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サンセイランディック(東証スタンダード/3277) 株主総会レポート 2023/3/

 東証スタンダード上場のサンセイランディックの株主総会に出席しました。当記事では、株主総会の様子についてご紹介したいと思います。なお、当記事は私の個人的な心証に基づき脚色した内容であり、業界にも全く知見はないため内容の正確性は保証出来ない点はご了承頂ければと思います。
 以下画像より私のツイッターアカウントへリンクを張っています。記事の内容についてのご指摘、ご質問、感想などがございましたら、お気軽にコンタクト頂けますと幸いです。頂いた内容は、私の学びにもなりますのでぜひお願いできればと思います。
 なお、当記事は同社の株式の売買を推奨するものではありません。ご自身の投資判断に基づき対応頂けますようお願いいたします。

1.はじめに

 サンセイランディックの株主総会は、一昨年はコロナの影響や私の都合も合わず参加ができませんでしたが、昨年に続いての参加となりました。一昨年に一度お休みしましたが長年参加しています。ここでは、株主総会のレポート記事を以下に再掲しておきます。

 同社の株式を保有している方は意外にも多いのですが、だいたい缶詰のパンなどの優待を頂ける事、もしくは底地くんがかわいい~が保有理由だったりするのではないでしょうか(笑)。企業としての成長力やカタリスト的な要素を期待している方は少ないような心証です。
 私も今となっては保有比率もだいぶ下がってしまいましたが、長年の株主ということもありますし、参加されている個人投資家がほぼいない中でもありますので、結局毎年このように足を運ぶことにしていますし、それを少しでも多くの投資家の方と共有していければいいなと思っています。このような状況ですので、あまり需要があるとは思えませんが、それでも誰かひとりでも、参考になったとかご意見を頂けることを期待しています。

2.株主総会の流れ

 それでは、まず当株主総会の全体の流れについてご紹介しておきます。あくまで手元の時計でのざっくりしたものですので、大雑把な雰囲気を感じて頂ければと思います。

  10:00 定刻にて開会 (社長 松崎氏)
  10:02 株主数・議決権数の確認
     【今年】
      →6,579人/11,044人(59.6%)
      →56,171個/81,412個(69.0%)
     【昨年】
      →6,672人/11,184人(59.7%)
      →56,575個/82,385個(68.7%)
  10:03 監査報告 (監査役 山口氏)
  10:05 事業報告 (PPT+ナレーション)
  10:17 対処すべき課題(社長 松崎氏)
  10:25 主に寄せられたQA(社長 松崎氏)
  10:27 議案上程
  10:30 質疑応答
  11:00 議案決議
  11:03 閉会

 議決権数については、電子行使によるクオカードキャンペーンが今年も対象になっていたと思いますが、昨年とほぼ変わらずの比率だったようです。今後の議案採決の事を考えるともう少し比率があがるといいですね。
 事業報告はナレーションですが、まぁ特筆すべきことはありません。決算説明資料でもあったように仕入の好調さなどが全面に出た内容だったと思います。昨年は本当に参加者が少なかったのですが、今年は純粋な個人株主は10人弱いらっしゃったように感じたので、まぁ一応ナレーションを流す意義もあったかもしれません。ただ、せっかくの解説動画がもったいないですね。この内容ならWebに更改してもいいと思うのですけどね。
 対処すべき課題については、松崎社長が自らの言葉で説明されていました。対処すべき課題とはいえ、ほぼ現在進行している中計の進捗状況や今後の見通しについての説明だったと思います。内容もほぼ決算説明会の動画の内容と重複していますので、特段こちらも目新しさはありません。
 また、主に寄せられたQAが今年も用意されていたのはいいのですが、こちらも決算説明会で挙げられていた1件のみでした。少なくても私は本決算後に何点かIR照会をしていますし、それに丁寧な回答も頂けたのですが、「主な」QAではないという事だったのでしょうね。まぁ確かに細かすぎる内容でしたからね…。

3.質疑応答

 ここから質疑応答です。従前通り、質問の数などに制限はありませんでした。今年もたまたま昨年同様7問を用意しておりました。★印は私の質問となります。なお、冒頭4問は昨年同様の他の株主様1名がなされました。
 なお、QAの内容についてここにご紹介しますが、内容については大いに私の主観により編集されています。意図せず誤認している等の箇所があるかもしれません。ご容赦下さいませ。

