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【質問まとめ】1年間学んだ感想・コース概要

こんにちは、maruoです。

修論を8月中旬に提出し、先日無事帰国しました。
久々の日本をじっくり楽しみたいところが、長時間フライトと寒暖差でしっかり風邪をひき、ロンドンに続き、引き篭もり中です。😅
体調が治ったら就活をせねば、といったところです、、人生の道のりは長いです。

さて、全部が一旦終わった今、私が所属していたMSc Development Managementについてこれまでいただいた質問をもとに紹介していきます。
以前にも簡単に概要を説明していますが、こちらは1年学んでみた感想も交えてまとめたいと思います。


LSE・国際開発(ID)コース一覧

LSEのDepartment of International Development(以下ID)には全5コースあります。
・MSc Development Management(以下DM)
・MSc Development Studies
・MSc Health and International Development
・MSc International Development and Humanitarian Emergencies(以下IDHE)
・MSc Economic Policy for International Development

Q. コースの違いについて

それぞれの違いはHPの概要、主に説明しているところがそれぞれのコースが強調したい部分になってくると思います。例えばDMなら、国の制度に着目して国際開発を考える視点+consultancy projectsが他より大きく異なるところ。
ですが、どのコースに所属していても必修以外、大体3コースはID内から選択できるので、基本どのコースにいてもどの授業も履修できます。dissertationも他のコースは分かりませんが、DMなら広い意味での国際開発に関していればOKっていう特にトピックも決められていませんでしたし。

ちなみにID以外の例えばpolicy, IPE, IRの授業を履修したい場合にもcourse convener(各コースリーダーみたいな先生)から許可がもらえれば 履修できます。

Q. DMの詳細・全体的な感想

DMの他と違う点は先ほど書いた通り、国際開発を国の制度という面から分析すること、そして目玉のconsultancy projectです。(IDHEもconsultancy projectあるそうです)
全体的な感想としては、選択肢は間違ってなかったと思います。課題やセミナーの節々で「もしあなたがどこかの途上国の開発マネージャーになったら」という仮定で話をする先生が多く、それを目的・基盤にしたコースなんだろうと徐々に感じていきました。
なんせコース名が「開発マネジメント」なので、そりゃ開発をマネジメントする側になりたい人、そういう仕事に就きたい人がくるコースなので上記の教授の発言は的を得ているんですけどね。

コースの内容としては全体的にはよかったですが、事前に知りたかった点はもちろんいくつかあります。
①アジア人の少なさ
在籍学生の国籍は、(感覚では)スペイン語圏や他のヨーロッパ圏が圧倒的に多く、アジアは東アジアは特に少なく、南アジア(インド含む)もそこまで多くありませんでした。中国人の学生もDMには知ってるだけで2-3人だったと思います。日本人は私1人、韓国人も2-3人(例えば、ethnicityは韓国、nationalityは米国、なんてこともあるので一概には言えませんが)でした。
目に見える違いとして、この人種グループが多い、というのは特になく、その意味では多様性が保たれていたのかもしれませんが、アジアが少ないのは結構心細くも感じます。

ちなみに男女比は、女性の方が多かったです。なぜでしょうね、分かりません。

②教授のnationality, ethnicityの重要性+研究対象地域
これは、確かに入学前から得ることのできた情報ではあったものの、あまり注意しておらず、もっとみておけばよかったと思った点です。
nationality, ethnicityに関してはやはり欧米圏出身+非有色人種が目立ち、男女比は半々くらいだと思います。これもアジア圏出身の先生は、2-3人だと思います。(インド含む)

教授たちの研究地域も、前に触れましたがアフリカ地域やラテンアメリカ地域が多く、東南アジア地域を研究対象にしている先生は少ないです。というよりその地域を軸にした授業がIDにはなかったです。

IDにはspecialismという専門領域?なるものがあり、specialismを専攻していた学生は修了時に「MSc Development Management **specialism」と言った感じでタイトル?が付きます。
specialismには3種類、"African Development”, “Population Studies”, "Applied Development Economics"があり、特定の授業を履修することでこのspecialismを得ることができます。

