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サンセイランディック(東1/3277) 株主総会レポート 2022/3/29

 東証1部上場のサンセイランディックの株主総会に出席しました。当記事では、株主総会の様子についてご紹介したいと思います。なお、当記事は私の個人的な心証に基づき脚色した内容であり、業界にも全く知見はないため内容の正確性は保証出来ない点はご了承頂ければと思います。
 以下画像より私のツイッターアカウントへリンクを張っています。記事の内容についてのご指摘、ご質問、感想などがございましたら、お気軽にコンタクト頂けますと幸いです。頂いた内容は、私の学びにもなりますのでぜひお願いできればと思います。
 なお、当記事は同社の株式の売買を推奨するものではありません。ご自身の投資判断に基づき対応頂けますようお願いいたします。

1.はじめに

 サンセイランディックの株主総会は、昨年はコロナ禍の下で都合も合わず参加ができませんでしたので、2年ぶりの参加となりました。だいぶ前の参加となりました。2年前の株主総会のレポート記事を以下に再掲しておきます。

 同社は、コロナ禍の元で業績にも影響を受け減益傾向となりつつも、一定の利益率も確保しつつ経営されています。巷では保存食のパンを優待として頂ける優待期待が高い同社の株式で、株価もこの年始からの低調な環境下であっても特段大きく売られることもなく安定して推移しています。まぁその分、レンジがそもそも低位で、万年割安株という扱いを受けているわけですけどね(笑)。
 もう少し収益を上げるといった所に貪欲になってもいいのではないかといつも思うのですが、成長を企図しつつも社内の厚遇や社会的意義の高い貢献活動がメインであり、いわゆるキャピタル目的で大量に保有するにはどうにも躊躇われてしまう側面が私の中にはあります。
 そんな同社ですが、コロナ禍に翻弄され、新たな中期経営計画の開示も1年延期をしてきましたが、ようやく直近で開示されました。その際には、企業の企業理念の部分からの再定義が行われました。

 ポリシーの部分は改訂されず、不動産を扱う事業者としてリーマンショックなどの業界的な危機を踏まえた持続可能性やアクセルを踏み過ぎないといった保守性の部分がきちんと残っているのは個人的にはよいなと思います。
 一方で、人と人の未来を繋ぐ先駆者となるというミッションは漠然としていますね。もちろんミッションなので、漠然としていて、ずっと長きに渡り答えのない理想を求める位置づけのものなのでこれでいいのですが、未来を繋ぐ活動として同社の社会貢献的な側面と事業社としての側面のバランスがとても重要な課題だなと改めて感じられます。この辺りをぜひ問題認識としてQAで投げかけたいなという想いで参加いたしました。

 会場は東京駅からすぐの三菱ビルです。お隣の意識高いAppleショップを横目にみながら入館です。

 株価も鳴かず飛ばず、そして中計でも元の収益にやっと戻るかどうかという数値目標ということで、優待を頂きながら放置する投資先というコンセンサスが多数なのかなと感じており、同記事もたぶん需要はないと思いますが、自分の理解浸透のためにも、貴重な時間を頂いた会社への敬意も込めて、自分に出来る発信は行っていこうという思っています。

2.株主総会の流れ

 まずは当株主総会の全体の流れについてご紹介しておきます。あくまで手元の時計でのざっくりしたものですので、大雑把な雰囲気を感じて頂ければと思います。

  10:00 定刻にて開会 (社長 松崎氏)
  10:03 株主数・議決権数の確認
      →6,672人/11,184人(59.7%)
      →56,575個/82,385個(68.7%)
  10:04 監査報告 (監査役 山口氏)
  10:07 事業報告 (PPT+ナレーション)
  10:20 対処すべき課題(社長 松崎氏)
  10:26 One's Lifeホーム譲渡に関する説明(社長 松崎氏)
  10:28 主に寄せられるQA(社長 松崎氏)
  10:31 議案上程
  10:36 質疑応答
  10:59 議案決議
  11:01 閉会

