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オリコンHD(東証スタンダード/2498) 株主総会レポート 2022/12/23

 東証スタンダード上場の建設コンサルティング会社のひとつである、オリエンタルコンサルタンツホールディングス(以下「オリコンHD」)の株主総会に出席しましたのでレポート記事にします。なお、当記事の記載は、私の心証に基づき脚色されており、意図せず誤認している可能性もあります。万が一、当記事の内容を投資判断の一助とされる際にはご自身のご判断で活用頂ければと思います。なお、記載内容へのご指摘やご意見、感想などお気軽に以下当方のツイッターアカウントよりお寄せ頂ければ幸いです(画像リンクを貼っています)。

1.参考記事

 まず冒頭では、参考記事として前回の株主総会レポート記事と、直近の決算精査記事(4Qは未更新のため2Q)を再掲しておきます。

2.概況

 株主総会関連の全体の流れについて簡単に纏めておきます。なお、時間は手元での記載のため、目安とお考え下さい。

 10:00 開会 (野崎社長)
 10:02 議決権数の確認 (事務局※IR担当でお世話になっている方)
 10:03 監査報告 (小道常勤監査役)
 10:05 事業報告 (野崎社長)
 10:15 議案の上程 (野崎社長)
 10:20 質疑応答
 10:40 決議
 10:50 閉会

 議決権数の確認の所ですが、メモ間違ってるかもしれませんが、記載しておきます。

■今回
 787人/1,584人 (49.7%)
 50,942個/59,731個 (85.3%)

■前回
 841人/1,645人 (51.1%)
 48,900個/58,227個 (84.0%)

■前々回
 710人/1,979人 (35.8%)
 46,073個/59,812個 (77.0%)

 株主数は昨年も減り、今年は更に減りました。辛いですね。。。
 決算説明資料の抜粋を以下3枚掲載抜粋してみましたがですが、結構いい会社だと思うんですけどね。

 まぁ営業利益率や配当性向が低いとかあるのかもしれませんし、何より株式の流動性が極めて低いので、売買しにくいということがあるのでしょうかね。

 会場はオフィス内の広めの会議室です。執務室と繋がっている感じですね。そこに30席位用意されているでしょうか。今年も開会10分前位まで私が一人ポツンと座ってソワソワするという構図です(笑)。

 結果的に関係者と思われるスーツ族の方が数名席を埋めなんとか体裁をもって開会となります。

 例年通り、野崎社長が粛々と議事を進行されます。こういう会社では説明も招集通知朗読会になりがちですが、PPTを使ってわかりやすくプレゼン形式で説明をされます。実質的な聴衆が居ない所が残念です。コロナ前には開催していた会社説明会もないため、純粋な説明を聞く機会はこの10分程度のプレゼンだけという寂しい状況です。

 内容そのものは開示されている決算説明資料及び決算説明会の内容と同等となります。

3.質疑応答

 質疑応答ですが、今年も質問するのは私一人です。
 一応1人1問ずつでということになっていますので、マイクスタンドに進み質問をする毎に席に戻りという指示通りの茶番をします。もちろん、マイクスタンドは私が席に戻る毎に消毒もされます。このピストン、毎年辛いですね(笑)。

 さて、簡単なやり取りと考察をメモとして起こしておきます。なお、繰り返しになりますが、私の主観で脚色していますし、意図せず事実と異なる可能性があります。ご了承下さい。

