ましょう。
とっさに適切な言葉を選ぶ力をつけましょう。
叱っても、いいんです。私は、そう思います。