日比野丸天

徒然の中にあぶれる丸や点、繋ぎ合わせて幾星霜。 短くも鋭く、脆く、歯痒く、紡がれた言の…

日比野丸天

徒然の中にあぶれる丸や点、繋ぎ合わせて幾星霜。 短くも鋭く、脆く、歯痒く、紡がれた言の刃たち。 情けないほどに未練がましい悲観論者。

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天国

天国なんて ないんだよ 君といた この世界そのものが 天国だったんだから

    • あの日の記憶

      その昔漫画を描いていた 小学3年生での出来事である それまでの私は引っ込み思案で 授業の時に先生に当てられて発言しなくては ならないという恐怖心と毎日向き合っていた 偏食も激しくいつも5時間目の終わりまで 給食を食べているような超絶インキャ人生だった 学校終わりはまっすぐ帰らずに 家とは真逆方向にある親の勤務先に向かい 仕事が終わるまで待って一緒に車で帰っていた 友達と呼ぶ人はたくさんいたが 各々が仲良しグループを構築しており その中の一つになんとなく入れてもらっていた

      • かけひき

        かけてひいたら いったいなにがのこる きみがかけることばに ぼくはひかれてしまう のこったのはここちよくも もどかしいはがゆさでした

        • あの日から

          いつだか思い出せないあの日から 本来なくてもいいものが なくてはならないものになって苦しくなった そんな中毒じみた感情を 見知らぬ場所へと埋葬してきた もう掘り返すこともない 誰も知りようのない 気が狂いそうになるほどに 芳醇な腐った過日

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          来週も好きでいさせて

          もう終わってしまったんだって わかっていても いつも日曜日の夜には会ってたからさ あ、今日はそうじゃないんだって いつもの駅を降りたその先のコンビニで 待っていたって意味がないんだって もう隣にいることはないけどさ 来週も好きでいさせてよ

          来週も好きでいさせて

          左目を閉じて

          見えすぎてしまうから 半分くらいがちょうどいい

          左目を閉じて

          盲目

          もう見たくないんだよ そうやって楽しそうにしてる姿をさ 何にも関わり合いがないのに 過剰なほどの嫉妬心を抱いてしまう そうやって僕らは 目に見えないはずの何かを 愛してしまった

          音楽

          あの日君が教えてくれた音楽を 今でも聴いているよ なんの繋がりも無くなったのに こうやっていつまでも 記憶が繋がれているなんて 皮肉だね

          呼吸

          信じられない 物事ばかり 右耳から届いた 雑音が脳内を駆け巡り 裂けて千切れそうな 感覚だけが残留する もうどうにでもなれと 投げやりになるし 考えることを もうやめにしたい とりあえず 深く深く 呼吸をした 呼吸をしてみたんだ 意味もなく

          流転

          生と死の狭間に堕ちて 後悔の朝を待とう 声と詩の輪郭を描いて 期待の夜を迎えよう ほっといてよ 今そんな気分じゃない かまってよ 今ひとりにしないでよ 大人になった子供に 一体何を伝えよう 子供のような大人に 一体何て伝えよう 退屈さ 間違いなく この世は裸足で歩けない 屁理屈さ どうしようもなく 罵倒せずにはいられない 無い物ねだりをしたり 食わず嫌いをしてみたり 多くを求めすぎて 本当に必要なものが分からなくなる とても窮屈な部屋の隅っこで 視覚で死角を見つめ

          散華

          あの時言われた言葉を いつまでも引き摺っているくせに この角に桜が咲いていたことなんて ほんの数日で忘れちゃうなんてさ 罪だよね

          forfeit

          言葉を覚えてしまったが為の代償 まっすぐに気持ちを伝えたいのに 不必要な言葉の取捨選択 花弁が散る時のあの侘しさを どう表現したらいいか解らない 単純な言の葉の羅列を 紡ぎ取っては歌にしたい そんな不器用で曖昧な ぎこちなさを受け止めてほしい 恋を失くしたと気付くまで

          日陰落とし

          いつの間にか蝉の鳴き声は消え失せて 冷房で怠くなった寝起きの体に 昨夜仕込んだ水出しコーヒーを流し込む もう何度も同じような朝を経験して 今日が何曜日なのかも興味がなくなってきた まだ夏休み期間の子供たちが朝から駆け回り 駅のホームは対照的に人影は疎だ 時折り肌を掠める風が心地よく 高くなっている空を見上げて夏の終わりを感じた コンビニ横にいた白い野良猫が 実家で飼っていた猫にそっくりで懐かしくなった 当たり前にあるこの景色が また来年もこの場所にいる

          日陰落とし

          孤独は幸せ

          孤独は幸せ 誰にも自由を奪われない 孤独は幸せ 感じる全ては僕のもの 壁の向こうに 憧れを抱いたりしない そこには何も 待ってはいない 孤独は死合わせ 待ってたのはそれだけ ただそれだけ

          孤独は幸せ

          体温

          感じ慣れた体温を見失ってから 私は毛布の中で居場所を探してた もう何度目かの冬 変わったのは毛布の手触りだけ 変わらなかったのは私の心 もう戻ることのない温もりを あの日の記憶に求めている

          残映

          夕焼けに染まるビルの陰で 僕たちの姿が見えない 本当に必要なものは それほどないのかもしれない