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140字で映画はどこまでかたれるか。

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タイトルの通り、筆者が観た映画の回想録です。鑑賞環境は映画館の新作を中心にしていますが、基本的にはあまり拘りません。字数制限の都合上、警告なしでネタバレとなる場合もあるので注意。
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#午前十時の映画祭

「地球防衛軍」(1957年)は、異星人の侵犯に敢然と立ち向かう国際組織の攻防戦を描くSF映画である。脂の乗り切った円谷特撮の外連と、低下した日本人の防衛意識への警鐘を忍ばせる本多猪四郎の熟練の演出が楽しめる大人のエンターテイメント作品で、令和の観客でも十分楽しめると思われる。

山本倫生
7か月前
2

「マルサの女」(1987年)は、国税庁対納税者の骨肉相食む攻防を描くサスペンスコメディ映画である。良い意味でも悪い意味でも場当たり的な伊丹十三の演出が極めて現代的であることを再認識した。所々に挿し込まれる昭和の文化・風俗も大変興味深い。見どころ満載の傑作である。

山本倫生
11か月前
1

「空の大怪獣ラドン」(1956)は、環境破壊の影響で出現した怪生物の脅威を描くパニック映画である。「ゴジラ」(1954)と並ぶ怪獣映画の金字塔とされながら鑑賞の機会が少ない本作だが、戦争の影を引きずらないドライな作劇や、大スペクタクル描写など娯楽作としてもっと評価されるべきである

山本倫生
1年前
1

「蜘蛛巣城」(1957)は、魔女の甘言に乗せられて人生を狂わされる戦国武将の人間模様を描くサスペンスミステリ映画である。人智の及ばぬ現象はあるものの、基本は疑心暗鬼に囚われる人間の本性を描く映画であると再認識した。数千本の矢を射掛けられる三船敏郎の鬼気迫る演技は大画面で見てこそ。

山本倫生
1年前
1

「ライトスタッフ」(1983)は、アメリカの有人宇宙飛行計画に選ばれた男たち“マーキュリーセブン”と超音速飛行に命を賭ける空軍パイロットの生き様を描く実録映画である。今は見る影もない健全なアメリカンドリームを描く栄光と挫折に満ちた193分は見応えたっぷりだが、さすがにお尻が痛い…

山本倫生
1年前
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「未来世紀ブラジル」(1985)は、20世紀のどこかで…から始まる悪夢の世界を描くアドベンチャー映画である。公開する映画が度々トラブルに巻き込まれるテリー・ギリアム監督の「非モンティパイソン作品」ながら最もモンティパイソンぽい悪意と冗談に満ちた映像の暴力は大きな画面でこそ映える。

山本倫生
2年前
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「隠し砦の三悪人」(1958)は、某宇宙戦争映画シリーズの創作者もその影響を認める黒澤(明)時代劇随一のスペクタクル娯楽巨篇映画である。4Kリマスターで明らかとなった登場人物の肌の質感、特に女性の「肉体」の生々しさは良くも悪くも天衣無縫、生命力の発露という感じで非常に微笑ましい。

「赤ひげ」(1965)は黒澤(明)時代劇の集大成に位置づけられるヒューマンドラマである。ビデオでは気づかない撮影技術や音の響きなど初めて見るかのような興奮のうちに映画が終わってしまう至高の3時間5分(休憩時間含む)であった。三船敏郎演じる赤ひげ先生のツンデレぶりが超カワイイ♡

山本倫生
2年前
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「シャイニング」(1980)は世界で一番引用されたホラー映画の最高傑作だが今年(!)になってオリジナル全長版が本邦初公開を迎えたという不遇な作品でもある。レンタルビデオ世代には「今更?」感が無きにしも非ずだが、今となっては「国際版(119分)」も劇場で見たいと思うから不思議だ。

山本倫生
2年前
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