このspecialismがもう表すように、アフリカ地域の開発に関心を持つ生徒が圧倒的に多く、まあそれなりにアジアに興味を持っている生徒もいるとは思いますが、対象の授業は何年か前から消え(?)、教授の中でもアジアを研究地域にする先生がほぼいない、ということを考えるといかにDMというかIDが向いていないか、が浮き彫りになると思います、、。
その点では、英国自体が地理的距離からそもそもの全体的な興味が遠いのか、LSEだからなのか、よく知りませんが、SOASとかの方が自分の関心に近い授業を履修し、それに近い教授もいたのかなあとも思ったりします。終わったことなのでなんとも言えない、それに勝手に思ってるだけでSOASの詳細は全く知り得ません。

③メンターに選ぶ教授の基準
これは以前にも冬学期の振り返りで話しましたが、私はまあメンターとは色々あり、例外としてメンターを変えてもらうという事態になり、最終的には正確にアドバイスをくれる先生に修論について相談できたので、終わりよければ全て良し、です。
が!メンターに選ぶ先生は、オンライン上の情報からは難しいので、何人か選んで、メンターの予約ができる時期になったらすぐ会いに行って、話し方・態度など、人間性を見て判断するのが絶対おすすめです。
この際、メンターの教授の研究内容なんて優先順位第2位です。一番大事なのは、いかにその先生が自分が助けを求めたときに、真剣に向き合い、頼りになるか、です。てかそんな基礎的なこと、当たり前に全ての先生にそうあって欲しいんですけどね!!どれだけの学費を払ったと思ってんだか!!

ちなみに、このメンターを選ぶ制度、departmentによって異なります。IDの学生はメンターのみ、修論専用のsupervisorはいませんでしたが、IRやinternational historyの生徒はメンターとsupervisorそれぞれ1人の学生につき、2名の教授がついていたようです。この場合、supervisorは自分で何人も会いに行って相談して、supervisorになってもらえますか、とまで話して決めるようです。このsupervisorの有無の理由も誰も分かりません。(よく分からないルールだらけです)

Q. Consultancy Projectの感想

consultancy projectは個人的には大変やったけど楽しかったし、やってよかったなと思える経験の1つです。
何より、ILOをクライアントにプロジェクトに参加できたこと、いろんな方に話を聞けたこと、そして自分よりも社会人経験値のある大人たちと一緒に作業をして吸収できたこと、が大きな経験になりました。

これも運よく第一希望であったILOのプロジェクトに配属されたこと、グループメンバーが他人を思いやれる人たちだったこと、そして女性のみ、半分以上が社会人経験なしの学部卒だったことが良い経験と言える大きな要因だと思います。
他の、もしくは過去のグループでは、グループ内で社会人経験のない学部卒の子達を見下した発言や男性メンバーによる女性軽視的な発言など、問題もあったようです。中にはその後どうなったのか分かりませんが、もうこれ以上グループワークできない、と修復不可能な域まで問題が達したグループもいたそうです。consultancy projectは0.5ユニット、つまりは学位の1/8を占める必須コースです。考えただけで恐ろしい。

この点においては、私の所属していたグループはグループ内のバランスもタスク分業もちょうど良かったと感じます。ちなみに人種構成はチリ、インド、バングラデシュ(英国生まれ・育ち)、韓国、日本で、アジアがほとんど。チリの女性が最年長・社会人経歴もグループワーク経験も多く、リーダーとして引っ張っていってくれてとても助かりました。
グループワークが始まった時は、右も左も分からなくて、ワークをどう進めるのかにすら不安を抱いて、どうすればいいのか本当に分からなかったですが、ワークが進むうちにメンバーの個性も得意なことも振る舞い方も分かってきました。うまくいかないこともありましたが、他者との間に大きな経験の差がある中で、自分の役目を最終的に見つけられたのはこれからのキャリアを考える上で大きな学びだと思いました。

履修した授業一覧・感想

私は選択科目では、秋学期に2つ、冬学期に1つ履修しました。冬学期の初めはconsultancy projectのレポート作成に追われると想定し、このような組み方にしました。
DV431は通年、1ユニットある授業で、他は0.5ユニットです。

