見出し画像

Hamee(東証スタンダード/3134) 株主総会レポート 2024/7/25

 東証スタンダード上場のHameeの株主総会に出席しました。株主総会の様子について、当記事にてご紹介したいと思います。当記事は私の心証に基づき脚色されており、記載内容が意図せず事実と異なる可能性もあります。また、当記事は同銘柄の売買を推奨するものではありません


1.参考記事

 まずは同社関連の記事として、昨年の株主総会レポート記事を再掲しておきます。

2.基礎情報

 それでは株主総会の中身としてまずは基礎情報として当日のタイムテーブルと大まかな流れを共有いたします。

  10:00 開会 (水島社長)
  10:02 監査報告・議決権数確認(水島社長)※口頭・スライド投影のみ
  10:03 事業報告プレゼン(水島社長)
  10:10 対処すべき課題(水島社長)
  10:18 分社化(スピンアウト上場)についての説明(水島社長)
  10:23 議案上程(水島社長)
  10:25 質疑応答
  11:03 決議
  11:05 閉会
  ★閉会後に任意参加で報徳二宮神社境内でご祈祷に参加します

 昨年に比べると10分程度短かったですかね。質疑があまり出ず、そもそも出席株主数も少なかったように感じます。トータルで純粋個人株主は20人程度位でしたかね。まぁ小田原という地と、この酷暑を考えるとやむ得ないのかもしれませんね。毎年、1,2人は面識がある個人投資家さんもおられるのですが、今年は誰もいらっしゃらなかったですね。ちょっと寂しい感じがしましたが、ただ、これは後にも質疑で扱いましたが、開示の状況からするとやむ得ない側面もあるようにも感じます。
 議事進行はテキパキと進んでいきます。前日にリハーサルをされているとのことですが、きちんと原稿も用意されてはいますが、棒読みというより、伝わる内容だったなと感じました。

3.開会前のこと

 開会前は昨年と同じように、各事業に関わる展示ブースが設けられ、そこで社員の方々と交流を持つ事が出来ます。小さな疑問等をぶつけながらコミュニケーションを取れるのは楽しいですし、社員の皆さんにとっても新鮮なのではないかなとも思います。こうやって双方がいいなと思えるような内容になるといいですよね。コスメでは新たなスキンケア商品の紹介などもありましたし、ふるさと納税支援では、国の動向等も踏まえて、役員の方も一緒に対話をさせてもらいました。こんな感じで開会までの時間も結構楽しく過ごす事が出来ます。
 コスメは好調ですね。黒字化転換しましたが、今後は季節要因もこなしながら、下期偏重傾向となる中でスキンケアなど新商材がどう差別化できるか見守りたいなと思います。
 コマースについては原宿のアンテナショップでやはりインバウンド関連の関心も上手く扱えているようですが、であればその顧客接点をもう少し大事に出来るような取り組みがあるといいよね、という話もしました。
 ふるさと納税はポイント還元のルールが変わるといった中で、ひとつはふるなびのような元祖的な所に寡占化する可能性や、一方でニッチで自治体との連携深化という文脈で生き残れる道、みたいな話ですね。ただやはり規模を追わないと「成長」としては捉えにくくなり、本来の意義としては秀でていると思うのですが、投資家目線でみると大きな変化みたいな所はなかなか生まれづらいのかなと現時点では感じました。
 またNE全体としてはコンサル部門の状況についてもお話をしました。やはりグループ化による様々な組織運営における課題もあったようですが、それもようやく目途がついたような印象でもあったので、今後の回復の状況を見守りたいなと思いました。

