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祖母への思い【祖父が亡くなって思うこと】少し真面目な話。【🔊音声朗読】

注)需要があるかどうか、わかりませんが投稿を音声にしてみました。読むのが面倒な方はこちらをどうぞ! なおコンピュータによる音声合成なので、読み違いやイントネーションが変な部分があります。ご容赦ください。
音声はこちら!⇒【リンク先】

私の祖父と祖母は、夫婦仲が良くはありませんでした。会話も少なく寝室も別。はたから見てもギクシャクしていました。

仕事を持っている祖母には、自分も家計を支えている、という自負があったのだと思います。優しい女性でしたが、一方的に祖父の言いなりになるようなことはありませんでした。

当時は仕事を持っている女性は少数派で、もう死語になっている言葉ですが「職業婦人」というやつでした。自立心と好奇心旺盛で、更に女子では珍しくタバコも吸っていました。

反面、パッとしない祖父は真面目ですが面白味の無い人です。仕事中心で家にいる時間が少なく、家ではテレビを見ている姿しか思い出せません。確かに私が祖母なら、祖父には退屈してしまうでしょう。

でも私に対しては、祖父も祖母と同じように大事にしてくれました。これといった思い出はないのですが、家族のアルバムを見ると、お祭りや遊園地で祖父と手をつないでいる写真が何枚もあります。私が忘れているだけで、祖父との繋がりも、祖母ほど多くはありませんでしたが、あったのだと実感させられます。

その祖父は、私が高1の時亡くなりました。

お別れを言う間もなく、突然の発作での他界でした。

真っ先に思い浮かんだこと。それは、これでこの家は祖母一人。気兼ねなく泊まりに来たり、一緒にお風呂に入ったりできるのではないか、ということでした。

一緒にエッチなビデオを見た後の頃だったので、脳内ピンク色、そんなことしか考えませんでした。

当時の私を恥じ入るばかりです。身内が亡くなった、というのに…。

でも、この時は、そんな思いを全く悪いとは思っていませんでした。

祖母は、お葬式の前後こそ暗い感じでしたが、その後はいつもの祖母に戻りました。意外にサバサバした感じで、さすがに祖母だと、感心しました。

そんな中、数か月経ったある日、祖母の家を訪ねると既に祖母は帰宅していました。祖母が仕事を終えて帰宅するタイミングで訪問したので、今日は休みだったのかとも思いました。

私👦🏻:「来たよー」

と、適当に声をかけ、鍵のかかっていない扉を開いて、勝手に家に入ります。
居間に入ると、

祖👵:「あっ、カズちゃん(私のこと)」

祖母は気付かなかったようです。

祖母は泣いていました。そう、泣いていたんです。
お葬式の時も泣いてる姿を見せなかったのに。

後悔しました。

何か月も経っていたので、「もう祖父の事など、忘れているのでは?」とさえ思っていました。ですので、ショックでした。

何も言えずにいると、祖母は「お茶でも入れるね」といって台所に行ってしまいました。

私には、上手く行ってない夫婦のように見えた祖母と祖父ですが、二人には二人なりの愛があったのだと思い知らされました。

そんな祖母の気持ちを、理解できず、自分の欲望を優先させたようで、とても、とても申し訳なく恥ずかしい気持ちに襲われました。

自己嫌悪です。これからどうすれば良いのだろう。

何ができるだろう、いろいろ考えました。

亡くなった祖父には、もう何もしてあげられませんが、それでも残された祖母の力になってあげることが、亡き祖父への、せめてもの罪滅ぼしだと思いました。

無い頭をふり絞って考え出したこと。

それは「祖母にはできない仕事を肩代わりする」ということです。

具体的には「亡き祖父の代わりになる」ということです。

田舎の一軒家に女一人で暮らす祖母には、苦労する事がいろいろあります。

力仕事だったり、家の修繕だったり、主に家の外の仕事です。

亡き祖父がしていた仕事を肩代わりする、ということです。

もちろん本格的な家の修繕などは無理なので、できる範囲でですが…。

家の中でも細々としたDIYの仕事はいくつもあります。

それら全てを私がやってあげる、ということです。

こんな決意はもちろん祖母には言いませんでしたが…。

その日から、祖母に会った時は、家のことで何かして欲しい作業が無いか聞くようになりました。

雨どいが詰まったとか、お米の買い出し、外壁のペンキの塗り替え、テレビが映らなくなったとか、害虫駆除まで、何でもやりました。

祖母はいつも「無理しないでいいよ!」と言ってくれました。

いつしか祖母の家に来ると、真っ先に「用事を聞き」すぐにその作業に取り掛かり、終わったころ、祖母が「ご苦労様」と言って、お茶とおやつを出してくれるような感じになりました。

「好きな祖母に良く思われたい」とか「祖母に可愛がってもらいたい」とかの下心が無かったとは言いません。
でも、体を動かして動いているうちに、それらの思いはどうでも良くなりました。

何か月か後、

祖👵:「カズちゃん(私のこと)、急に男らしくなったね。」

そう言われた時は少し誇らしく、嬉しかったです。

こうやって男の子は大きくなるんです。股間の話ではありませんよ!(笑)

終わり


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