Q 来期の見込みは
 来期はどういう方針で経営されるのか。
A
 来期の方針については、先ほど説明した通り。仕入高が好調である状況から、これを販売していく方針。来期以降の仕込みとしての仕入も更なるデジタル化等を進めて効率的に運営していく方針である。来期は中計最終年度になるため、そのフィージビリティを高めていく活動を深耕させていきたい。
■考察
 毎年のことなのですが、イマイチ質問の意図が汲み取れません。報告事項で今期の見込みや中計の説明を比較的に丁寧にナレーションと社長の言葉で語られていました。どの部分での方針なのかもわからないため、答弁にもお困りになったように感じました。

Q 剰余金処分の件
 株主あっての会社であると考えるが、株主への還元をより厚くすることは検討しないのか。
A
 先ほど説明した通り、利益水準に対して、内部留保と還元というバランスを十分検討を行った結果、本日のご提案となっている。今後も株主還元は重要な政策と認識している。
■考察
 これは何とも悲しい投げかけだなと感じました。この後、私は質問する際に1円増配となる件に感謝の弁を冒頭申し上げた位です。元々、建築事業の譲渡にかかり、EPSが前期実績として大きく伸びた中で、今期はその特殊要因の反動もありEPSは大きく減少します。そのため、配当性向で配当目安を決められている中ではありますが、意志ある1円増配なのですよね。これは大きなメッセージだと思っています。松崎社長はかねてより、少しでも毎年増配をしたいという意欲を持たれており、そういう姿勢が出たものと思います。そんな中での質問としては、意志が届かないという事もあるものなのかと切なく感じました。

Q 地上げの件
 確か仙台でやっている(?)と思うが、その状況は?
A
 仙台の件、という趣旨がわかりかねるため、あくまで全体の仕入販売の状況としてお答えするが、現在、足元で特に問題が生じている案件などはない。石巻の件は、復興需要という観点で一般事業者が参画する余地がなかったというのが実感であり、静観しているのが実情である。
■考察
 今年も「地上げ」という言葉を使わて質問者さんは質問されています。そもそも仙台の件、というのは意味不明で社長も明らかに何のことかわからず困ってらっしゃいました・・・。

Q 取締役の責任について
 取締役が取締役としてやっていない場合、どのように懲罰されるものか。
A
 取締役会で様々な議論を行いガバナンスを保つよう努力をしているが、最終的には、株主の皆さんから選任されるというプロセスをもって、ご判断を頂くものと考えている。
■考察
 冒頭4問の最後の質問です。取締役の責任は株主総会で株主が選任議案への賛否として示すのが通常ですね。質問者さんの意図が分からずでして、編集で書き加えることがわかりません。

★Q 仕入と販売の環境変化への対応
 商業居抜きや物件の大型化や長期化等、これまでとは違う仕入環境なのだと理解したが、どういう仕入サイドでの変化があったのか。例えばチャネルが変わった、或いは、営業効率面の変化等があったのか。そしてこの効果というのは持続的なものと捉えてよいのか。
 また、商業居抜きや長期化といった点で、これまでとは違う調整ノウハウやマネジメントが求められる事もあろうかと思う。住宅がメインだった所からの出口の変化により取引先も変わってくるものと思うが、この辺りのオペレーション上の対応についての課題感やリスク軽減に向けた活動状況はどのようにとられているか。
A
 全般的に仕入環境としては不動産市況全般の好調さが鮮明であるという環境面の作用もあろうと思うが、やはりこれまで進めてきた営業面の効率性向上の取り組み等の地道な活動が奏功しているという感触がある。各種施策の成果がきちんと結果に出てきていることと前向きに現況を受け止めている。しかしながら、慢心せず、また市況の追い風で仕入価格も全般高位になりつつあるという感触はあるため、ライバルの状況も注視しながら、出口となる販売面でも早期の契約をより重視していくなどのリスク軽減の観点に立った対応を取っていくよう社内で方針を掲げている所である。そして、このような経営からのメッセージを愚直に現場で咀嚼して邁進してくれている現場力があってのことだと思っている。
 なお、長期化の指摘もあったが、これまで1年程度だったものが、せいぜい2年から3年という程度のものなので、特別な対処は不要だと認識しており、従前のデジタル活用を踏まえて基本的所作に則って対応していきたい。そしてこのようなより権利調整に時間を要するような物件の扱いはより拡大傾向になってくるものと思われるため、我々にとっては今のこのような経験はよい知見になってくれるものとポジティブに捉えている。
 何事も万全ということはないため、前向きに捉えている中でも様々な課題は出てくると思うので、早期にそういったものへの対応を取っていく事で、うまくオペレーションを図っていきたい。
■考察
 やはり、仕入環境がフォローになっているんだということはひしひしと感じました。しかし、これまでの改善活動の成果でもあると手応えも感じられているようですから、この点は嬉しく思いました。相場全体は好調中でも、慎重な目線は崩さずにいるのは、中庸の精神があってのことかもしれませんね。