4.質疑応答

 それでは、質疑応答の様子をメモで残していきたいと思います。冒頭で1回につき1問とするよう要請がありました、
 なお、繰り返しとなりますが、ここでの記載は私の主観に基づき脚色したものとなっております。従いまして、意図せず認識齟齬による事実との相違等がある可能性があります。あくまで参考程度にお読み頂いた上で、投資判断の際には、ご自身で調査、照会等を通して判断頂けますようお願いいたします。
 なお、私が投じた質問には★印をつけております。5問中3問が私が投じたことになりますが、もちろん、他の株主の方の発言機会を損なわないよう、慎重に行動をしたつもりです。また、時間的にはあと1,2問はいけそうでしたし、質問数は6問は用意していましたし、会場で更に3問思い浮かんだものがあったのでいくらでも投じる事は出来たんですが、空気を読めない私でも空気を読んでここで打ち止めにしました(笑)。

★Q 当社の強みと10年後の在りたい姿について
 当社はユニークなストラップの企画販売から始まり、ECプラットフォームの構築からコスメやディスプレイの新規商材、最近では脱酸素をテーマにした取り組み等様々な取り組みをされている。各商材で各々頑張っておられる事は認識しているが、一方で限りある経営資源を強みを持つ所にフォーカスしていく事も重要だと認識している。改めてになるが、当社の強みをどのように認識し育もうとされているのか、またその先の未来展望として10年後くらいをイメージした時にどういう姿でありたいのかという点をお伺いしたいです。Hameeグループの創業者である樋口さん、現代表の水島さん、そしてNEのリーダーになられる鈴木さんに各々お伺いしたい。
A
 Hamee(ここではNEを除くHamee社の事を指している)の強みは3つある。 

  1. マルチチャネル販売チャネル(卸売り、EC小売)の双方のノウハウを持っていること

  2. ものづくりにおける企画創造性に富んでいること

  3. ネクストエンジンを基盤にして複数店舗・チャネル運営を確立させているバックオフィスの運営能力に秀でていること

 この強みから、コスメやディスプレイなどの商材を扱う際の立ち上げから巡航化していく上でスピード感をもって対応できた。
 また、当然ものづくりという面では、あまたある製造業と比べて技術力等では見劣りをするが上流の企画デザインからものづくりを自律的に出来る点は強みであり、参入と撤退が激しい市場にありながら、生き残ってこられたのは自社企画商品を創造する力。

 10年後というイメージでは、ミッションとして掲げた「By your side, 人を彩るモノづくりと脱炭素の両立」を大事にしていきたい。ものづくりに拘る会社でありたいからこそクリエイティブ魂に火を灯して様々な企画を出来る集団でありたい。一方でこの事業そのものが廃プラを出す背景もあり、時代の流れの中で地球環境に事業という面で寄り添える環境づくりという事を考えていける会社でありたいと考えている。今後も新規事業へチャレンジしていく中にあっても、ものづくりを高めていくことと、その先に地球環境へ事業として関われる目線という2つの軸で事業を育んでいきたい。(水島社長) 


 だいたい水島社長の話の通り。我々は人を彩どるものづくりをしてきた中で、やはり製造や物流に至るまで環境負荷は無視できないテーマ。そしてこれは当社だけではなく、多くのものづくりをされている事業に共通した課題。この課題に対して、ネクストエンジンを生み出したのと同じようなプロセスで自分達のものづくりのプロセスで脱炭素を心掛けていくために必要な事を、我々が先行して行動することで、それを横展開出来る、そんな未来があるのかもしれない。日本の重厚長大な大企業がなす規模の違う対策ではなく、小さく始められる活動が生み出せればそれは大きな価値になるのではないかと思っている。
 それをHamee株式会社として(つまりNEではなく)創造していければ、それをNEのお客様にも提供する事が出来ればその小さな営みの価値が大きくスケールさせられるひとつの道筋になるのではないかと考えている。(樋口会長)