 冒頭には、招集通知の訂正についての案内がありました。受付でも定性内容の文書の紙を受け取りました。ちなみに受付には底地くんの着ぐるみはいませんでした。かつては着ぐるみの底地くんが出迎えてくれたのですが、人数も少なくさすがに…となったのでしょうね(笑)。参加株主は個人はたぶん2、3人だったのではないでしょうか。背広族が数名なので全体でも10人いなかったかと思います。

 議決権の行使ですが、行使の人数が増えていますね。過去は半分以下でした、行使された方は人数ベースでは6割近くになっています。とはいえ、議決権ベースではほぼ同じ水準です。議決権行使の際に、クオカード当たるキャンペーンが貢献しているんでしょうかね(笑)。それにしても議決権ベースでの行使率が69%ということで、これはちょっと低いんじゃんないかなと感じます。だいたい、投資先の会社をみてみますと、概ね議決権の80%程度は行使されています。もう少し関心をもってもらえるようなあり方を模索してもらうと共に、せめて議決権を行使してくれるような株主により恵まれて欲しいなと思います。

 事業報告はナレーションですが、決算説明の内容に沿った内容で、仕入や販売の状況、定量的な実績が淡々と説明されていました。株主総会という形式上、このような説明が必要なので致し方ないとはいえ、出席者を見渡した時、一体これが誰向けに流されているのかな、と妙な空虚感を感じてしまいました。いや、こういうのは形式的に割愛できないのでしょうからしょうがないんですけどね。

 また対処すべき課題については、社長が自らご説明されました。これはいいと思うのですが、基本的に招集通知の朗読会になっており、もう少し工夫があってもいいかなと感じます。書いてあることはこちらも読んできていますし、こういう場なので、経営者の目線でもう少し生の声というか危機感や期待感に熱を込めて語って頂けるとよりよくなりますし、そういう経営者目線の声をこういう場で発する事を続けていくことで、注目もされていくと思いますしね。

 One's Lifeホームの件は、総会直前での開示となったため招集通知にもなかったという釈明の後に経緯の説明がありました。そもそもこの件は、長らく私も問題提起を続けていましたし、その後の不正処理問題もあって益々リストラが規定路線となっていました。そして、普通は株主総会直前にこのような方針転換を示すというのは珍しいんですよね。ですから、余程、普通じゃない状況があったのだろうと感じていました。本来、中計の開示の際に同時リリースをしたかったのだと思いますが、譲渡先との調整や資産評価など、様々な面で現場の苦労があったものと推察されました。
 説明としては2015年から赤字が続き苦しい状況が続いていたという説明から始まりました。この時点でやはりリストラが遅すぎると言わざるえません。もちろん、そこで働く方々の姿などの背景は私も認識していますが、経営者としてはこの長い年月の体たらくぶりは大いに反省が必要だと感じています。
 何より、この後のQAも含めて、この会社を掌握していた専務でもあり子会社社長でもある松浦さんから一つも発言が聞かれなかった事は大変遺憾なことだなと思います。様々な取り組みをなされた結果として、成果が出なかった事は致し方ないとしても、こういう結果となった節目にあたり、一切の発言がないというのはいかがなものかと思います。

 審議の前に過去のミーティングで寄せられたQAを先に示して下さるのは毎回いい取り組みですね。とはいえ、汎用的な内容なので、その内容でへぇ、そういう事なんだ~とかいう発見があるわけでもなく、わくわく感はあまり感じないんですけどね(笑)。アナリストからの質問とかだと思うのですが、もう少し新しい発見があるようなやり取りがあるといいですね。まぁ私も最近は照会を控えていたので、ダメなんですけどね。ここで紹介されていた内容は以下の通りです。

・新型コロナの影響について
→新型コロナの影響で営業活動の抑制もあり影響はあったが、2021年は想定していたほどの影響はなく2020年比で見れば活動も順調に進んだ。2022年の活動にも大きな影響はないと思われるが、今後の感染状況次第では予断を許さない部分もあるため、業績影響を含めて必要があれば適時適格に開示をしていきたい。なお、これまで徹底してきた感染対策もあり、今後も影響は小さく運絵出来るものと考えている。

