見出し画像

STIフードHD(東証スタンダード/2932) 株主総会レポート 2023/3/24

 東証スタンダード上場のSTIフードHDの株主総会に出席しました。当記事では、株主総会の様子についてご紹介したいと思います。なお、当記事は私の個人的な心証に基づき脚色した内容であり、業界にも全く知見はないため内容の正確性は保証出来ない点はご了承頂ければと思います。
 以下画像より私のツイッターアカウントへリンクを張っています。記事の内容についてのご指摘、ご質問、感想などがございましたら、お気軽にコンタクト頂けますと幸いです。頂いた内容は、私の学びにもなりますのでぜひお願いできればと思います。

1.はじめに

 STIフードHDの株主総会は昨年に続き、2回目の参加となります。昨年の株主総会のレポートを以下に再掲しておきます。

 同社は決算説明会をQAを含めて動画配信されています。QAを含めてアーカイブされている所がポイントで、QAを含めて残して下さっている会社さん多くはないわけで貴重な存在でもあります。株主総会に向けてはこの動画を視聴の上、質問を用意して参加することにしています。

 私の投資先企業においては、クラシコムさんやSHOEIさんも該当しますが、STIフードさんもまた経営危機に瀕した経験を経ています。そういう会社は色々な部分に見所が垣間見れるものだと感じています。同社の場合、B2B2Cの事業でもあり、直接商品に触れる事は出来ますが、経営サイドでの対話の機会はごく限られているのが実情ですので、株主総会は会社との接点を持ち、会社の色を感じられる機会としては貴重なイベントとなるわけです。

2.株主総会の流れ

 それでは、株主総会の全体の流れについてご紹介しておきます。あくまで手元の時計でのざっくりしたものですので、大雑把な雰囲気を感じて頂ければと思います。

10:00 開会 (十見社長)
10:02 議決権個数の確認(事務局)
    今年:3,501人/9,789人(36%) 45,840個/59,231個(77%)
    昨年:1,429人/4,052人(35%) 45,784個/57,509個(80%)
10:03 監査報告 (小川常勤監査役)
10:05 報告事項・対処すべき課題 (ナレーション)
10:12 前期及び今期の見通しの説明 (十見社長)
10:35 議案上呈 (十見社長)
10:36 質疑応答 
11:05 議案決議
11:08 新任取締役挨拶
11:10 閉会

 議決権行使状況ですが、まず株主数が大きく増えています。株主優待の人気による所が大きいのかなという所ですが、行使率が下がっています。8割くらいは行使率があった方がよいですね。
 それから事業説明の所ではナレーションで対処すべき課題までをサラッと流した後で十見社長が自分の言葉で説明されていました。十見社長は主に決算説明資料を抜粋して、前期の振り返りと今期の見通しを中心に説明されていました。詳細は後述しますが、ここまでポイントを捉えた説明をご自身の言葉で説明されるのであれば、ナレーションの説明は不要ではないかとも感じました。ただでさえ、時間も短い運営となっている中で、質疑の時間が短いためもう少し対話が出来るように配慮した運営にして頂きたいなと思います。
 そして、この後質疑の様子も詳細を記載していきますが、やはり質疑の時間が短すぎます。他社をみても1時間程度で閉会するのは短い方ですし、ここまでコンパクトにされる場合、株主総会後に会社説明会と切り分けて対話機会を設ける等の対応をされている会社さんも多いです。せっかく想いが強く含蓄ある言葉でもって十見社長が発信して下さる場ですし、ただでさえ個人株主との接点が少ない中での対話機会という事を考えた時に、もう少しエンゲージメントを高められるような場になるよう工夫が欲しいと思います。この点は質疑の中にも盛り込み自分なりに提言を寄せたつもりでおります。

3.事業報告

 それでは、議事の中で事業報告の内容について中身に触れておきたいと思います。
 冒頭のナレーションの方は、「我が国経済は~」ではじまるやつです(笑)。特に言及しておくべき事項はありませんので割愛し、社長のプレゼンの方について言及しておきたいと思います。基本的には決算説明資料のスライドを一部抜粋しての説明となっておりました。ですので、決算説明動画の内容と概ね同じ内容だったかと思います。じゃ、わざわざ聞く必要ないじゃないかと、連れない思いをされる方もおられるかもしれませんが、やはり直接生の声で説明を聴けるという事に、私は価値を感じます。

