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ステップ(東証プライム/9795) 2023/9 Q1決算精査
東証プライム上場(9795)のステップが2023/1/30に23/9期Q1決算を開示しました。当記事で決算の内容を確認していきたいと思います。
なお、当記事に記載している内容は、私の主観により記載されております。従いまして、誤認や事実と反する点が介在する可能性があります。また同社株式の売買を推奨するものではありません。必ずご自身の投資判断に基づき投資行動をとって頂くようお願いします。
お気づきの点があれば、ぜひ些細な事でもご指摘頂ければ幸いです。以下のツイッターよりリプなりDMなりで頂けますと助かります。
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1.参考情報
まずは冒頭で参考までに同社の関連記事を再掲しておきます。
Q4決算の精査記事と、昨年12月に開催された株主総会レポート記事になります。株主総会レポート記事は超長文になっています。ご容赦下さい。
2.決算内容
それでは決算の内容を見ていきたいと思います。ただ、Q1決算という事と、大きく新たな論点は生じておりませんので、簡単にみていきたいと思います。
まず、財務数値からですかね。2桁の増収増益で特に利益の伸長が大きいです。お、バリュー株にしては順調じゃない、って事になるのですが、会計基準が影響しています。短信の中身にも記載がありますが、売上が312百万円底上げされているため、実質は5%程度の増収、利益面はほぼ横ばいということになります。えー利益はほぼ横ばいなのかってなりますが、一方でインフレ手当をこの期で支給しています。恐らくこの1Qで全額費用化していると思いますので、これを考慮すると実質的には5%程度の増益基調ということで、結果、いつもの安定的な業績でした、ということになります。
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一応、過去3期分と比較してみます。ここでは会計基準やインフレ手当等の影響は考慮せずに実数をそのまま転記しています。インフレ手当が原価か販管費かは確証が持てませんが、会計基準の影響を考慮すると粗利率は35.5%となりますので、こちらも前年からは減っているものの、高位安定ということになります。販管費率も5.3%ですので、様々なコスト上昇がある中でも昨年比同率とみえます。広告宣伝費が減り、光熱費等が増えている構造かと思われます。
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まぁこんなわけで、PL数値については、特に変調はないかなと思われます。
BSについては、まず現金が更に積み上がっており100億手前まできました。コロナ禍直後に不測の事態を考慮して積み上げてきた時よりも更に積み上がっており、これは株主総会でも議論があったように、今の株価水準を踏まえてどのように有効活用をされるのか、市場が求めているものと思います。もちろん、何度も言いますが、我々株主への還元をただ強化せよというつもりはなくて、むしろ、従業員の皆さんへのより積極的な還元等をまず優先して拠出して頂ければよいかなと思います。
それからこれは戦略的に一部を金融機関から借り入れをしています。金利上昇等の局面で、有利子負債へのリスク視、みたいな話もありますが、まぁごく軽微な話でしょうし、それよりベネフィットの方が大きいものと思います。
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生徒数の推移については、伸長はしていますが、昨年夏以降のコロナ再拡大による影響が続いており、その伸長ペースは緩やかなものとなっています。この辺りは予算策定時にも念頭に置かれたものでもありますし、何より大事なことは、ステップの教務力や塾としての在り方が毀損しているわけではないということ、そして、緩やかになっているとはいえ、着実にファンを増やせているという事です。ですので、大きな問題とは捉えておりません。むしろ、本格的に生徒さんが動き始めた時に、それを受け入れられる体制構築の課題、すなわち人材面の手当てが気になる所です。インフレ手当支給はもちろん、ベアも積極化していく姿勢を堅持されていますが、世の中的にもこのような動きが春闘の動き等を見ても顕著であり、より積極的な施策が求められるのかもしれません。
この他、ステップの短信の文章はとても配慮と熱意を持って書かれているわけですが、今回新たに追記された部分があります。それは合格者のみならず、家庭や生徒さんの信用を大切にする姿勢の部分です。昨年の合格実績においても翠嵐TOPを臨海さんに譲った事もありましたが、より合格率にフォーカスを当てた訴求をされていました。
特定の塾をさしたものではありませんが、一般論として往々にして学習塾側の都合によって志望校の誘導のような事は行われるケースも散見される中で、ステップは学習塾の都合より、生徒本位という事をとても大切にされているという事が改めて感じられる説明ですね。
とはいえ、合格率をきちんと担保しながら、合格者数でも傑出した成果を出される事を期待したいと思っています。いよいよ受験シーズン突入ですが、頑張って頂きたいですね。
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私はステップの株主ですので、やはり株価が上がって欲しいとも思っています。しかしながら、株価推移は長らく軟調な状況が続いています。以下は5年チャートで、TOPIXとの比較チャートです。
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5年期間でTOPIX(赤)をステップ(青)の株価は下回っています。投資家として一定のリターンを得ていかねばならないという中で、市場平均(ここではTOPIX)を下回るような推移を長期で得られていないということは忸怩たる思いでもあります。また、同業の中でもどうにも株が買われない事を悲しく思っています。
ステップ(9795)の株主としては同業他社の決算は一応チェックするのですが、金曜もリソー教育の決算がありました。その都度、学習塾各社並べてみるのですが、なんでステップだけ安いのかいつも理解できずに終わるんですよね。
— まるのん (@marunon_invest) January 21, 2023
リソー教育は株価は戻り基調ですが、下方修正ですね。 pic.twitter.com/AbFkbd8InG
とはいえ、自分の投資先企業が少なくても実直で極めて真っ当な経営をされており、実際に財務数値で結果は出されています。利益もきちんと出され、十分かどうかは議論がありますが、株主還元もなされています。そういう会社に投資を出来ている事は自分としては嬉しいご縁だなと思っています。これから少しずつでもマーケットから評価を高めてもらえるような活動が出来ればいいなとも思います。これは自分の利ということだけではなく、従業員の皆さんのストックオプションによる経済的なマインド向上等、広い視点で見た時に上場会社として価値を高めておくことは重要な事だとも思っています。
常に視野を狭めることなく、また想像力を働かせながら、些細な弱小個人株主として応援していければいいなと思っています。
頑張れ、ステップ!
(追記)一部追記しました
IR照会を踏まえて一部メモを残しておきます。
インフレ手当ですが、支給された48百万円のうち、ほぼ全額がこの1Qに計上されたようですが、ごく微額ながら1月に期ずれしたようです。また原価と販管費要素は従来の労務費と同様の仕分け(本部スタッフ以外の方への支給分は原価、本部スタッフに係る分は販管費)ということになるようです。従って、特に原価率もしくは販管費に偏重しているということはないようです。特別手当なので販管費なのかな、とも思っていましたが、そういうものではないようですね。
また夏期講習同様、コロナ感染による影響が冬期講習でも継続した状況だったようですが、夏期講習同様、全社一丸の体制で予定通りの講習をやり抜けたようです。細部には様々な課題があったものと思いますが、組織力が高い事が改めて実感され、この辺りは株主としては頭の下がる思いです。
とりわけかねがね課題となっている人材手当の件も、処遇改善の取り組み等きちんと意識された経営がなされているようですので、この辺りも安心しました。
2Qは単純に計算すると減益見込みになりますが、この辺りの構造も様々な複合要因もありますし、各種コスト高の影響等も不確実ですので、うまくバランスを取った経営が今後も継続される事を見守れればと思います。
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