・中計の24年の定量目標の達成可能性について
→24年の目標は、コロナ前に策定していた当初の目論見である20年の目標水準となる。そのため、従前の取り組みを改めて行っていくことで、数値面の目標は達成できるものと捉えている。その上で、新規の取り組みをアドオンさせていくことにもチャレンジし、より確度の高い状況を作っていく所存。新たな取り組みとしては営業活動や収益の最大化に向けたデータ活用を含めた活動にも着手しており、これらの奏功による効果を享受しながら、25年以降に再度成長軌道を加速していけるように頑張る。

 はい、どちらも、なんというか説明資料読めばわかるような内容ですし、結局期待感を持てるような内容ではないんですよね。そもそも質問自体があまりに漠然としていますしね。

3.質疑応答

 ここから質疑応答です。質問の数などに制限はありませんでした。私は全部で7問用意して参上したわけですが、まぁ常識的に考えろってことですね(笑)。★印は私の質問となります。冒頭3問は他の株主のご質問でお一人で3問質問されていました。
 なお、QAの内容についてここにご紹介しますが、内容については大いに私の主観により編集されています。意図せず誤認している等の箇所があるかもしれません。ご容赦下さいませ。

Q 
 建築事業の現状はどういう状況か。また責任所在はどう扱うのか。今後の回復はどのようにみておられるか。

 先ほど説明の通り3/23に事業譲渡の開示をさせてもらった。今後は当社の連結から外れることになる。収益面では売上はその分下がるが、赤字が続いていたため、連結ベースでは利益の押し上げ要素となると考えている。
 なお、3/31に譲渡先への引き渡し予定となっており、現在、その対応を進める中で、経営責任についても明確化していくつもりであり、当然責任はあると認識しているため、譲渡後にきちんと示していきたい。
■考察
 え?さっきわざわざ個別に時間とって譲渡の件、説明がありましたけど…って思いました(笑)。しかも譲渡するって話なのに、今後の回復についてといわれても困るでしょうね。。。
 ただ、経営責任については、きちんと追及されるべきですので、この点はよかったと思います。まぁ当然そういうつもりがあるようなので、その点は今後見守りたいと思います(って言ってる最中、早速リリースでましたね)。ただ責任を取ればいいというわけでもないですし、報酬の一部返上とか降格で、別に経営側の給料が一時的、形式的に下がっても誰もハッピーではありません。経営責任は対外的に示すという形式論はあるにせよ、そもそも論として、リストラがここまで遅れた点での検証を行い、今後新規ビジネス創出を志向されている中で、活かしていけるような前向きな検討に活かして欲しいなと思います。責任とれーという声より、そこから何を学び会社として強くなるのかという点で有意義な教訓としていってもらいたいなと思います。

Q
 地上げの進み具合は順調なのか。今後も伸びる余地があるのか。

 (物件の進捗状況と受け止め回答する)
 大型物件は順調に進んでいる。コロナで影響もうけたが、今ではその影響はほぼない水準となっており、今後もそのような傾向が続くと思われるので安心頂きたい。
■考察
 敢えて、地上げという質問者さんの言葉をそのまま使いましたが、思わず吹きそうになりました(笑)。答弁で「大型物件は」という部分がひっかかりましたね。元々小さな物件も多く手掛けていく中で、最近では大型物件も手掛けられるようになってきた(チャネルの多様化などで)わけなので、では従来からあった中小型物件はどうなんだと突っ込みたくなります。そして今後の話もなんか身もふたもないようなやり取りですね。今後も伸びる余地があるのか?だけだと、伸びていくよう頑張りますしか、回答としてないでしょうからね。なんというかコミュニケーションの深度が不足しているなという印象です。