 まずは過去の業績からの成長についてです。食品メーカーとして良品をひたむきに作り続けてくる中で、毎期30億強の売上成長をしてきたという説明から始まります。単価200円程度の商品の積み上げでこれを実現してきているという事は、1日5万食程度の純増がなければならず、これは大変な苦労があって・・・と定量的な考察から話は進みます。
 これだけの数を日々増産していくためには、愚直に美味しさを追求して顧客の支持を頂く事を重ねていく事でしか実現は出来ず、この価値と質のバランスを取っていく事が重要な同社の方針だと語られています。フェアである事を大切にするという姿勢からもかねがね根幹として大切にしている部分は変わっていない印象を受けます。
 それから印象的だったのは、利益率の凹凸についての説明をされた際に、確かに原材料や水光熱費の高騰等外部要因の影響を大きく受けた要素もあったとはいえ、それにきちんと対応してこられなかった経営側の課題だという説明をされた点です。確かに利益率は凸凹していますが、それでも増収効果もあり、この期間、総じてみればニッチな食品メーカーとしてみれば増収増益基調であり、特段問題視するような事もないと思うのですが、経営としてはこの凸凹については対応力不足として反省している様子でした。この辺りは外部環境のせいにしがちな部分を敢えて、自省の要素として認識しているというポーズの部分もあったのかもしれませんが、同社なりの誠意でもあり何事においても他責にせず自身の問題として捉える文化が根付いているのかなという印象を持ちました。
 また、個別事情としては火災の影響についても説明がありました。利益影響で1.2億程あって影響は大きかったものの他工場での代替対応の工夫により売上影響はリカバリを出来たということでした。いずれにせよ、ダクト周辺部の清掃に問題があった事が起因ですので、再発防止も講じられている中で今後は同様の事象が起こらないといいですね。

 次に今期業績予想についての説明がありました。元々今期の300億売上については、前期に射程としていたもので、1年遅れであるということですね。前期は火災等のチョンボは除いたとしても、不確実性の高い1年で、故に業績予想も堅めに出していた中で、それでもギリギリの達成という状況だったわけです。この事を鑑みて、やはり今期も不確実性の高い状況が続く中で、もっともっと上を目指したいというWILLはあるのだけれども、しかしここでの予算は必達であるという認識の下で、堅めに置いたものであるということでした。特に売上はまぁいけるという感触のようですが、利益については、本来20億水準までいきたいのだが、この不確実性の高い状況下でお約束としてこの水準に留めさせてもらったというのが率直な所のようです。今期も結果、ギリギリでした、とならぬように難しい外部環境をも言い訳にせず頑張って頂きたいですね。

 業績予想の前提です。まず滋賀工場の件の説明です。ここは決算説明動画にも詳細な言及がありましたので、ここでの記載は割愛します。ただ、株主総会の場で、ここでは頭を下げて謝罪をする間が取られました。確かに雨水槽の現地における要件定義がおろそかになっていたのはお粗末な部分もあって、もう少しやり方次第で未然に防げていたのかもしれませんが、経営を委託している中で、その一個一個のお粗末さに目くじらを立てて叱責するのはいい向き合い方だと思いません。謝罪を頂くのは誠意だと思っていますが、それより本質的な一次要因にまで遡り、本格対処をなされていくことや今後の知見になることを一緒に考えていく事が重要なのだと思っています。そういう意味でも後に質問もしますが、質疑の時間をより確保し、こういう課題を受けての対話をより深めたいと思うのです。
 ここでも印象的だったのは、今回の件を受けてもなお、「中長期的な株主の期待に対して落胆させるような結果にはしない」と明言された社長の姿勢はよかったと思います。加えて、拙速に体裁を保つために進めるのではなく、本当に求められている事に目を向ける原点回帰の視線を持って対応しようとなされている点に意識が置かれていたこともよかったです。
 本来、そのプロセスや合理性をきちんと精査する必要があるわけですし、それはそれとしてきちんと今後論拠をもって判断していきたいところではありますが、まずはこういう姿勢で経営をされている事に信任をするかどうかという部分になります。
 ちなみに代替案としては今期は既存向上のキャパシティ増強をされるようで、これは既に算段済であり、2.5億程度の投資を行うようです。また来期については、滋賀工場の立ち上げと製造ラインを持つM&Aにチャレンジしたいようです。M&Aをその前提に置くことは、ご縁ものでもあり危惧される部分もあり、ここは来期の伸長(生産キャパシティ)面でのリスクではあります。