★Q 企業連携の展望について
 中計2030ビジョンでも企業連携への期待が高まっていると感じる。前期実績としても、NECさんとの人工衛星を用いた連携や、AI画像認識による既存業務の高度化など様々な成果を挙げられたことと思う。DX活用はこの業界でも益々加速している事と思うが、今後の展望を伺いたい。特に大手企業との連携実績もあげてこられたことで、今後の更なるお声掛け頂く機会が増えているとか、逆に当社側から外部企業への声をかけるハードルが下がっているといった変化は感じられていないか。グループ外からの連携、グループ外への連携模索の動きについての手応え、今後の展望をお聞かせ頂きたい。
A
 我々の事業拡大は、国内海外共に進めているが、その根幹は重点化プロジェクトである。このプロジェクトを遂行していくにあたり、様々な外部企業との連携というものが大切になってくる。このプロジェクトの成果をこういった外部連携によってそれを成してきていることは、我々もリリースを出す等PRをしてきている。このようなPRが少しずつではあるが認知の拡大にもなっており、質問にもあった通り、我々から外部へ連携を求めやすくなったことはもちろん、外部企業から我々にお声がけ頂く機会というものも大変増えてきている。衛星の活用や画像、AIといった部分は総じてこの業界のDX進展というトレンドもでもあるため、今後もDX活用という大枠の中で様々な領域で外部連携を深める機会を模索していきたい。
■考察
 後にプレスリリースの重要性についての質問をしようと思っていたので、最高の流れを作ることができました(笑)。それはさておき、外部連携を求めていく環境の好転はもちろん、それ以上に外部からの引き合いが増えているという印象を持つ答弁だったように感じました。もちろん、その内容などはセンシティブなものなので、なかなか露出は出来ないと思うのですが、こういう地道な展開があるとより同社の手掛けるコンサル事業も高度化していけるのではないかと期待を持てる内容でした。
 また、建設DXは流行りでもあります。最近でもビックサイトの展示会として以下のような催しものもありました(既に来年の案内に切り替わっていますが先日今年分の開催がありました)。今後はこういう機会にも露出を高めてより、外部連携の可能性を更に拡げて頂けるといいのかなと思いました。

★Q 情報発信(プレスリリース)の重要性について 
 先ほどの答弁の中でPRをしているという話があり、大変よいことだと感じた。最近でも子会社のリサーチアンドソリューションズさんの公式youtubeチャネルの開設のリリースもあったが、こういう発信をしていくという事は大変よいことだと受け止めている。当社では自社サイトに日々様々なPR情報をUPDATEされておりこういう姿勢は評価したい。一方で私のように奇特な人は自社サイトをチェックして、へぇ―こんな面白いこともやっているんだと認知できるものの、多くの人へはなかなか届かないものと思う。こういった自社サイトで細々と開示を続けるPR姿勢だけでは大変もったいないと感じている。なので、youtubeチャネル等でよりプッシュ型のPRを進める事は大変重要だし、最近では多くの企業がPR TIMESというサービスを使いプレスリリースを通して、認知の拡大、企業や個人などからのエンゲージメント向上を図るような取り組みをされている。他の子会社でもyoutubeチャネルを作ったものん数年来冬眠状態にあったりするのももったいないし、野崎社長が夢遺産に出演していたり、瀬戸酒造がメディアで紹介されたりというものもせっかくストーリがあるのに自社発でそれを活かせていないのは大変もったいない。情報発信の在り方についてぜひより前向きな施策を期待したいが、お考えはどうか。
A
 大変貴重な意見。各グループ会社毎に広報戦略を立てて、出来るだけ各社で積極的な発信を通した活動を行うように量と質の目標も設定して活動しているものの、まだまだ課題感もあるし、やり方を勉強せねばならないという状況。特に様々な実績を挙げ、それを自社としてはPRしているつもりではあるが、どのように拡散をさせてより認知を拡げていくかという課題感は改めて大変重要な観点として課題認識したところ。
■考察
 具体的な改善は今後を注視していきたいところではありますが、感覚としては大変危機感や課題感は共有出来た手応えはありました。今後中計の遂行にあたっては前問でも質問した通り、外部連携による重点化プロジェクトの拡大と高度化が求められていく中で、やはり実績をどうアピールし認知を拡げられるか、そして採用の観点でも訴求力を高めていくかという戦略は大変重要だと考えています。これまでの経営をみているとこの部分が克服されるとより会社全体がよりよくなると強く期待している部分でもありますからね。ちゃっかりPR TIMESをお勧めするという最近のマイブームもかましてきましたが、こういう地味ながら実績を作っている会社に光が当たる事を実現出来るひとつのツールだと思っていますから、期待をしたいと思います。