PP448 - International Political Economy and Development

おすすめ度:0%
IDの中で興味のある授業が他になく、public policy(MPP)のコースから履修した授業です。IPEであり、開発と書いてあったので取ってみましたが、policy memoを作る課題や先生が変わった人で目的の分からないグループワーク(まさかのrole playing)があったり、感想としては違う授業取ればよかったなと思う授業です。

policy memoの課題に関しては、書き方やそういう課題があること自体に馴染みがなく、その点では初めての学びが多かったです。
でもレクチャー全体としては、IPEだからなのか、先生のレクチャーの方法なのか、私の知識不足か、分かりませんが、個人的には分かりにくいと感じました。
なのでレクチャーというより、毎回外部講師による特別講義を聞いているような感覚になり、結局どの主張を重要視しているのか不透明で、何を吸収すべきだったのかがいまだに分かっていません。

それに、担当教授のDr. Chris Sabatiniは、その界隈では有名な方らしく、確かアルゼンチンの選挙があったときに関連の出張でレクチャーなし、振替授業なし、で内容遅れてるのにその次の回で外部講師連れてくるという事前に配られたシラバス全無視の超自由な先生で、私はその柔軟さが合わず、ちゃんと目的に沿って授業してほしかったです(笑)最終的には読んできてっいうreading listもシラバスとは違うやつを提示してきたり、合わなかったですね。
あと!これほんと今でもどうかと思う話ですが、その先生のoffice hourを私計4回も予約して、1回目はダブルブッキングかなんかでキャンセルされ、2回目は息子が家に鍵を忘れたかトラブルですっぽかされ、じゃあ次はコロナになってしんどくて無理、4回目にしてやっと話聞いてもらえたものの、zoomの後ろで息子は走り回るし、ふざけてんのかともう呆れました!!勿論その間に何回もメールでやりとりしてますよ。そういういい加減な対応をされるたびに高額な学費と親への借金が頭を泳ぎ、やってられねえと思ってました。笑

(履修の事前に外部コース所属だが履修可能か確認のためにメールで送ったんですが、23/24から担当教授が変更になり、私は間違って以前の教授にメールを送ってしまったんです。その教授はメールがすごく丁寧で「LSEへようこそ」とまで暖かいメールをくれたのがすごく印象的で、その先生ならまた違ってたのかなあと思ったりもしますが、過ぎたことです、、)

おそらく、IPE and developmentという大きなテーマをpolicyという大きな手段(?)で覆う、すごく抽象的なトピックについて触れていたので仕方ないのかなと思いましたが、わざわざ別のコースから取る必要はなかったなと振り返ると思います。

ちなみに評価方式は、role playing(セミナーごとのグループ評価), policy memo(2000字), 24h take home examです。

DV464 - Democracy and Development

おすすめ度:95%
LSEの中では唯一の民主主義についてのレクチャーらしいです。social scienceなのに唯一という点がなんとも言えず、民主主義は当たり前の概念じゃないんだから勉強する意味あるだろうと思うんですけどね。

全体的な感想としては、DV464はとてもおすすめです!民主主義と経済成長についてのいろんな理論を1960年代から現在に至るまでズラーっと見ていくのが主なレクチャー内容で、それと現在の事象と照らし合わせたり、逆に非民主主義(権威主義や共産主義)について見るレクチャーも1回だけではありますがあったり、政治体制と経済成長の因果関係について勉強できるので私はとても興味深かったです。

課題も2000字の中間レポートと4000字の最終レポートのみ、テストなしなので、私含むそこまで英語が得意じゃない人にとっては本来の実力を出しやすいと感じます。

理論を学ぶのが苦じゃない、むしろ楽しめる人はいいかもしれません。あと教授のDr. Elliot Greenがアフリカ地域を対象に研究していらっしゃるので、事例はアフリカ地域が多めでした。あと、(コースメイト曰く)西アメリカの方出身のアクセントを持つ教授なので、英語が無茶苦茶早いです。早口言葉かってくらい早かったですが、office hourではちゃんと話聞いてくれるし、いい先生です。

