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哭悲 感想



18+Rの映画を久しぶりに見た

先に書いておくと、人によっては不快であったり、気持ちが悪くなるかもしれない表現があるかも知れず、そして堂々とネタバレもするため、それが気になる方はここで戻られたい

見終わった後に二つの感想が生まれた

  • 一緒に見る人がいる場合、相手を選ぶべき

友人からこの映画を見るにあたって「スプラッタ」だと聞いていた
また、映画館で受付の方からも「開始10分から騒がしくなります」と聞いて、ワクワクして見ていた。
ちょっとグロテスク‥というわけではなく、大分グロテスクな作品だった。
10分経った時に、まずこの映画の方向性を決定づける ゾンビ化したおばさんが現れる
ここで補足説明をしておくが、よくあるゾンビ映画と一線を隠すのは感染者に「自我がある」という点である
バイオハザードなどに出てくるゾンビは白目を剥き、人を襲って食いかかるというタイプのゾンビだが、今回の感染者たちは今、自分が何をしているかは理解しつつも、自分の中の欲望を抑えられないというタイプのゾンビだった。

これを見た時に、昔ジャンプで連載していた『魔神探偵脳神ネウロ』の作品最中で取り扱われていた「電子ドラッグ」を思い出した。
画面越しに確認すると、そこから感染し自分の欲望を抑えられなくなるというものだった。たとえば、本当はムカつく上司がいても大半の人たちは理性が働いて殴ろうとは思わないが、その理性という名のリミッターを壊し、自分の達成したい欲望を達成しようとする状態にしていた。
今回のウィルス"アルヴィン"は人々をそういう状態にする。

閑話休題、さて、ではどうして見る人を選ぶべきか?というと、ストーリーの設定として欲望を具現化した人たちを描くので、凄惨なシーンが多いからだ。
たとえば、ゴミ袋に捨ててある赤ん坊がいきなり出てきて、医師がその赤ん坊の首を絞める、電車に乗っていたふくよかな女性(作中では男性にモテない、モテたいという欲望があるように描写されていた 余談だが、舞台にされている台湾でもモテる女性というのは痩せている女性のことなのだなと思った)がいきなり傘の先っぽのところで目を刺されて潰される
眼球を潰されるなんて想像しただけでもグロテスクだろう
その上、最後は潰してきた気持ち悪いおじさん(電車内で主人公の女性に対してナンパをしてくる)が眼球内に男性器をねじ込んでピストン運動をし、快楽を得ようとする

それ以外でも、この作品は「性暴力」に焦点を当てられている描写が多かった。
たとえば、主人公の男性の方がゾンビ街から逃げている中でリンチに遭っている男性を見かける
いわば拷問シーンなのだが、そこでリンチしている少年たちはその男性の股間を、金網に固定した突起物にぶつけようとしていた。
ちんちんがついている男性からしたら痛みを想像するだけで余りある。

また、パンデミックが起きた病院の中では公然とレイプが行われており、そういうのが苦手な方からすると決して面白いと思えるものではないだろうと思った。

以上が、主にこの映画を見ている中で不快だと思いかねない部分についてだった。

  • この映画は何を伝えたかったんだ??

最後のシーンは、主人公の女性が病院の屋上にあるヘリポートにきているらしいヘリを目指して階段を駆け上がっていき、それを感染した彼氏が不気味な笑みを浮かべながら見送るというシーンで終わる
ここで自分はまだ続くと思っていて、ここから彼氏の顔が爆発するとか、いきなり突然変異して彼女に迫っていくとかそういう展開を予想していたが、そこでエンドロールに入った。

これは自分の特性なのかもしれないが、そこで「え?」と思ってしまった
で、何が言いたかったの?という感覚だ。
いや、そもそもそんなものはなく、通常の映画では見られないであろう出血シーンとか、女性の目をくり抜いた後にそこに男性器を突っ込むというグロテスク極まりないシーンを見せたんだからエンタメとして満足したでしょう?というのが作者の意図なのかもしれない

自分はそこに「恐らくこの映画はこういうことを言いたかったんだろう」というメッセージ性を探すのだが、それが見当たらなかった。
乱暴にまとめてしまうなら、アルヴィンというウィルスが台湾のある地域で広がり、抗体を持っている主人公の女性(作中に出てくる医師に言わせると80〜90人に1人)だけ感染しなかった。
だが、彼女の彼氏や周りの人たちは皆感染して、自分を襲おうとしてきたものの、間一髪彼女だけ助かった。

彼氏も、まともだと思ったウィルス研究者も最後には「お前をめちゃくちゃにして皮膚を剥ぎたい」であるとか「実は赤ん坊を殺す時、とても気持ちよかった」など彼らの中に秘められていたであろう人に言えない欲望を暴露していくという展開

たしかにこの症状自体は新しい気もする。自分も先に紹介した漫画くらいでしか見たことはなかった。
ただ、「じゃあここから何かを学んだか、もしくは閃いたか」と言われるとそうではなかった。

エンタメとしてショッキングなものを見たいという人には向くが、それ以外のものを求めている人には向かないのかなというのが感想だった。

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