Q
 配当は今後も増やしていかれるおつもりか。

 株主還元は重要な経営課題と認識しており、説明の通り、今後も株主配当はもちろん、それ以外も含めて積極的に進めていきたい。
■考察
 これも形式的な回答にしかなりえませんね。元々安定的な増配を企図し、1円でも毎期あげていく、という方針を示していますし、そういう説明がありましたからね。一方、答弁の中で配当以外の面でも、というニュアンスに聞こえたので、今後自己株買いや優待といった所での還元策も検討されているのかもしれません。確か決算説明動画がどこかで優待もより長期の方に応援頂ける所へ報いていきたい、的な発言があった記憶があるので、何か考えられていることがあるのかもしれませんね。

★Q 新中計における個の力から組織の力への転換について
 個人主体から組織主体への展開により、人員増加に依存しない成長を示されており、要員数に捉われない成長を展望し、属人的なスキル依存を平準化する意味で良い方針だと捉えている。一方で、これまでも営業現場では業務の標準化やマニュアル作りなどを推進され、スキル平準化等の施策は進められてきたものと認識してるが、従来の取り組みに加えてどのような点を抜本的に見直す事によりこの方向性がより強固に推進されるのか。また、権利調整という業務の特質上、個々の状況への臨機応変の対応が求められる事が付加価値の源泉と認識しているが、そういったきめ細かい個の対応が生んできた付加価値が、組織化により希薄化してしまうようなことはないのか。

 上場してから一貫して人員数に頼らない成長というものを目指してきた。そして、人員増加に伴い収益も拡大基調となってきているわけだが、今後新規ビジネスも創造していく中で、今後も成長に応じて人員数を増やしていくのかという所が論点である。今後の成長ステージにおいては、より一人一人がボトムアップを図っていき(つまり効率を上げていく)、それでも足りない部分を要因増加に頼っていくというスタイルにシフトしていくべきと考えている。これまでは個で向き合わっていかねばならなかった事を組織戦で対応していく事により、効率化を図っていくという趣旨。
 具体的には社内でも取り組んでいる社内IT化プロジェクトのような取り組みで、従来アナログで対応していた部分をデジタル化していく事で効率をあげられるし、底上げが図れると考えている。指摘のマニュアル制定等も取り組んできたが、やはり紙ベースであったり、そのノウハウを活かすには結局膨大なマニュアルを読み込む必要があるなどまだまだ活用には課題があった点を順次見直していく事で改善余地があると考えている。
 ノウハウ共有の観点からもこれまでは逐一上司に確認せねばならなかった事をデジタル化したデータを端末で処理することにより省力化を図れたり、これまでどうしても有識者の頭の中にしかなかったノウハウの共有が図れるとよりこの施策も活かされていくのではないかと期待している。
■考察
 もし本当に要員増加に依拠しない形でのギアチェンジが行われるようであれば期待感も高まりますね。どうしても仕入の局面では要員数に依存したビジネスモデルですし、権利調整という性質上、人の信頼を得て取り組む事業です。従って、効率化といったものが時に馴染まないという部分も考慮して質問をしました。
 回答の中では当然、そういう付加価値の部分を念頭に置きながら、一方で人員増加に頼らない形での活用策として示されていることがわかりました。あとは、例えばデジタル化していく中で、ノウハウがきちんと引き出されるかとか、それが標準化として本当に機能するのかといった様々な課題もあると思います。そういう難しい部分を乗り越えながら、個人主体に頼らず、真に組織戦として取り組めるのならいいのかなと感じました。

★Q 新規事業の展開について
 新規事業では地域の再生という社会貢献という側面から取り組まれる姿勢には敬意を表したい。一方で、従来は空家や底地を基本的に住宅等に再販するというモデルの中で当社のノウハウは活かされてきたわけだが、今後扱う領域はペンションや町の地域再生という部分で再販ではなく運営をしていくといった部分で違った難しさというものがあると考える。こういったノウハウは人的リソースを含めてどのように展開されていくのか。特に先行して手掛けてきた石巻の復興支援の案件もUPDATEがない中で、新たな取り組みが社会貢献で終わらず、事業化していく道筋に心配な気持ちもある。社会貢献と事業化という狭間の中でのバランスをどう取りながら進めていかれるか展望をお伺いしたい。

