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商品開発手順書

商品開発手順書
ついに日本全国緊急事態宣言が出されました。この機会に休業して再開した際のために商品開発をしようという方も多いかと思います。

下園薩男商店は1939年創業のウルメイワシを主に扱う丸干し屋です。
ですが2013年に「旅する丸干し」という丸干しのオイル漬けを様々な方の協力で開発し、天皇杯受賞。こだわった商品を取り扱ってくれる日本全国のお店に納品させていただいております。

そこから、私だけでなく商品開発をしたいという新入社員が地方産品をつかった商品開発する際にどのような考えでおこなったらいいのだろうと、2015年から商品開発手順書を作成し、毎年新入社員に内容を伝えながら上手くいかない所は改善していきました。

商品開発と言うと、最初からどんな味にしようと色々作る方も多い印象ですが、うちの場合はその前に様々な事を考えてから商品の味付けなど考えます。

大手の大きなマーケットに売る場合はまた違ってくると思いますが、地方産品を使う場合はある程度沿ったものが出来上がるのではないかと思います。
人によって全く考え方も違うと思いますが、「商品開発をしようと思うけど、何から手を付けたらいいのかわからない!」という方、一度目を通してもらえればと思います。

冒頭の画像は常に頭の中に入れておくことを1枚にまとめた資料です。商品の事だけを考えるのではなく、商品・お客様・売り場を常に考えて、リンクするようなクセをつけておくと良いと思います。

下記は商品開発の際の具体的な考え方です。

商品開発手順書 内容

■商品開発するにあたって常日頃心がける事
① 情報収集
様々な地域(他県、国外)の特徴を気にする。そして自分たちの地域(北薩、鹿児島、日本)を見て、この地に何があるのか、そこで気づいたことや、関心を持つものがないか常に考える。
② お客様層 どういった方達がどういった事に興味を示しているのか。もしくは自分が惹かれたものに対して何故かを調べる
*個人情報(名前、学歴、年齢、住所、家族構成)
*趣味(好きな事)
*どういった時にその商品(サービス)を買うのか
*服装や休日何をしているか想像ができるくらい明確に考える。
③ 販売されている商品のスペック概要。どういった商品がどういったスペックで販売しているのか。
*販売価格
*商品名
*量目(何人分or何食分)
④ 目にとまった商品は、どういった商品概要・特徴(ストーリー性)があるのか。

■ 商品を開発する上で考える事 
・会社の理念に沿った商品を最前提に考える
・流行っているからという理由で作らない。
・アイデアは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない。
 自分の持っている知識(情報)の組み合わせからでてくる。

*企業理念
『今ある「コト」に一手間加えることで
それを誇り楽しみ人生を豊かにする。』

味付けやデザインではなく、何のためにその商品を開発するのかを明確にする。それが無いのに味付けやデザインを考えても他社にすぐマネされる商品にしかならない。

■商品コンセプトを整理する情報収集
*Q1.考えている商品がどのように会社の理念に沿うのか。

*Q2.どのようなお客様が喜ぶ商品か。それを使用するお客様の情報を収集する。どのような家族構成、どのような課題をかかえているか、どういった所に出かけているのか等、その他そのお客様に関する情報を集める。

*Q3.そのお客様はどのような場所で販売していたら喜んでくれるか。どのような売場が適しているのか。情報を収集する。

*Q4.同じような商品にどのようなものがあるか、何故人気なのか、商品名、販売価格、量目、商品説明などなるべく多くのものを調べ、人気のものは購入して試食する。

*Q5.集めた情報からどういった商品にすればよいか、アイデアを突飛なものも含めてすべて書きだす。これが浮かんでこない場合はまだ情報収集が足りない。
商品スペック含め、どの情報とどの情報を組み合わせればよいのか嫌になるまで考える。
商品スペック
・販売価格: 円
・商品名:
・量目(何人分or何食分):
・商品のストーリー性:
・味付けなど

*Q6.一度心の外に置き、真剣に考えることをやめる。頭の片隅にその課題があるということだけ認識した状態で、無意識のうちに自分の中の何かがアイデアを結びつけるまで待つ。
・思いもよらないような瞬間に「これだ!」というようなアイデアがでてくる。
 これだったら売れると自信を持てるような内容になるまで考える。

*Q7.アイデアがでてきたらそれを具体的に販売するにあたって商品に落とし込み、その内容を読んだら買いたくなる様な文章に落とし込む。

・商品名:
・商品特徴・説明:
・売価イメージ:
・どういったお客様向けか
・どういった場所で販売するか
・その他この製品に対する意気込み等

**考える上での注意事項**
味付けの調整はマーケティング、日保ち検査等でその都度変更がでてくるため、最初から完璧に仕上げようとしない。自分がこの商品内容であったらいけるのではないかと思えるものを作ったら次にすすむ。

使う材料や味付けに対しては、Q2で考えたお客様がその材料を使う事によって惹かれる商品になるのかを常に考えて材料や味付けを考える。これを使うと美味しそうだからこの材料を使うというより、この材料はこういった特徴があり、それだとQ2のお客様が気に入ってくれるからこの材料を使うというところまで考える。

■上記の内容で売れそうか判断し、上手くいけるとイメージがつけば下記にすすむ。
① 商品開発メンバーに発表し意見交換
② 意見を取り入れ商品コンセプト修正やでた意見の追記
③ 味付け原材料の情報収集(どういった味付け原材料を使うか、具体的に決める)
④ 初回レシピ案紙面上作成
⑤ 大体の原価計算(この段階で売れそうにない価格の場合は再度検討)
人件費、材料費、資材費、送料、利益

⑥ 試作品の作成
⑦ 日保ち検査(細菌検査)味の調整をしながら
常温品は必須。冷凍、冷蔵商品で購入後加熱して食べていただく商品は経験で大体わかるものは後でも良い。
⑧ マーケティング(社内、社外)
商品内容、試食や使用してお客様がどう感じるかを聞く。
⑨ 売場、売価の設定
⑩ 日保ち検査の実施
実際の販売環境でどのくらい日保ちするか。常温品の賞味期限の長いものは負荷テストを実施。
⑪ テスト販売
実際に販売し、お客様の反応を見る。
⑫ 商品化に向けて味の調整
⑬ 最終日保ち検査の実施
⑭ デザイン化
⑮ デザイン等修正

*味付けの調整はマーケティング、日保ち検査等でその都度変更がでてくるため、最初から完璧に仕上げようとしない。
*慣れてくれば商品コンセプトを整理する段階で大体の原価、販売価格、日保ちするかどうか、味・パッケージイメージをしておく。


長くなりましたたが、以上が私達の考える商品開発手順になります。私達のお店イワシビルも厳しいし、魚も獲れないし難題ばかりですけど、魚が全く獲れなくなった場合の商品開発も考えなければなりません。新商品が出たら皆さん買ってくださいね!
現在の常温商品は下記で販売しております。

イワシビル オンラインショップ

https://maruboshi.thebase.in/


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