 このスライドでは右下の一貫製造や技術面に絞った説明をされていました。結局おいしさのため、また価値普及に向けた無駄な食材を出さず商品化を進めていく対応力等を愚直に進めている事が良く伝わってくる説明でした。こういう部分にくそ真面目に対応しようとしている会社が好きなんですよね・・・。
 そしてそういう愚直な活動をベースとして、本気でグローバル展開を企図されているのも、なんか日本企業らしくていいなと思いました。あとは大事なことは社長が理想論でもって熱弁を奮うだけでなく、真に現場主義が浸透しているかという点が気になる所です。そういう意味でも社員の方等とも対話が出来る時間があるといいですね。工場見学とかやってくれるとまた印象も変わると思うのですけどね。

 決算説明資料には明記されていませんでしたが、この場ではROE20%目標が掲げられ、それが明記されておりました。機関投資家などから再三に渡り指摘があったようで、その水準感を示した形になります。足元で20%程度にまで低下してきている中で、この水準を維持して、今後は安定的な利益成長と配当を行っていく中で実現していきたいということでした。本来は利益成長をもう少し高めて25%くらいも、という言葉もありましたが、概ねこの水準を維持していきたいようでした。
 また株主優待については、多くの会社で取りやめる会社が増えている実情に驚きをもっておられるようでした。社長としては、これは年に2回の「株主へのお手紙」だと思っておられるそうです。つまり、商品を届ける事で営みを知ってもらい、様々な形で評価をしてもらったり、リピートして購入頂けるきっかけになったりという事でお手紙を通してのコミュんケーションだということですね。ですので、株主優待を取り上げられる事も増えてきた同社ですが、今後もそういうお手紙を楽しみに待っているというのも悪くないのかなと感じました。100株保有でもよいので中長期的に応援していただき、時に批評をして頂き、末永くお手紙を通してお付き合い頂きたいということでした。

4.質疑応答

 株主総会でのメインでもある質疑について、ここではメモを残しておきたいと思います。重ねて申し上げますが、私のメモを、主観で脚色しているため正確性に欠けている箇所があるかもしれません。あくまで参考として頂くと共に、投資判断については、ご自身で会社側へも確認をされた上でなされるようお願いします。
 なお、質疑応答の形式は、昨年同様、1人1回1問で時間が余れば再度という案内がありました。実際には、質疑に向けられた時間は少ないため、普通では2周目が回ってこない事になります。
 ★印は私からの発言ですが、質問は1回1問ということになると予見できたため、やや強引ではありますが、質問+コメントという事で発言しました(笑)。また質問の冒頭に昨年指摘した採用活動の件や女性活用の点でも迅速な対応を頂けたことへの感謝の弁も付け加えております。こういう場で発言をしたことを受けて、会社側も検討の上対応頂ける事は(もちろん私の指摘なんて本当に些細なものだと思いますが)、対話を通して一緒に会社をよりよくなって欲しいと思う気持ちを満たす事にも繋がり嬉しいものです。