 まず指摘の通り、我々に「運営」の能力はない。従って、ここは外部とのアライアンスで対応していく事になると思うし、より進捗がみられていく場合には、M&Aを活かしたより包括的な対応を視野に入れて取り組んでいきたい。
 石巻の件については、参入はしたものの、参画時期が遅かったこともあり、当社として手出し出来る範囲が限定的だった。しかしながら、石巻で実現出来なかった中でも得られたノウハウというものが多々あって、それを活かせるステージとして、ペンションや再開発支援の事業に取り組むという判断に繋がっている。
 収益面では確かにすぐに大きな収益を上げるというのは難しいとは承知しているものの、全国各地でこういった課題を持たれている地域はあまたあるわけなので、八幡平で得られた実績やノウハウを横展開していくことで、全体としての収益を時間をかけてつくっていくことで、粗利で1億円という程度の収益はまず目指していきたい。
■考察
 私の質問の仕方が下手くそ過ぎました。当然、アライアンスを組んで対応していく事はニュース等見ているので認識していました。その上で、ペンションの空室部分を借り上げて、そこで生まれる収益とのギャップを収益にしていくというモデルだけだと、借り上げリスクが増大でそんなに儲からないんじゃないのかということ、そして借り上げた主体である当社が、運営を単にアライアンスで提携先におんぶにだっこだけで本当の意味で価値創造が出来るのですか、という趣旨の指摘のつもりでした。もちろん、そんな理想通りにはいかないわけですが、当社が付加価値を産める部分っていうのがどこなんだろうと思ったんですよね。空室ペンションを借り上げてペンションオーナーのリスクを引き受ける中で、そこに何らかの付加価値をつけて提供できるからこそ、差益を取れると思うわけです。回答の内容だとなかなかそこがわかりませんでしたし、M&Aなんてもっての外だと思うんですよね。だって、運営のノウハウもない中で、当社がアライアンス先を仮にM&Aしてもなせることとか、シナジー発揮みたいなのが難しいと思いますし、スピード感を買うといっても生き急ぐ要素もない気もします。
 また石巻の件はちょっと嫌味みたいになってしまって我ながらいやらしいなと思ったのですが、やはり新規ビジネスにチャレンジしていくといった時に、石巻のような案件の振り返りときちんとやっているのかという部分での質問でした。回答内容からはそれなりに知見を得たというようなニュアンスが感じられたのですが、ここももう少し説明が欲しいところですね。
 石巻でなかなかうまく立ち回れなかったというのはいいのですが(よくないけどw)、そこからどういうノウハウを得て、どういう次のアクションに向けた議論があったのか、そういう部分での熱量をもう少し共有頂き、この中計で掲げた新規ビジネス創造といった時にも受け止め側としてもう少し盛り上がれるような要素が欲しいなと思うのです。今のままだと、また風呂敷広げて、なかなか先行き厳しそうな再生事業ですか、ってなってしまうと思うんですよね。多くの投資家にとって。もし本気で知見を次に活かすという熱い議論の先にこれが出てきたなら、そういう部分をもって発信していただきたいですね。

Q
 今期業績予想の中で建築事業の譲渡の件は織り込まれているのか。

 現在精査中という状況だが、前述の通り売上高は減少見込みだが利益は赤字部分がなくなる事で、増加要素となる見込み。加えて法人税や事業譲渡に係る損益の調整などが入る見込み。
 なお、中計目標については、元々当事業の寄与度は軽微と見込んでおり影響はない。
■考察
 まぁ織り込まれてないでしょうね。中計と同時にリストラについてリリースが出来ない位、まだ売却スキームも含めて緩かったんでしょうし、1ヶ月前の決算説明会では少なくてもリカバリを図るという趣旨での説明でしたからね~(笑)。法人税がなぜ下がるんだっけ?とか色々思いましたけど、まぁどうせ一過性の事象ですからどうでもいいです。それより、ここでの社としての意思決定の在り方など、根本的な部分での振り返りはきちんとして欲しいですね。責任取るから終わりとかではなくて。