★Q 金融環境の変化について
 足元で金融政策の変更等もあり、為替や金利の動きが慌ただしくなっているかと思う。当社では前期は円安進行による為替差益を計上することで、業績面では上振れ要素になっているわけだが、今後の為替や金利の動向についてのリスク度合いをどのように見立てられているか。
A
 前期実績については、為替差益を計上したのはご案内の通り。今期(進行期)については、影響が見定められないということから、為替の影響については、考慮しないということとしている。当然のことながら、為替がどう動いてもよいようなリスクヘッジはこれまでの経験から少なからず対応はしてきているものの扱われる現地通貨が多岐に渡るということもあり、なかなか効果的かつ網羅的な対応というものが難しいという側面もある。
 金利については、海外などではプロジェクトの大規模化などで金利影響も少なからず出てくる事は想定しておかねばならないと考えている。今後の経済が大きく動いていくという事も念頭に先読みして対応していくという方針だが、どうしても抽象的な表現にならざるえない。
■考察
 まぁここは抽象的な回答になるだろうと予測していましたが、旬なので聞いてみました(笑)。どれくらい経営において金融を意識しているのかなと思いました。案外何か驚くような対応みたいな事があるかなと思ったのですが、特になかったですね(笑)。ただ、何かこうなるはずみたいな相場師みたいな事を仰らなかったので良かったかなと思います。
 今期は為替差益になるような織り込みはしていないという事だと思うのですが、逆に円高進行時には業績予想に対してビハインドになる可能性もあり、鬼コンサバ予想をする同社がどういう織り込みをしているのか気になる所ですね。

★Q 株主還元について
 前期実績としてEPSの伸長がより顕著になった点もあり、大幅な増配となる点を大変嬉しく思っている。過去から一貫して配当も10倍という事で敬意を表したいとも思う。一方で配当性向でみてみると、同業他社で比較すると、日本工営さんや長栄さんなど25-30%を拠出しているところ、当社では15%程度と依然として低い状態になっている。もちろん、成長や人材への投資という所が最優先であるという点、また配当性向だけではなくより広い目線で配当政策を決めておられることも理解しているが、せめて同業他社と肩を並べる位の検討はできないか。特に株主アンケートの結果でも、配当を最も期待するという声にもなっている。見解を伺いたい。
 また自社株買いも継続的に実施されており、今期もこれから実施する分はだいぶ額も多めに積まれており良いと思うが、流動性の課題もあり、なかなか取得が思うようにいかない側面もあると思うが、メッセージとしてきちんと買い切るというスタンスでぜひ臨んで頂くよう期待したい。
A
 我々の配当性向が相対的にも低いという事は認識はしている。重要なことは、配当の源泉となる収益を着実に毎期積み上げていく事である。そしてそのためにはやはり指摘の通り成長への投資というものがどうしても必要になる。特に今後の中計、2030ビジョンを見据えた時に、内部留保を厚くして成長に備える、あるいはM&Aの機会に備えるという事も重要。
 従って毎期収益を着実に成長させていく事、そして毎期着実に配当をしていくという姿勢をまず基本方針としたい。同業他社を含めた指摘については貴重な意見として認識しておきたい。
■考察
 ここは平行線ですね(笑)。いや、即座に還元が強化されるとは思っていませんし、むしろ成長投資を犠牲にされても困ります。ただ、同業と比しても株価も割安になっている点などをこうやって見えている側面もあるのではないかということを、ボードメンバーにも共有した方がいいかなと思っています。株主アンケートでも成長より配当が一番の関心事という結果だったので、その観点も含めて質問しました。このように成長を優先するという姿勢を改めて堅持されているわけですので、来年はこの投資に係る成果や課題について質問したいですね。