 NEはコマースに熱狂を、というパーパスにしている。Hameeの中でECで販売していく基盤を開発して、それを拡販する事になった事から事業が始まっている。その後API公開や基盤を介してお客様との接点創造を高めていったり、更にコンサルを仲間に迎えお客様の運営サポートまでを扱えるようになってきた。バックのシステム対応だけではなくフロントに至るまでを一緒に創造出来る体制作り、もしくはそれを更にチューニングして自治体向けにふるさと納税支援としてサポートできるようにと横展開もしてきている。こういった商取引にまつわるパートナーにタッチしていけるフィージビリティを備えているという事が強み。
 10年後という意味では、ネクストエンジンをリリースしてから5年で10倍のペースで拡大してきているため、10年といえば100倍、つまりあらゆる商取引に纏わる部分で関われるような未来を見据えていくことになる。今後も頑張っていきたい。(鈴木取締役)

■考察
 質問の意図としては、まず第一に多くの方にお話を頂きたい、特に創業者の樋口会長にはお話頂く機会を得たいという想いで質問しました。
 また分社化前というこのタイミングで各々の事業を預かる立場の方々が自社の強みを改めてどう認識されているのか、そして長期的な目線でどういう世界線を観ておられるのかという点を抽象度は上がってしまいますが伺いたかったというのもあります。
 加えて、最近も脱酸素の文脈での事業や新たなモールの企画等新しいことを様々なに成されていく中で、強み、経営資源という目線で見た時にどういう視点を大事にされているのかという事も知りたかったという所です。
 水島社長と樋口会長は主にコマース事業を主体としたHamee株式会社の目線、鈴木さんはプラットフォーム事業を主体としたNE株式会社の目線で回答を頂きました。
 恐らくこういう抽象的な質問は想定問答にもなかったと思うので、その場でお話をして頂いたわけで、だからこそよかったのですが、水島社長の中では強みの分析はきちんとご自身の中で腑に落ちてお話をされている感じがありました。
 一方でその強みをどう生かしていくのかという目線では、ものづくりに関わる者としての地球環境への配慮という部分がミッションにも併記されているように優先度が高いという事だと感じました。事業として関わるという部分にどういう関わりがあるのかという点はまだ解像度が高くなく受け止めも難しいですが、社会的意義という話でいえばすごく納得感があります。しかし環境をテーマにした事業というとどうしても儲からないというイメージが付き纏うのも事実です。上場企業として収益を確保・成長させていくという必要性がある事も事実で、この狭間でどういう姿でありたいのかという点は引き続き見守っていきたいなと感じました。極論をいえば、社会的意義に重きを置くとなった時、上場意義という所との兼ね合いも出てくるのではないかと思いますしね。
 それから、ものづくり×販売ノウハウという強みからすると、では自社企画商品の商材を拡げていくということなのかどうかもいまいちよくわかりません。この2軸の強みを発揮していくとなると、ニッチな商材で面白い企画商品を設計出来るかつそれを高いノウハウで販売体制を構築できるという点からすると期待するひとつのシナリオではあるのですが、いくら屋号を分けるとしてもSKUを増やすという事におけるバランスというものもある気がしており10年後にどういう会社になっているのかはまだまだ対話の中で解像度をあげていきたいなと感じました。

 樋口さんの話はより環境問題に重きを置かれた回答でした。今回の脱酸素に向けた活動がミッションにまで入るという事に大きく関われているのだな、と感じました。ストラップを売るために構築したEC販売システムを外販して生まれたネクストエンジンのように、ものづくりにおいて排出する環境負荷をうまく軽減させる仕組みをパッケージにするなどして展開するというようなイメージがあるように感じました。ここは常識的に考えると儲からなそうな印象ではあるのですが、ただ、この自分達の事業の中で必要だと思って創造したものをユーザーに横展開していくという発想でのアプローチが共通している点は面白いなと感じました。
 成功する事業とは、定説とは逆説的な所で生まれますし、他者が呆れるようなリスクやコストを投下するからこそ障壁が生まれるという発想からも興味深いお話だなと受け止めました。とはいえ、やはり一般的な目線からすると、環境問題という社会的意義にばかり重きが置かれ事業の成長とかを蔑ろにしているのではないかというような目線が向けられてしまう事は否めないとも思います。なので、かっこよく10年先の展望に向けて社会的意義と上場企業としての期待をバランスさせたより良い会社を目指して頂きたいなと思います。単なる脱酸素社会への貢献、だけに傾注してしまうと、上場企業としての期待という側面から見られた時にスマートではないとも思いますからね。とても難しいチャレンジだと思いますけど頑張って頂きたいなと思います。