DV424 - International Institutions and Late Development

おすすめ度:95%
こちらもDV464と同じくおすすめの授業です。
IPEの手法を用いて、WTOなどtrade regimeや国際経済ルールのルール策定の裏にある各国のパワーバランスに着目する内容です。

貿易や経済ルールの背景にあるパワーバランスなんてそこまで考えたことなかったし、そもそも新しい分野というか研究領域らしく、多くの学生にとって新しい学びになるだろうと説明されてました。
本当にその通りで、知れば知るほど学部時代にIRでやった「従属論」や「世界システム論」との類似点が出てきて、国際開発というよりIRで培った視点を使って新しい学びを深めることができたので、逆に新鮮でした。

初めは新しいことすぎて、この考え方はちゃんとトピックに即しているのか、ちゃんと内容を理解できているのか不安でしたが、案外最終評価はどの授業よりも高く、確実にIRでの4年間のおかげだと思ってます。
こう見ると、国際開発と国際関係の違いってなんだろうって聞かれたり考えたりしますが、部分的には繋がっていて、全く違うってことはないんだと思います。

こちらは具体的な事例はなく、途上国 vs 先進国という構図が主な見方でした。担当教授のProf. Ken Shadlenは私のメンターでもあり、生徒想いの本当に良い先生で、IDの中では一番じゃないかって思ってます。笑
1年未満しかいない学生たちにあれだけの歓迎の意を込めた対応ができるのは当たり前じゃないし、その暖かさに驚くと同時に学生の評判と完全に比例しているなあと思います。

評価方式は、1500字のレポート2つ、2時間のsit down examです。

DV431 - Development Management

こちらはDMの学生全員必修授業です。
おすすめも何もありませんが、とにかくリーディング量が毎回4-5article/chapter読んでこないといけなくて、大変でした。

あと、毎週ID内の違う先生がレクチャーしてくれるんですが、いわばその先生たちの研究領域を1週か2週で説明するので、情報量と時間が正確にマッチングしてないんです。情報量に対して時間が足りない。
それにいうたらIDにある選択科目それぞれの内容を1, 2週でささっとやるようなもので、難しいことの表面的な理解ってむずかしいんですよ(伝わりますかね)
求められていることに対しての向こうからの供給量が足りてないと思ったし、1年のマスターコースは仕方ないのかも知れませんが、DV431は不十分さを特に感じました。

ちなみに最終成績はこれが一番低く、自分では何がダメだったのかもうコメント見るまでわかりません。他と同じようにしたはずなんですけどね。抽象的かつ広すぎるトピックのものは学部時代も評価が低く、苦手なようです(当たり前にも感じますけどね、広すぎるもん)

中でもレクチャーを最後まで興味を持って聞くことができたのは、Prof. Naila Kabeerのhousehold structure, gender relationsの週でした。
残念ながら今期いっぱいで引退されるようで、DV431におけるその回及び彼女の実施してきた授業は変更されることになると思いますが、教授の伝え方や話すスピード、話し方はすごく興味をそそるようなもので、2時間があっという間に感じました。feminismって勝手にextremeなイメージを持っていて、特に関心を持つこともなかったんですが、gender relationsと開発の因果関係も面白いなと思いました。
面白いと思っても、来期に取ることはできないし、もう修了するしで、これ以上学びを深められないのが1年のマスターコースの惜しい点だと感じます。その分、新たな関心を持って違う場所でその関心を追求することはできるので、可能性を与えてくれたという受け取り方もできるのかもしれません。

以上が履修したコースの内容と感想になります。

こうやって振り返ってみると、こうすればよかったなあとかこれ取ればよかったなあと思うことも少なくなく、後悔は必ずどんな経験にも伴うと改めて感じます。
でも23-24歳の自分の精一杯の結果なので、それはそれとして受け止めることにします。

これからDMに進まれる方の参考に少しでもなれば幸いです。
ここまで読んでいただきありがとうございました^^



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