★Q 流動性について
 昨年はコメントに留めたが、やはり当社株式の流動性が極端に低く、それが株式価値を少なからず下げているのではないかという点に憂慮している。当社株式は多くのOB株主の方もおられ、また現役社員にとってみても、自社株式価値向上に期待をしている方も多いと思う。また、今後NISAの制度変更などもありより新規の投資家層がマーケットに参加されるような中で、やはり当社株式の流動性の現状やそれによるネガティブ要因というものはなんらか対処をしていく必要性があるのではないかと考えている。自社株が無策に割安に放置されているとすれば、それは新たな人材獲得という意味でもマインド低下等を招く恐れもある。
 施策として株式分割等を通して買いやすくするといった小手先の政策もありうるかもしれないし、本質的にはやはりIR、とりわけ個人投資家向けIRをほぼされていないことから強化して実直な会社として身の丈でいいと思うのでアピールをすることも大事ではないかと思う。特に最近では個人投資家向けへのIR機会も敷居が下がっており、お金をそこまでかけずとも様々なシーンで対応が可能である。
A
 指摘の通りの課題を認識している。一方でここへの対応という意味では、率直に申し上げれば勉強している最中ということになる。テクニック的なことは色々取りうるだろうが、それが本当に有効かつあるべき進め方なのかということも見定めばならない。
 今確実にできる事は毎期成長を続け、配当を上げ続けていくという実績を積み重ねていくこと。安定的に成長していける会社なんだということを理解してもらえるようにしていく事が大事だと思っている。
■考察
 勉強しているということですから、次回は1年かけて勉強した成果をトレースしていきたいです。同時に社外取締役などからの外部目線からの提言はどう勉強に活かされているかという社外取締役の実績についても言及したいです。
 回答にもある通り、テクニックだけに頼らずという部分はとてもいいと思いますし、セオリー通り安定成長を持続していく事で信頼を寄せてもらうというのも良いと思います。ただ、やはりそれだけでなく、そういう認知を拡げる必要性があるのだと思います。そういう意味では、情報発信の重要性はこの観点においても重要になるものと思います。
 こういう課題感をただ嘆くだけなく、少なくても応援する株主であれば問題提起を行い、少しずつでも会社側へ声を届け続けて、少しでも会社が前向きな姿勢になってくれれば、株主冥利につきると思います。実際昨年来言い続けてきた事の一部が少しずつですが改善がなされているな、と実感することもあります。

4.さいごに

 今年の総会では新たなに新中計、2030ビジョンがアップデートされました。ですので、その内容について質問するのが筋なのですが、正直まだ消化できていません(笑)。というより、従来の延長線上でもあり、そこまで議論せねばならないこともありません。これはいい意味で、です。
 それで一番コアにおきたかったのは情報発信の課題です。流動性の問題もこれの派生でもあると思っています。
 ですので、PR TIMESの件も敢えて個別名を出して議論しました。営業活動のようにならないように配慮しつつ、今の同社に一番必要な事を実現してくれるポテンシャルがあるものですからね。
 そしてIR機会も、証券会社主導のものから、ログミーさん、Kabu Berryさんなどを勝手におすすめリストにして1枚紙にしたものを閉会後に手渡しました。もちろん、PR TIMESのサイトのおすすめや同業他社比較もつけました(笑)。社長もIR担当の方に早速検討指示をされていました。仕事を増やしてしまってすみません。。。

 今後も地味な会社筆頭の投資先企業として頑張って頂きたいなと思える株主総会でした。
 頑張れ、オリコンHD!

(おまけ)
 実は関係者だけだと思っていた参加者の一人が、閉会後にビルのエントランスでお声がけ下さいました。この方は外部の一般株主だったようなのですが、この業界でIPOを目指されている会社の総務担当の方のようで、上場準備等の一環で株主総会の勉強にこられたそうです。
 よりによって、超参加者の少ない変わった総会をスタンダードだと思ってもらうと困りますね(笑)。もう少しIPO仕立ての若い会社(いい意味でも未熟さを有しているという意味でも)の方が、個人投資家も多く参加され、学びになるのではないかと思いました。でもこういう形で参加される層もあるというのは気づきでもありました。私もそういう会社で窓際族をやりながら、いろんな会社の総会行脚を出来るのなら最高の天職ではないかと思いました(笑)。

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