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#10 「パラサイト 半地下の家族」 社会問題こそエンタメ性で届けるのがトレンドか

【※ネタバレなし】

2020年、ベストムービーが早速決定してしまったような気がする。

カンヌ国際映画祭では、韓国映画初のパルムドールを受賞した本作品。そのインパクトによる宣伝からか、未来が不安されている日本の映画館でも公開してから劇場はどの回も満席状態だった。
日本で大ヒットした「万引き家族」(2018年)を引き合いにされることが多いのも、促進効果の一つ大きいと思う。

けれどもそういった前評判でハードルが上がっているうえでも、間違いなく現代映画として傑作だと感じた。

予告編を観ると終始ミステリっぽい雰囲気を感じたが、全然そんなことない。むしろコメディタッチなシーンを多く含まれるし、劇場で笑いも起きていた。

一方で前半の喜劇から、後半は悲劇へと変調していくさまは、一気に劇場内の雰囲気が確実に変わっていた。
その内容について触れることはできないが、韓国における社会問題を劇中に出てくるキーワードを元に、鑑賞前でも後でもいいから調べてみようとする人が多いと思う。
ユーザー(鑑賞者)に行動促進を与えられるコンテンツはやはり強い・・・。
これが小説では伝えるに不十分だっただろうし、舞台、あるいはドキュメンタリーではマスに届けれらなかったと思う。


・SNSで、観た人たちが「誰かとパラサイトについて話したい!」となっている現象
・つい最近の日韓関係を一瞬でも払拭させる、例え同情でもいい韓国社会への理解

こういった観た後に行動の変化や、考え方の変化を多少なりとも起こさせる映画は少ないので、どんどん広まっていくし、そうなるべき作品。

ネタバレにならない程度で個人的な感想一言を触れると、

登場人物に金持ちも貧民も出てくるが、全員人格者だと思うし悪役などいない。それでも絶対に理解しあえないズレが生じて悲劇へと繋がってしまう。
何が原因で、何を変える必要があって、何ができるのか。
世界各国でヒットしているのは、共通してそこにあると思う。

アカデミー賞にノミネート(ジョーカーも)されているから、是非取ってほしい。


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