★Q 営業力強化の施策について
 営業強化の施策について仕入販売の体制強化としてデータ活用を主体とした効率重視の思惑が感じられる。この事自体を否定するものではないが、そもそも仕入サイドでは個々の大型案件の増減が大きな波を作ってきたことも事実であり、一種のご縁のようなものの作用が大きかったのではないかと考える。そういう意味では巡り合わせの機会創出を増やす意味でのチャネル開拓や認知度向上といったむしろアナログ活動の方が重要なのではとも思う。このようなアナログの重要性とデータ活用というデジタルとのバランスについてはどのような認識を持たれているか。加えて、営業員当り取扱件数の向上にも言及があるが、物件の特性、権利調整の難易度等で件数でのパーヘッドでは測定が難しい部分もあるだろうし、個から組織へのシフトを志向する中で、そもそもパーヘッドで個の効率性を指標としていく意味合いを教えて頂きたい。

 当社のこれまでの営業活動は基本的に全てアナログベースであった。そしてこのアナログの中にも多大なノウハウが実は存在しているという状況でもある。そういったアナログ的な活動で得られた知見が各個人の頭の中の引き出しにしまわれていたという状況であった。これを是正し、まさに組織戦として取り組めるようにそういうノウハウを共有することを是とし、その共有されたノウハウで組織で成果が出れば還元されるという評価制度を含めて浸透させていく事を展望している。また、パーヘッドについても当然物件や人によってばらつきがあるわけで、これを平均してトレンドをみていくという部分と低位な部分の効率化策を考えることで、ボトムアップが図れればより件数も伸ばしていける可能性が出てくる。このようなことを志向していく上でも組織での取り組みとなり得る部分でもあり、パーヘッドを見ていくということと、組織化を進めるということは整合しているものと考えている。
■考察
 ああ

★Q 新中計の数値目標について
 新中計では様々な数値をお示し頂いており、ぜひ頑張って頂きたいと期待をしている。その中で、配当とROEの目標について確認をさせて頂きたい。まず配当については、DOE2.0%台を維持とあるが、現状2.1%となっており、この水準を維持するという意味合いなのか、あるいは2.0%台ということは3%に近づけていく事も念頭に置いておられるのか。敢えて2.0%以上とせず、台としている意図を教えて頂きたい。また、ROEについては9%の目標という事だが、コロナ禍前の19/12期以前は常に10%を超える水準を実績とされてきた中で、アフターコロナを見据え、回転率や利益率向上を企図している中では9%という目標設定はいささか控えめな印象も受けるが、この水準を目標とされた背景を知りたい。

 DOEとしては維持をすると捉えて頂きたい。どうしても業績のばらつきが生じ得るため、DOEで安定的な水準を示す意味合いで設定している。ROEも含めて下限として意識しており最低限のラインとして維持するというように捉えて頂きたい。
■考察
 現状維持がメインであれば2.0%台ではなく、2.0%以上位の表現の方が良かったのではないかと思います。まぁこんな細かいことを気にするのは私くらいかもしれませんけどね。2.0%と2.9%では結構違いますからね(笑)。またROEもミニマムを出されているという趣旨だったと思うのですが、これはもう少し丁寧に説明が欲しいですね。

 コロナ影響を受けている2021年実績と比較すると9%って向上しているようにみえますが、過去をみると10%をゆうに超えていました。アフターコロナになる中で、この程度に留まるのはミニマムという考え方にしてもちょっと控えめな印象があります。そして、財務レバレッジは当社の性質上からも高めないでしょうから、そうなると総資産回転率や利益率がコロナ禍前と比べて低位な状況になるともいえるわけです。営業方針として組織戦、効率化といっている中で、これらの指標がこの程度で留まるというのは説明としてはちょっと苦しいというか、何かフォロが欲しい所だなと思っています。

