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The Honeymoon Trap by Peter Swansonよむよむ

この本も短編で2022年に発表されてる。もしかしたら、電子書籍だけなのかも。ミステリの短編のシリーズ、ビブリオミステリーズの一冊で、出版社はオープン・ロード・インテグレイテッド・メディア。この本は、全然いつものお話と違うので、Goodreads(アメリカの読書コミュニティサイト)でも人々が困惑していた。どちらかというとファンタジー・ホラーというのだろうか。私が想像したのは『世にも奇妙な物語』、もっというなら『笑うせえるすまん』的な怖さのあるお話でした。私もこれは本当に本人書いてるのかなと思ったけど、ツイッターで本人がコメントしてるのを見つけたので本物なんだと思った。(あまりにも違うので)

でもスワンソンのファンはびっくりすると思う。なんと第2作『そしてミランダを殺す』の舞台の一つでもあるフロリダのスウィートガム(という架空の町)が出て来るのだ。だから、つながる話なのかなと思ったけどそういうわけでもないみたい。

主人公はアリス・ストーンとこれまた金に困っていない男ヘンリー・レヴィンが出会って結婚して新婚旅行に行く物語である。(これだけだとEvery Vow You Breakに似てる、アリスがヘンリーにお願いするルールもEvery Vow You Breakと同じ)。スワンソン作品はニューイングランドばっかりのイメージがあるけど、フロリダも多い。フロリダといえば殺人事件(違う)。今回二人が出会うのはフロリダのサラソタでここは『8つの完璧な殺人』のマルコムが古本フェアで出張に行く場所。今回も、ここでアートフェアがあって、そこで二人は出会う。フロリダから始まって新婚旅行でニューイングランドに行くいうお話です。

ちなみにこの短いお話の、読みどころは、二人の出会いとハイスミス。『そしてミランダを殺す』のときもリリーはハイスミスの『殺意の迷宮』を読んでいたが今回は二人の出会いはアートフェアで、アリスはハイスミスの『愛しすぎた男』を読んでいて、書評家のヘンリーに自分がどんなにハイスミス作品が好きかを語る。

“I started with The Talented Mr. Ripley, because I’d fallen in love with Plein Soleil. Have you seen that movie? And the only reason I watched that film was because I’d fallen in love with Alain Delon, the actor. And now I’m reading all of Highsmith’s books. It’s like falling down a rabbit hole.”

Swanson, Peter. The Honeymoon Trap (Bibliomysteries) (p. 8). MysteriousPress.com/Open Road. Kindle Edition.

私、映画の『太陽がいっぱい』が大好きだったから小説も読み始めたの。あの映画見た?私、あの俳優のアラン・ドロンが好きだっただけだからあの映画を見たんだけど。でももうこれで全部のハイスミスの本を読んでるの。ウサギの穴に転がり落ちるみたいに。(訳は私)

これで書評家のヘンリーはもう完全に惚れてる。

本棚は今回もかなり重要なものとして出て来る。どんな作品が入っているかというと知らない作品がたくさんあるが、楽しみがたくさんあると思おう。だいたいスワンソンだってKeigo Higashinoは知らないかも。MORI Hiroshiとか, Miyuki Miyabeは知らないのではないか。(だからなんだというわけではないけど)。

まず、ジョン・D・マクドナルドのトラビス・マッギーシリーズが
21冊、『濃紺のさよなら』からThe Lonely Silver Rainまできちんとそろっている。(森博嗣のS&Mシリーズ全部あるみたいな感じかな?赤川次郎の三毛猫ホームズ、男っぽそうだからどちらかというと東野圭吾ガリレオシリーズとかかな)オリジナル版のリチャード・S・プラザーのシェル・スコット刑事シリーズ。レックス・スタウトのネロ・ウルフシリーズが全部と『手袋の中の手』がある。それから、ジム・トンプソンの 『内なる殺人者』と『残酷な夜』それからエド・マクベインの87分署シリーズ『八千万の目』と『空白の時』、エヴァン・ハンター名義の『去年の夏』ミッキー・スピレインとエルモア・レナードの間に、ヘンリーは例の本を見つけるのです。やっぱり、ここに気合いがすごく入っていると思う。(最後にもう一度出て来る)



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