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一人営業通信dgtl_Vol.3「ヒットの要素1/6_見た目」

#1 見た目

※この記事は、2018年にに営業ツールとして発行したニュースレターを加筆修正してnoteにアップしたものです。

成功事例をひも解いてそこから導き出したヒットのための6個の要素。それを今回から、ひとつずつ解説していきたいと思います。勿体ぶっても仕方がないので、まずはその6個の要素とやらを並べてみましょう。

①見た目
②価格
③品揃え
④ボリューム
⑤差別化
⑥特徴

こうして見てみれば「まぁ、誰でも思いつきそうなことだな」という印象だと思います。そうです、何も珍しいことはありません。僕は当たり前のことを真面目に考えていたのです。
しかしですね、例えばその6個の要素に対する捉え方を考えた時に、果たしてメーカーと小売りの間には共通の認識があるのでしょうか?いえ、そこにはいくつものズレがあります。お互いの「当たり前」が違うのです。
「じゃあその、当たり前ってのが何なの?」というところを、ひとつずつ解説していきたいと思いますので、まぁここはひとつ騙されたとでも思って、お付き合いいただければと思います。それでは早速参りましょう。

#1 見た目

文字にすると非常にバカっぽいのですが、読んだまま「見た目」の話です。言い換えるとパッケージや広告やSNSや制服や看板や・・・外部の人の目に触れるあらゆる外見に共通する部分です(広告屋ですからこれを一番に持ってくることには何卒ご理解を)。
何よりもこれは第一印象というところで、非常に重要な役割を担っていますが、ここでつまずいてしまえば、中身がどれだけ良い物であろうと、あらゆるチャンスを逃すことになります。
それを説明するのには、実際に私がバイヤー時代に経験していた現実こそ好事例になるかと思いますので、先に少し触れておこうと思います。

それはバイヤーと呼ばれる人間の働き方に関することなのですが、例えば、テレビ等でよく見る、いわゆる「敏腕バイヤー」のように、全国を飛び回って現地に赴き、生産者と交渉してパッケージや販売チャネルまでプロデュースして大ヒット・・・そんな働き方ができるのは一部の企業の一部の方です。たしかにそれは理想的ですが、ただでさえ売上の厳しい業界で、それはあくまで理想でしかありません。
では現実はというと、地方店舗に勤めるごく一般的なバイヤーは、日頃からテレビ、雑誌、新聞などといったメディアに目を光らせながら、あらゆる情報をかき集めます。例えばそこから「肉」というキーワードを導き出したとして、肉に関する商品やメーカーをあらゆるメディアで探ります。メーカーのホームページや、他店の催事情報から食べログから誰かのブログやフェイスブックや・・・あらゆる情報を渡り歩いてこれという商品を探し、ある一定の確信を得たら、その中でも「これは!」というメーカーを選んでようやく交渉に入ります。現地まで出向くかどうかは条件次第……悲しいですがこれが現実です。
そこから何がわかるのかというと、つまりはバイヤーが現地で実物に触れるのは、あらゆる条件をクリアした商品であり、その最初の入り口に存在するのが「見た目」だということなのです。
「見た目なんて一つの要素。大切なのは美味しい物を真面目につくっていることだ」
というご意見もあるかと思いますが、しかしその肝心な味にたどり着くためには、見た目を避けて通ることはできません。つまり「見た目」に可能性がないと、味にたどり着く前に、候補から漏れてしまうということなのです。

では、可能性を感じにくい見た目とその理由とはどんなものか。代表的な物を書き出してみたいと思います。

コストを抑えるためか、広告やパッケージを手作りしているパターンを目にすることがあります。先にいっておきますが、これは決して手づくりが悪いという話ではありません。手づくりでも丁寧に作られたものであれば何も問題はないと思います。問題なのは、明らかにクオリティが足りていない場合で、商品写真がブレている。解像度が足りていない。ロゴが明らかにワードやエクセルで自作したもの……。戦略的な意図があってそうした場合じゃない限り、それは恐らく「取りあえず間に合わせた」という中に分類されてしまいます。つまり「雑だな」という印象しか与えないのです。それは僕が広告屋だから言っているわけではありません。
人間は無意識に、日頃目や耳にしている経験から、たとえそれが専門外の物であっても、ある種の常識的な判断基準を持っています。はっきりと言葉にはできない思いでも、常識に基づいて無意識の内に感情に変換されてしまうのです。
つまり、デザインや広告のことはわからないけど、「なんかいやだ」ということが、どこの誰の心にも起こりうるということなのです。
雑な見た目が与える感情は不安です。製造者の規模感や生産能力、もっというなら、その背景にある製造工程や原料の新鮮さにさえ不安を抱きます。

ロゴ、パッケージ、写真、HPなど、いわゆるここで見た目と称しているものは、メーカーの顔です。バイヤーや消費者は最初にこれを目にします。つまりはこれがメーカーを代表するもので、それがメーカーへの第一印象となります。広告や商品というのはひとり歩きをするものですから、一度手を離れて外に出てしまえばそれを訂正するのは難しいでしょう。
肝心なことは、お金をかけるということではなく、きちんと丁寧に作ること、そしてその見た目にきちんと理由があること。この点に尽きると思います。

◆SNSやホームページ
まずはこういった発信をしているのかしていないのか、というところが重要だと思います。そもそも発信をしていない場合も意外と多いのですが、これは実はそこまで気になりません。探す側からすれば少しもどかしいのですが、そういった発信に頼らずに、純粋に商品だけで勝負をされている方の気概は、ある種魅力になります。
問題なのは、発信をしているのに更新をしていないパターンです。ブログやフェイスブックの登録はしているのに、更新が数年前で途絶えている。アカウントだけとってその後何もしていない。
そうなると、「今は営業していないかもしれないな」もしくは単純に「上手くいってないのかもしれないな」という印象を持ちます。
誘う側からするとリスクしか感じません。

紙幅の都合で二つに押さえましたが、書き出せばきりがないくらい沢山あります。それくらい見た目というのはとっつきやすい反面、二の次にされがちな要素なのですね。しかしそこでつまづいてしまえば、リングにすら立てない。たかが見た目、されど見た目です。

そしてもっと言うならば、バイヤーというのは会社員です。組織の中で予算を与えられた一従業員です。つまりヒット商品を探すという行為の根底には、「失敗はできないぞ」「予算を達成しなくては」という非常に現実的な発想があって、それを叶えるために、可能な限り余分なリスクを軽減しようとします。
売上というのはやってみなければわからない側面が大きいですが、商品供給力、製造能力、安心安全、そういった部分は、事前の情報で判断をしなくてはなりませんし、判断ができることです。そうなれば当然、見た目の不足はリスクとなります。
もちろん見た目を整えるだけでは、売上倍増とはならないでしょう。見た目というのはあくまで、中身の良さを引きたてるもの。しかしそれがなくては中身に辿り付かないという、このもどかしくも不思議な無限のループ。
今回は以上。ご参考にされてみてはいかがでしょうか。

・・・つづく

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