 鈴木さんのお話は直接強み、という回答ではなかったのですが、私の解釈として、述べられていた生い立ちから現在までの拡張してきた歴史の中に強みがあるという解釈をしました。ただ、これが業務に精通したものがまさにスピンアウトのようにECプラットフォームを構築してきた、そこにコンサルや様々なシステム連携を施し拡張性を担保してこられたという、よくある一般的な話でもあります。むしろその中でカスタマサクセス創造に秀でている(コンサルの状況がまだまだ優位性を語れるほどには洗練されていないと思いますが)とか、デファクトのように使ってもらえるシステムになっているとか、何か明確かつ固有の強み、というものがまだ整理(説明)しきれていないのかなという側面も見られた気がします。今後上場準備を進めていく中で恐らくグロース市場を見据えていく事になると勝手に思っていますが、いずれにせよ高い収益性から成長期待を持ってもらうことによる価値創造こそがコマースからスピンアウトする意義でもあると思いますから、成長戦略を語られれる上で、改めて強みについて今後目指していく部分でもよいと思うので訴求ポイントをより解像度を上げて頂くと、投資家もより熱狂できるのではないかなと感じました。
 10年後の姿、という面においても過去の軌跡から10年後に100倍程度を目指す、みたいな話は正直、ちょっとイメージしづらい印象を持ちました。そもそも数の話をされていましたが、アカウント数のような数を追うべきものなのかなという点も気になりました。むしろカスタマサクセスを深化させて濃度をあげていく中で、みえてくる世界線のようなものがあるのではないのかなと感じました。ネクストエンジンを使うことで、EC機能の充足ということだけでなくそのユーザーの創り出す世界観とかモノ売りだけではないエンドユーザー接点を創造できる仕組みを裏側で支援できる、みたいな一種の差別化などによって使ってもらえる人が独自の光を当ててもらえるというような世界観なのではないかなとも思います。樋口会長が仰っていた脱酸素に資するノウハウを横展開というのもそういうことではないのかなと思うのです。アカウントを100倍にする、みたいな定量的な数の理論ではなく、もっと本質的に見定めるポイントがあるのではないか、と感じました。咄嗟にこんな抽象的な質問をしておいてなんですが、10年という月日を考えた時に、ECプラットフォーマーという枠組みで利用者数、みたいな箱ではなく、もっとワクワクするような事がみえてくると楽しいし、そういう世界観を目指しているのではないかなと感じました。

 3人の方にマイクを回せてまずは満足ですし、こういう抽象度の高いことでも、どういうものさしを持たれているのかという事もよく理解出来ますし、それを踏まえて株主としても決して出過ぎない中で、様々なエールが送れるといいなと思いました。
 そしてせっかくnoteのような記事も発信されているわけですから、こういうものをより解像度を高めて社内外に対して発信していただく事が、Hameeグループのよりよき指針を創ることにもなると思うので、単なる株主のよくわからん抽象的な問いかけを受け流さず、むしろこれをきっかけにして、よりこのような議論や発信が増えるといいなと思っています。