★Q 成長エンジンの理解について
 決算説明会等を拝聴していると、大きく価値ある値上げと新商品開発の2点が大きな成長持続の要素だと理解している。価値ある値上げによる今期増益は約9億とされているが、前期の値上げ時の一時的な需要後退の状況があった中で、とりわけ生活必需に係るインフラ面での値上げによる生活防衛マインドが高まってきている中で難しさもあると思う。どういう価値訴求で市場に受け入れられこの増益と顧客支持の両立を図っていかれるか。また今期16商品の新商品供給についても、前期はやや遅れた反省を踏まえて、現在25-30あるとされているメニューバンクを活かして市場投入を成功裏に進め今期増益6億弱を満たすための現状の施策・手応えについて教えて頂きたい。
A
 例えばおにぎりの具材も当社で製造してお納めしているが、炭火で焼いた鮭の煙を再度集めてけむに巻くような事で風味を出す等拘ってやっている部分もあり、首都圏以外の多くの部分でベースになっており業績全体を下支えしている。そんな中で多くの食材に対するメニューバンクを持っているが、例えば今サバが不漁で高騰という中にあるが、逆にイワシは大漁という状況にあり、こういう状況下で即座に適時適格に商品を市場投入できる準備が整っているという点も評価頂けるポイントになってくるのだと思っている。セブンさんを始め、色々指導を頂きつつ、当社としてもその時々の在庫や市況を踏まえて戦略的に、かつ美味しい商品を速やかに投入できる強みがあるものと理解している。
 価値ある食材を美味しく仕上げていくというこの基本所作により、価格訴求力も高める事で結果的にインフレ云々もあるが、それを乗り越えられる源泉になると考えている。この商品開発力だと思っている。
 値段については、とにかく価値を上げる事が大事。前期にそれを学んだ。価値を上げたと思ってもまだまだ足りないと思うこともあった。消費者にとってフェアであるように対応していく事が重要だという認識の下で拘りを持っていきたい。原材料やエネルギーコストが高いとかいう理由はB2Cではさほど理解を得られない。
■考察
結局、値上げが十分に浸透するかはやってみないとわからないですし、新商品投入も同様だと思います。なので、身も蓋もない質問なのですが、決算説明動画ではこの辺りはあまりQAでの言及もなかったようでしたし、製品開発に係る部分は肝の部分でもあるため、メニュバンクの数から何を推し量れるのかという想いで質問をぶつけてみた次第です。
 メニューバンクがある中でどういうプロセスで市場投入していくのか、いけるのかという所も興味があったのですが、商材毎にメニュ―バンクをもっており、その時々の市況やトレンド、消費者の動向等を踏まえて即時的に投入できるという点に優位性があるのですね。答弁の中での具体例として挙げられていましたがイワシの状況がよいとなれば、予め安全性を含めて整理されていたものを迅速に投入できるというのは大きな強みなのかもしれませんね。
 そしてこの新商品投入力としてのメニューバンクだと思っていましたが、結果として、これが既存商品の価値を高める源にもなるようで、そこの価値向上活動が巡り、価値ある値上げに繋がっていくということでもあるのですね。質問をしておいてなんですが、結局見守ることしかできませんが、ただ、改めて製品開発が肝であるということは大変よく理解出来ました。来年は研究開発の状況等にも切り込んだ質問をしてみるのも良いのかなと感じました。

★[コメント]個人株主対応
御社の商品のファンが増え、年々株主数も増えており大変嬉しいと感じている。一方で決算説明会としてアナリスト向けには対話の機会がある一方で、個人株主のエンゲージメントを高める機会が少ないとも感じている。株主総会だけでは、なかなか十見さんを始め、皆さんとざっくばらんな対話にも限度があるのが実情。株主総会後に会社説明会をやるとか、半期のタイミングでの対話機会を設ける等、よりエンゲージメントを高める機会を設けて頂けるよう検討頂きたい。
A
今後の課題として受け止め。
■考察
十見さんは熱弁を奮われる方ですし、どうしてもIPO後から中々ざっくばらんな会話の機会がない事を残念に思っています。サバ談義もしたいですし、経営危機の頃の苦労やその後の会社を大きくして来られた再チャレンジの想い、或いは今後の展望について色々お話を伺いたいこともあります。長期株主を大事にしたいという事であれば、「決算説明」という状況説明だけでなく、より会社の定性的な部分に寄り添いたいなと思えるエンゲージメントを高められる機会創出にぜひ対応頂きたいなと思い、コメントとしてぶつけました。

Q 新任取締役就任を受けての所感について
 ハウラウンド氏が新規就任をされているが、この1年取締役会に参画されてきたわけだが、所感をお伺いしたい。
A
 米国で生活をされ学ばれてきた中で、とりわけ金融業界に明るい(確か食品セクターが専門だったはずです)ハウラウンド氏に、今後のグローバル展開について様々な議論のアドバイスを頂けている。日本語も謙遜して少々と仰っているが上手。米国人が考える今後の当社の進め方はもちろん、金融面でも中東や欧州を含めたホールセラーへのアプローチの仲介等もなさってくれる。今後は海外展開の協議にもより積極的に同行する等もしやすくなると思うので、今後の展開において、氏の存在に期待をしている所。(十見社長)
 当社に参画する前から印象は良かったし、参画してからもその印象は変わらない。十見さんとは30年超になるお付き合いの中でバイタリティもあってその行動力が魅力。前期も様々な難しさもある中でも成長を続けて来られている点も魅力。(ハウラウンド氏)
■考察
 最初に驚いたのは、ハウラウンド氏に対して、十見さんが流暢な英語でしゃべり、質問内容と回答を促しているのに驚きました。いや、そもそも伊藤忠のご出身ですし、その後も海外現地法人の設立等も経験されているので、当たり前なのでしょうけどね。そして、その英語での捕捉に対して、ハウラウンド氏が日本語で答弁されていました。とてもお上手で、確かにイントネーションは海外の方が話す日本語でしたが、意思疎通には全く問題がないレベルです。こうやって日々意見交換をしているんだなというのも理解出来ましたし、例えば米国進出の際にはどの地域からどういうアプローチで、というような議論、あるいはホールセールスとの接点創出等もなされてるようで、株主構成的にも今後変化が出てくると面白いですね。