★Q 取締役/監査役候補の選定について
 従来の人数から取締役は減員となるが、中計においては拡大志向を持たれている中で経営判断をより多面的に捉える上で体制は十分なのか。例えば事業領域の拡張を企図される中で、より知見を広げるために社外取締役を含めてのアサイン等は検討されなかったのか。また監査役については、永らく取締役としてご活躍されていた永田さんが社内監査役に就任されることになるが、経営執行の立場と時に対峙して監査する役回りも求められることになると思うが、これまでのお立場を踏まえて厳しく監査して頂けるような対応はとられるのか。永田さんからも監査のお立場になる事への所感をお伺いしたい。
A
 指摘の通り、今後益々新規ビジネス創造等を睨んだ際には必要になる論点だと考えており、ビジネス創造に長けた社外取締役を候補にしていくという事は検討していきたい。一方で、(社長の)個人的な想いとしては、株主理の理解を得ながら、ぜひそういった人材を内部から選任できるようになりたいとも思っている。ただ、残念ながら現時点でご提案できる人がいないということであり、この部分は自分の責任として真摯に受け止めたい。取締役として重責を担える人を登用できるような人材育成という観点を経営の課題として受け止め対応していきたい。
 また監査役の件は、まず自分としては道を外れるようなことはないと改めてお伝えしたい。もちろん、譲れないものはあって経営の意思決定では議論をしてきているつもりだが、例えば経理等の扱いについては、あまり自分が口出しをしてワンマンという感じではなく懸念されるような好き勝手やる、というようなことはまず生じないという事を前提に捉えて頂きたい。永田さんは長年取締役の任にあられたということは、当社の様々な弱い部分も熟知されているという事で、結果、厳しく監査をして頂けるものと考えている。(松崎社長)
 決して仲良しクラブというわけではなく、株主の付託を受けて厳しくコンプライアンスチェックをして参りたい。環境経営等多面的な経営力向上に資する活動に努めていきたい。(永田取締役)
■考察
 ここは課題認識も同じ感覚でしたし、今後の人選に期待したいです。確かに社内からの選任が進められるといいですね。また永田さんにも一言お話頂くのがよいと思っていたため、マイクを回せてよかったです。

★Q 営業組織の運営について
 営業所掌取締役3名に伺いたい。コロナ禍により営業活動にも様々な制約があり大変な苦労もあったものと思う。一方でその制約もようやく出口がみえてきており、正常化に向けた状況に移行してきている。このコロナ禍での制約への対応力や現場への働きかけにおいて、営業組織の運営においてリーダーシップを発揮されてきた中で、どういう事に意識を持たれ組織を率いられてきたのか。また、そこで得られた知見を今後にどのように活かしていけそうであるか。
A
 コロナ禍になり、営業で大変苦労をした。人との接触や社内コミュニケーションに制限がある中で、率先してリモートワーク体制を取る事が出来た点は初動として大変よかった。そしてコロナ禍が落ち着いてきた中でもこのリモートワークにおける効率よき業務という良い部分は継続している。
 また不動産活況による相場上昇はひしひしと感じている中で、建材費の高騰も相まってはいるものの、エンドユーザーの消費マインドはまだついてきている実感もある。従って足元でも活発な取引が出来る状況が続いている。しかしながら、当社としての目線は見失わずにもありたいため、この辺りのバランスには大変留意をしているつもりである。(今福取締役(首都圏))
 実は昨年度はこのエリアは不調な状況であった。その背景としては、地方都市は公示価格が急増している状況からも、この相場の高騰の流れにややついていくのが遅れてコロナ禍における仕入に遅れが出て、それが販売面として昨年の不調に繋がった。これを踏まえて、昨年は仕入のリカバリするため、これまでにない大規模物件等の仕入にも成功した。今期はこの分は期待できる。マーケットの変化についていくためにメリハリのある機動的なマネジメントを心掛けている。(太木取締役(北海道/東北))
 コロナ禍初動の頃においても大きな物件も扱っている最中であったし、仕入環境も金融機関サイドでも意見が分かれる中でも、当社のためにご紹介頂く機会等は継続していた部分もあり、そういうご縁をとても大切にして運営してきたつもり。コロナ禍で大変な時には攻めと守りというバランスにとても悩んだ中でも、我々と取引をしてくれる大切なステークホルダーの方とのご縁もあり、攻め要素を欠かさなかった点で今の好調があると感謝しているところ。足元では郊外での戸建て需要は在庫面を睨み機動的に対応をすることで、中心地を含めた二極化への対応を上手く取れていると思う。これまで在庫をもっておれば売れるという状況から変化が生じている部分もある中で、我々としては改めて出口を含めた慎重な議論の目線を失わず、また一方で当社を信頼してこれまでやって来てくれたパートナーとの関係性構築はもちろん、若手の営業マンの活躍機会を育成していく観点でも、多角的な視点に立ってオペレーションをしていきたい(森岡取締役(西日本))。
■考察
 各組織の営業本部の長の方が取締役となっています。各々の地域性を踏まえた実情と今後の展望について語って下さいました。まだまだフィージビリティが高いものばかりというわけにはいきませんが、無理をし過ぎることなく、また人材育成を含めた政策にも配慮がある点はよいなーと感じました。