Q 海外におけるEコマース展開について
 中国も含めて海外にも様々なECサイトがあるが、今後の展開としてコマースの商材を海外ECで販売する、というような事を考えられているのか。
A
 現在、Hameeとしては海外ECへの出店はしていないが、子会社で韓国とUSにおいては現地のECで販売をしている。中国もHamee上海という子会社が規模は小さいが現地のECサイトをしている状況。今後拡大していきたい。
■考察
 現状では本腰を入れた対応はしていないですよね。USもHameeの商材というより雑貨など現地独自のものであったりもしますからね。そもそもiPhone自体がグローバルツールということもあり、一定のポテンシャルはあると思うのですが、ちょっともったいないなと思っていたりもします。
 というのは開会前のブースでも社員の方とお話をしていたのですが、原宿のアンテナショップに来られる方も一定数インバウンドのお客様が来店されお買い物を楽しまれているということなのですが、まずはそういう方が現地に帰られてからも顧客接点を持てるような機会がないというのは、らしくないと思うのですよね。しかもそういう客層の方との日々のコミュニケーションである程度トレンドや受け入れやすさなどの定性的な情報も得られると思うわけです。そういうものを上手く活用してマーケティング出来れば相応の機会創造はできると思うのです。
 むしろネクストエンジンをよりグローバル対応化していく道筋を作るという意味からも意義ある活動だと思うんですよね。実際ネクストエンジンのお客様も国内消費の中だけではなく、いずれはグローバル展開が求められる時が来るはずです(もしかしたらもう来ているのかもしれません)。せっかくグローバルツールの商材を扱い、かつ一定の需要もあると見込まれているのに、そこは韓国(は元々製造元なので当然なのですが)とUSの子会社任せになっているのか謎です。グローバルでのECサイト連携とかも視野に入れればと素人ながらに思うわけですが、さて何か難しさがあるんですかね…。

★Q IRの姿勢について
 私は当社が多くのチャレンジをされている事に敬意を抱いている。しかしながらIR姿勢として期待を高める事に傾注し過ぎではないかと危惧もしている。具体的に申し上げれば、毎年ローリングをかけている中計ついても26/4期の営業利益は昨年開示では33億、今年開示では30億となっている。また、25/4期の営業利益についても、かつての中計では59億を射程にして時もありながら、結果的に今期予想は21億という状況。様々な状況の変化がある事は承知しているが、こういった下方修正をしている点への言及が抑えられ、増収増益である点などポジティブさに重きが置かれた説明であるという印象を持っている。良きところは良いものとして開示する一方で、課題や想定通りいかなかった事は真摯に開示をなされた方が、結果的に市場からの期待を維持出来るのではないかと考えている。市場対話の在り方についてどのように思われているか。
A
 Hameeとしては過去においては計画数値など対外発表する者については保守的に出してきたという経緯がある。それはまだネクストエンジンとスマホケースという単一商材の2本立てである程度見通しがみえやすいという環境もあってそのような方針であった。一方で新しいチャレンジをしていく上で、新規事業として様々な商材を出していく中で不確実性が高まってきているというのも事実。そういう中で数値をどう出していくのかは試行錯誤もしながらの運営となっているのが正直なところ。そういう中で各進捗状況等も見ながらローリングをかける方が良かろうという事で更新をかけてきている。では、数値として保守的に出していくのがいいのか、意欲を持った者を示した方がいいのか、その狭間であるべき姿は悩ましい。今回の中計の見直しの後には様々な方からご意見を頂くことになり、社内の認識として前期の通期下方修正を行った時に一定のコンセンサスを醸成できていたという感触もあった。この辺りは外部目線として市場とのミスマッチもあると思うので、説明足らずであったことは反省している。今回の指摘も真摯に受け止めたい。