[コメント]株主総会のライブ配信
株主総会開催が集中している期間での開催でもあるが、せっかくこれだけ熱弁をされているのであれば、差し支えない範囲でアーカイブを残す等して頂ければと思う。
A
今後の課題として受け止め。
■考察
決算説明動画は共有して下さっているので同じようにライトに公開されるとよいと私も感じました。ただ、これは十見さんのスタイルなのだと思いますが、個人名を挙げてお話をされるので、プライバシーへの配慮は必要かもしれませんね。ただ、だからといってQAは割愛では意義が半減どころから、ほぼ皆無になるため、そこはうまく編集等で対応頂けるといいですね。

Q ハラール認証取得について
 日本の市場はシュリンクしていく中で、とくにASEAN地域を含めた成長市場へのアプローチにおいては、ハラール等の認証を取得していく事が重要とも考えるがそういう予定はあるのか。
A
 もちろん、取得したい。インドネシアやマレーシア等の成長市場へ和食が浸透する中で、米国に次ぐ市場になる可能性もあると考えている。そのためにも指摘のような各種認証を取得しておくことは肝要であると思っている。今後の中長期的な対応の中で、良い報告が出来るように取り組んでいきたい。
■考察
同質問者さんは冒頭で、株仲間から優待がおススメといわれて株主になったと仰っていましたが、事実としてそういうきっかけに株主になられる方は多く存在していると思いますし、そういう方が商品を楽しみに、企業にも中長期的に寄り添っていく事になるのであれば良い事だと思っています。もちろん、流動性云々の話はありますが、同社はスタンダード上場企業でもありそこまで気にすることもなさそうですしね。
ハラール等の認証については、今すぐにというわけではないのかもしれませんが、ASEAN地域が米国に次ぐマーケットになる可能性を念頭に置かれている点は興味深かったです。現在、台湾のセブンイレブンで高価格帯で販売していますが、日本食ブームに乗って展開が進んでいくと面白いですね。ただ、原材料の問題と生産ラインが悩ましい所ですかね。

★Q 今後の工場増強計画の進め方について
 今後の中長期的なサプライチェーンを強固なものとするため、工場増強計画は大変期待と関心を寄せている。現在進めている滋賀工場の件で中々上手くいかない本質的な課題はどこにあるのか?要件定義における調査や人材不足なのか?今後も同じような課題が露呈するような事はないのかという心配もある。責任云々ではなく、本質的な要因がどこにあり、その対処としてどういう点を今後に活かされていくのかの見解を知りたい。また、工場増強策のひとつとしてM&A等で補完していく点も期待したいが、一方で老朽化した設備への追加投資等が生じる事で、拙速なM&Aはリスクも伴うと思うが、バックアップ拡充の意欲とM&Aリスクのバランスはどうマネジメントされるのか?
A
 許認可の件で雨水槽の件への考慮が行き届かなかった点については、やはりこの件をゼネコンさんと進める中で首都圏で話を進めていた事が要因であると考えている。琵琶湖近辺という特殊な土地柄で考慮すべき事もあった中で、地元ゼネコン等の知見を入れられる体制で検討を進めていければもう少し違った結果になっていたはず。本来はJV化して設計検討する段階で地元に精通した組織化を進めていく必要性について学んだ。
 M&AについてはFY19において白岡工場を取得した際に大変苦労した。従来当社では救済型のM&Aを進めてきていたので、効率的に(価格も安く)取得してきた中で、この白岡工場は某飲食店からの分社化手続きのプロセスで取得をしたのだが、如何せん価格が高過ぎた事が苦労した要因だった。時間がなく焦っていた部分があったのだと思う。やはりM&Aにこういったやり方は禁物なんだという事を改めて学んだ。今後進めていく際にはこういう側面を十分留意して対応していきたいと考えている。
■考察
 これは意地悪な質問でした。わざわざ丁寧に説明があった点を掘り返していますからね。なので、私も配慮の言葉も挟みながら質問したつもりです。要件定義段階でこの課題が現地特有の事象として摘出できなかった点は悔やまれますね。そしてJV化するかどうかという組織論も大事かもしれませんが、やはり現地現物を見て判断をしていくという姿勢に課題があるようにも感じました。台湾セブンの件でも現地での目線がやや不足している課題感も示されていました。良い勉強をしたということですので、今後様々な検討を進めていく際には有識者を始めとしたコミュニケーションパスに留意してもらう方が良いですね。
 そしてM&Aについては、やはり資料の記載の体が気になっていたため釘をさすイメージで質問をさせてもらいました。というのも滋賀工場の遅れへのリカバリ策として、来期にはM&A効果を期待しているような感じになっていると、白岡の時のように焦りや前のめりな姿勢が故に高く買ってしまう、あるいは必要以上の追加コストを精査しきれず、というようなリスクを顕在化させてしまう可能性を高めてしまいます。M&Aは一般的には失敗がほとんどといいますから、拙速に時限を意識して焦らずに進めて欲しいなとは思います。そういう意図が伝わった質問になったと答弁でも感じたのでまずは目的は果たされました。あとは、会社側というか経営側の意思決定を待ちたいですが、体裁を保つために、拙速に進める事だけは控えてもらえるといいですね。