★Q 株主優待の長期優遇について
 株主優待もいつも楽しみにしているが、より長期で保有する株主への対応などに考えがあれば教えて頂きたい。

 現時点で決まっている事実はないが、最近の傾向をみればより長期の保有株主を大切にしていきたいという想いは常にもっている。その中で、より長期保有の方に報いていくということも、全体の会社の状況等を踏まえて検討していくことになる。
■考察
 これは質問というよりコメントとして最後に付け足したのですが、配当以外の還元も含めてという趣旨の発言が頭に残っていて、何か考えられているのかなと思って言及しました。まぁ当然こういう杓子定規な回答になるわけですけどね(笑)。社長が長期株主に報いたいという想いは以前からずっと認識しているので、まぁそういう部分でも検討頂けるといいのかなと思いました。

4.さいごに

 元々は理念の部分から策定の経緯とかも聞きたかったのですが、私の度胸では4問+1問が限界でした(笑)。本当は7問用意してあったとは白状できませんでした。

 QAの答弁は全て松崎社長が行われました。事務局のカンペもあまりなかったように思いますが、なんというか、他の取締役の方は一切発言がなく寂しかったですね。松浦さんはOne's Lifeホームズの件でご発言なさるべきでしょうし、これだけ営業方針について質問しているので、営業所掌の役員の方々にもご発言を頂きたかったですね。

 また、新規事業への期待感という意味でも、やはり今回の答弁を聞いても、わくわく感があまりなくて、社会貢献や地域支援という文脈ではとても意義ある活動をされているし、社員の方もしっかりされているしで、そういう部分ではいいのです。ただ、では大きく資金を入れて投資先として大きな価値向上を狙って保有をするというより、私の中では、少量を保有し、優待を頂きながらこの活動に賛同するというスタンスが一番居心地がいい感じだなと改めて実感しました。

 そして、この記事全般、私の率直な所感を書いたため、会社に対しては辛辣な部分が多数となり、その点、特に会社の方々の目に触れる事もあるだろう中で、申し訳ないとも思っています。ただ、これだけ株主総会も少ない人数でなかなか対話という部分にも課題がある中で、的外れだったとしても一株主としての声をきちんと届ける事は大切だと思っていますし、ここに期待感があるからこそ、こういう記載をしています。もちろん事実を捻じ曲げたり、単なる非難中傷をしているつもりはありませんが、今後の期待を込めてぜひ中計の達成というより、コロナ前を早々に取り戻し、その先に社会貢献的な活動の上に、一定の事業化による成果を享受できるよう期待をしています。
 頑張れ、サンセイランディック!

■おまけ

 同社のIR担当の方はどの方もとても親切なんですね。
 そんな中、以前より大変お世話になった中心的な役割を果たされていた方が、諸事情で退職なさるということで大変残念に思いました。しかも最後のご挨拶も出来ずでした。当時はエクセルファイル等も使いながら、私の拙い集計も共有させてもらいながら、議論に付き合って下さった事は、投資家としての楽しみの側面を教えて頂いたような気もしています。ポジティブなことなので、今後の益々のご活躍を陰ながら応援しております。
 また、総会の開会前に立ち話でいつもお話にお付き合い頂いていたIR担当の方とも久々にお会いしてお話ができました。私も最近は照会を控えていましたし、そのお方も諸事情がありIR業務から離れられていたとのことで、本当に久々でした。かつてはいつもお電話でつーかーで話をさせてもらっていて、私が長年株主として寄り添えたのはこのお方のお陰でもあります。
 そんな中で、某著名ファンドマネージャの方のお話をお伺いしたのですが、目線で会社のミクロな事、あるいは業績云々というより、マクロでの理解を繋げていく様にさすがだなと思われたという逸話をお伺いしました。様々な会社での取材でマクロな情報を点から面で捉えていくのだろうなと思います。私は常に総会となるとその会社の中身ばかりに目を向けて質問も草稿しますし、自分の視座の低さが恥ずかしくなりますね。でもこういう貴重な話も伺いながら年に一度、こうやって対面できる事はありがたい限りです。
 新たな(といってももう数年来参画されていますね)IR担当の方ともご挨拶させて頂きました。こういうご縁を頂きながら、会社に寄り添いながらその活動に共感していけることはありがたいですね。そして投資家なので、一定のリターンをちゃんと得なければなりません。そこは頑張ってもらわないといけないので、まずは株価をあげてください(笑)。

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