 今回の中計の見直しにおいては、NE社の上場準備に向けたコストを意識した上で計画を見直している。またHamee社においてもコスメやゲーミングの新商材も確度が高まっているということも反映している。
 IRの発信においてもこういった反省や様々な方からの意見を真摯に受け止め、ミスマッチが起こらないよう努めていきたい。
■考察
 かなり意地悪な質問をしましたが、残念ながら多くの投資家の方からみると、しれっと下方修正してるよね、という目線が多いのが実情です。私自身もIRをみても、とりわけネガティブな事や課題についての言及が少ないというのはとても気になっている所です。質問でも敢えて具体的な数値も挙げて嫌みったらしく取り上げたのですが、こういった説明はきちんとなされるべきだと思っています。
 投資家はどうしても経営成績としての数値、とりわけ利益水準にはとても拘ります。定性的な取り組みや社会的な意義ということはもちろん大事ですが、双方が両立するからかっこいいのであって、少なくても上手くいかない事はきちんと説明した方がいいと思うのです。特に是非は様々あるかもしれませんが、新たなチャレンジをされる中では当然想定通りにいかないことも沢山あると思います。それをしれっと下方させてうやむやにするのではなく、どういう点が上手くいかないのか、あるいは上手くいっているのか、そういう点をきちんと説明してその先に繋げていくという姿勢が感じられる説明であって欲しいなと切に願っています。それが面倒というか劣後するなら上場はしない方がいいと思います。少なくてもきちんと説明をすれば、結果的に下方修正に至っても受け止め方も変わると思いますし、長期的な信頼や期待感を維持・向上させていくためには不可避なことだとも思っています。
 これは定量的な話ばかりでなく定性的な部分で同じです。例えば脱酸素の文脈でまた新しい事にチャレンジされようとしています。それ自体はいい事だと思います。クリエイティブを大切にされている会社なのですから。しかし、では過去の新規事業であるHamicはどうなったのか、そういう説明もないわけです。Hamicが影を潜めていること自体の結果論でどうこう言いたいのではなく、そこからどういう反省や学びがあったのかを総括した上で、次に進むというプロセスを踏まないと(実際には社内で踏んでいるのだと思いますが、それを対外的に説明しないと投資家・株主には伝わらないのです)、アジリティが高過ぎてついていけません、みたいな捉われ方になってしまうのではないかと思うのです。アジリティを高めるためには、地道なPDCAを小さく回すという事が必須だと思うのです。別に細かなPDCAを詳らかに明らかにする必要はないですし、伝えられる事に限度もあるでしょう。ただ、今はその説明が皆無なんです。気が付いたらHamicという言葉すら見なくなりましたよね。これではまた新しいことをやっても同じ繰り返しではないかとみられてしまうのも仕方ないですし、せっかくそういうチャレンジに期待したいと株を買っても、その繰り返しでは離れてしまいます。そういう気持ちを伝えたかったのです。