★Q 自立自走で生まれた新たなアイデアの取り組みについて
 自立自走を掲げて、新規事業コンテストを通した展開をされている事は、社員や組織のマインド向上の観点からとても意義ある活動だと感じている。一方で新規アイデアを事業化していく上では御社の知見だけでは充足できない領域もあるのではないかと思う。コンテストを実施し、視座をあげて検討を進める上で外部の知見をどのように活かしておられるのか。例えばコンテストに向けた検討や実際の選定をする上で、どういう人材でそれをバックアップし評価してきたのか。またライダー向け宿泊施設は、昨今のライダー人気もあり期待もある一方で、人気があるからこそ、新規参入も多く、特に東海地域では多くのライダーハウスを目にするようになった。その中で、御社がこの領域にチャレンジする意義をお示し頂きたい。。
A
 自立自走というものを大切にしていることから、(社長直轄での活動としているものの)出来るだけ自立を促している。そのため、経営メンバーとして助言をする等することはあるが、最終的には全て関わっている社員に移譲している。こういう実例をもって、社内に新たなビジネスを創っていく、それを自立的になしていくという文化が醸成される事も期待している。もちろん事業化として収益面での評価等は経営メンバーとして責任をもって処理している。
 なお、今回女性社員発ということもあり、女性に特化していくというコンセプトにおいて差別化を図っていきたいと考えている。
 外部意見の取り込みということにおいては、元々このビジネス創造の取り組みは、外部講師による研修からスタートしているものでもあり、そういう意味で外部の人材の知見を活かすということや、社外取締役の方にも意見してもらう事で、より検討を深めた活動としている。こういうビジネス創造の機会というものが社内発でどんどん出てきて欲しいと期待をしている。
■考察
 外部講師の方や社外取締役の方からもサポート頂く機会もあったが、自立の整理は大切にしているつもり。まだまだビジネス創造マインドって一朝一夕には具現化されないので、今後も内輪で楽しいな、だけではない事業化検討を進められるといいなと思います。
 なお女性限定のライダーハウスという差別化でコンセプトを反映したようですが、どこまでマーケットサイズと機会があるのか、もう少し追報を待ちたいと思います。

4.さいごに

 質問者が少ないのが残念ですね。私も流石にこれ以上は質問しませんでしたが、もう少し株主総会も盛り上がるといいなーと感じます。ただ、現実的んは結構難しいのかもしれませんね。
 定期的に空き家問題なども報道されますが、そういうテーマ云々ではなく、権利調整という面倒なプロセスを敢えて取ることで、人のためになるような仕事でもあります。成長力も今の相場環境であればもっと成長×割安という株も多いですから、どうしても埋没してしまうのも仕方ないのかもしれませんね。
 まずは大量に積み上がった仕入物件を今期及び来期に向けてうまく販売に繋げていく事での収益計上を期待したいと思います。
 頑張れ、サンセイランディック!

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