★[コメント]株主優待制度の設計について
 株主優待制度は大変人気があり、私も一ファンでとても楽しみにしている。一方で株主数も急増している中で、権利取りのためだけに取得をされるケースも散見され、先に説明のあった「お手紙」が真に届かない部分へも多大なコストをかける是非もあろうかと思う。確かにこういった層にも商品認知をしてもらう事での機会創出という側面も期待されるものの、全体設計の中では長期保有株主への対応と比しての制度設計の検討も必要な頃合いなのではないかと感じている。今後の検討としてコストと長期株主への寄り添い、商品紹介チャネルの拡充という側面からより良い制度設計の検討を期待したい。
A
 今期実はとても悩んだ。IPO当時は3000人台だった株主数は今や1万人。この時価総額にしては多い印象で、やはり短期取得目的の作用が一定程度存在している事は承知している。やはり数というより質、とりわけ中長期でファンになってもらえる層にどう報いていけるかという部分は大切にしたい。
 株主を(保有期間等で)「差別」することは絶対しないものの、どこかのタイミングで一定の「区別」はする必要があるのかもしれない。
■考察
凄く悩んだという言葉が強かったので、社内では様々な議論があったものと推測されました。先に「お手紙」であるという説明を丁寧になされていましたし、その趣旨から優待廃止は可能性が低いと感じましたが、一方で差別ではなく区別をするという事は今後意思決定があるのかなと感じました。
差別ではなく区別という事を注意深く言葉を選んでお話されていたので、この辺りも思慮深く受け止めました。これまで提言してきた事はある程度スピード感を持って対応されてきていますし、場中、いい提案だと思ったことはどんどん経営に反映させていきたいという発言もありましたので、この件に関わらず、対応を見守っていきたいと思います。

5.さいごに

 やはり改めて書き起こしてみると、時間が短いですね。もう少し様々な論点で対話を重ねたいなと思います。特に消費財として商品を身近に感じる事が出来るが故に、様々な意見や感想を寄せられるといいですよね。コメントとして寄せたのであとは会社側も少しでも変化をしてくれるといいです。ただまだまだ一筋縄ではいかないかなとも感じます。めげずに声を届けていきたいなと思います。

 総会閉会後、ハウラウンド氏とトイレでご一緒になりました。その際も私にお声がけ頂きました。昨年の私の発言もきちんと細部まで覚えて下さっていて、十見さんを始め社内できちんと議論し、出来る事はすぐに対応したという事を仰られていました。確かにスピード感を持って対応して下さっていますからね。こういう対応力がいいと思って、この会社の取締役を引き受けたと仰っていたのも印象に残りました。トイレの洗面でする会話ではないと思いますが、こういうちょっとした会話でもいいなと思うのですよね。役員の方も退席後、接点を持てることもないため、なんか一言二言でもお話が出来るといいですよね。まぁそう感じるのは私のような変人だけなのかもしれませんけどね(笑)。

 総会翌日には株主優待が届きました。その一缶に込めるそうで、ぜひ株価の方も期待したいですね(笑)。

 原材料高やエネルギーコストの上昇などで難しい局面が続きますが、社是の通り正々堂々と頑張って頂きたいですね。

 頑張れ、STIフードホールディングス!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?