Q スピンオフ上場に関する詳細について
 NEをスピンオフして上場する事になる点については、例えばいつ頃になるのかとか、株式割り当てをどのような比率でするのかなど方針を伺いたい。
A
 現時点では2025年中での予定に向けて準備をしているという事しか現状ではお伝えできない。また比率など詳細についても現時点ではまだ決定していない。国内でもコシダカHDさんが一度実績があるが、あまり実績がない中でどういう形になるのか、検討している状況。
■考察
 これは流石に具体的な回答は出来ないですね(笑)。この質問の背景はどういう所にあるのでしょうね。仮に何か回答があったとしてもあまり投資行動にも活かせないと思うのですが、どうなんでしょうね。

★Q 社外取締役の活動について
 社外取締役3人の方は、各々で場面において業務執行において必要となる様々なアドバイスであったり監督機能を果たして下さっているものと承知している。当社では常にチャレンジをするという文化の中で、とりわけリスクテイクしていくシーンも多いものと認識しているが、各々の社外取締役の方が普段の取締役会などのシーンでどのようにアドバイスをされたり、監督をされているのかという点に関心がある。可能な範囲でどのような役割を果たされているかエピソードも交えてお話を伺いたい。また水島社長には、社外取締役の方々の存在について充足できている、もしくはこういう所に課題があるなどの見解も合わせて伺いたい。
A
 公認会計士として、また他社としてファイナンスや経営実務の経験を活かして、監査法人との対応方法などで壁打ちディスカッションを行ったりしている。またUSでのPixioへの投資などの判断、バリュエーション評価等のサポートをしてきた。(染原氏)
 弁護士として、法的観点の対応について様々なアドバイスを差し上げている。特に改正法における対応として当社では直近でもロジを持っているため労働法の観点での対応に不足がないか、等の確認を行っている。この他労務としてもLGBTの対応、また女性としての活躍の点にも様々な言及をしている。一般企業への経歴もあるため、そういった感覚からの具体的な社内施策の提案等も行っている。(熊王氏)
 私は士業ではなく、広告代理店の経験から企業ブランディング等の面でサポートしている。私も含めて社外取締役は概ね2か月に一度くらいは取締役会とは別に水島社長と1on1でも経営全般について様々な意見交換をさせて頂いている状況。マーケティングの勉強会などにも社内の方と一緒に参加し、様々な実務面でのアドバイスをさせてもらっている。(吉野氏)
 3人の社外取締役の方と1on1で会社で起きている事や個別議題を持ちかけて様々なアドバイスを頂いているし、気が付かない所にも言及頂き助かっている。課題としては、会社として社外取締役の方に丁寧にインプットするという文化があまりないこともあり、より解像度を高く会社の状況を知って頂くための情報共有制度はより強化しないといけないと思っている。(水島社長)
■考察
 この質問は完全に全員にマイクを回すための質問です(笑)。これで全員がお話頂けたと思います。回答内容は当然、無難な回答になりましたが、1on1で取締役会とは別に会話をされているということなどもわかりました。
 Hameeは比較的リスクを取ってチャレンジする会社です。そういう意味では社外取締役の監督機能とアドバイザリーメンバーとして重要だと思います。その点でより社外取締役の活躍も垣間見れるようなことがあるといいですね。染原氏は過去のキャリアを拝見すると様々なご経験があり、もっとバシバシやってもらえるといいなと思いました(既にやっているのかもしれませんが)。バシバシってなんかふざけた表現ですけどね…。

Q 株主優待制度について
 株主優待制度については、保有株数や保有期間に応じて傾斜を付けるなどより工夫した制度設計を期待したいが見解を伺いたい。
A
 株主優待については悩んでいるという状況。今後分社化する中でもどういう制度設計を公平に出来るのかという点で議論をしている。
 Hameeは取り扱い商材が増えていく、NEとしてはエンサーモールの立ち上げによるtoCビジネスも立ち上がることもあるため、サービスや商品に触れる機会を創っていく事が大事。
■考察
 公平という言葉が出たのは、お、配当重視なのかと思いきや、機会創出に意欲も示されていたので、なんらかのものを継続されるのかなと感じました。
 いずれにせよ、前々から思っていますが、せっかっく新たな商材を生み出しているのに、優待が使えないのはもったいないですね。特にコスメなんかは体験する事で良さがわかると継続的な購入に繋がるチャンスもあるのにもったいないです。優待でByURの商品を試してみる、みたいな事は結構あると思うんですよね。原価率も低い商材であるし、広告宣伝の効果としても良いと思います。何なら金券の他にByUR体験キットとして固定の商品を選べるでもいいかもしれません。
 ECサイトの構築もしているわけですから優待券(クーポン仕様)もフレキシブルに対応できるはずですしね。まさかシステム対応でできないんだ、なんてことはないですよね。そうなるとネクストエンジンが大丈夫か?ってことになるんですが(笑)。
 株主数が6000人台で概ね安定していることもあり、ここから個人株主を大きく増やすというモチベーションがどこまであるんですかね。スタンダード市場に鞍替え済ですしね。そういう意味では株数もそうですが、保有期間で傾斜をつけた方がいいんじゃないかなと思いますけどね。どうなんでしょう。そもそも配当の方が、みたいなよくあるぐるぐるになりそうですね。

5.さいごに

 株主総会の運営としては、(他の株主さんがあまり質問をされないこともありますが)質問も相応数投じる事が出来て良かったです。開会前のコミュニケーションの機会も良いと思います。コロナ禍前の夏祭りイメージのものがあると雰囲気もより良くなるので小規模でも何か工夫があるとより面白いなとは思いますけどね。
 今回伝えたかったことは概ねお伝え出来たと思います。とりわけ株主(投資家)との対話については課題が多いと感じていますが、その点もちょっとストレートな物言いになってしまったかもしれませんが質疑で扱えたと思います。そして事後を含めて十分に趣旨は伝わった手応えはありました。あとは会社側がどういう姿勢の変化で今後活動してくれるのか見守っていきたいなと思います。総会の質疑外でのコミュニケーションも含めて伝えた事は以下のようなことでした。

湘南投資勉強会(神奈川なので固有名詞は1本にしました)などの投資家勉強会への登壇検討してみたら。
・下方修正や中計の修正等ネガティブな内容こそ、真摯に説明した方が結果的に株主(投資家)からの期待や信任を維持・向上しやすいのではないか。今のような良き部分にフォーカスしたものだけでは見透かされる。
・新しい活動にチャレンジするのはよいが、過去の振り返りもしっかり踏まえた活動になっていて欲しい(例えばHamicはどうなったのか、それの総括もなく次のチャレンジはせっかく良い活動でも理解されにくいのではないか等々)。
・脱酸素の文脈での事業化はハードルが高い。その中でチャレンジする事を否定はしないし頑張って欲しい。ただ、特に投資家サイドからすると懸念が台頭するのはやむえない。だからこそ丁寧な開示を今後も心掛けて欲しい。
・チャレンジは応援したい。そのためにリスクテイクもやればいい。そのためにも社外取締役を含めたより積極的な関わりがみえるとよい。
・社内により会社の目指す姿の共有や自律を促すような機会があるといいのではないか。クラシコムさんの組織運営とか参考になると思うけど。

 事後でのコミュニケーションも含めて想いは伝わったと思います。今後も頑張って頂きたいですね。会場等でお世話になった皆さまに御礼を申し上げたいと思います。
 頑張れ、Hamee!

[おまけ]小田原観光

 株主総会の閉会後は報徳二宮神社で会社の商売繁盛の祈祷を捧げるわけですが、有志で株主も一緒に参加出来ます。蝉がなく夏の昼に祈祷を受けます。

 今年の夏は、またいつもに増して暑くて、初めて市内の移動にシェアリングサイクルを利用してみました。が、それでも暑いものは暑いんですよね。しかし、それでも毎年のルーチンはこなしていきます。まずは鰹節屋さんですね。

 箱根の旅館への卸をしつつも小売もしてくれます。今回は混合節を購入してみました。出汁を引くのが楽しみです。そしていつもならここから小田原おでんなのですが、流石に無理です。暑すぎます。というのと今日から販売される海鮮丼に惑わされてみようかなと割高なのですが、お隣の早川まで足を延ばします。確実に車で行くところなんですが、チャリです(笑)。
 タクシーとかで移動するところなんですが、この日は絶賛株暴落中という噂で(敢えて株は見ないで過ごしていました)、お金もないのでタクシーなんで無理なんです。

 魚のテーマパークとやらでTOTOCO小田原というところまで行きます。

 たまには、割高な観光地海鮮丼もいいじゃないですか。2,780円!?

 ちなみにこの施設お土産も沢山あるのですが、とにかく高い。かまぼこも高くて手が出ない中、地元のちくわ屋さんのちくわが比較的安かったので大量にちくわを買いました。こんなにちくわ買ってきてどうするんだと怒られますね(笑)。

 再び灼熱の中、なんとか早川駅に着きます。途中、本当に熱中症になるんじゃないかと自分が心配になりましたよ。摘果みかんも100円でゲットして小田原市街に戻ってきました。

 小田原で初めて観光地らしい所にも行きましたが、とにかく暑すぎてダメですね。季節の良い頃に臨時株主総会を開いてもらうか、決算期を変えてもらいたいですね(笑)。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?