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Hamee(東証プライム/3134) 株主総会レポート 2023/7/27

 東証プライム上場のHameeの株主総会に出席しました。株主総会の様子について、当記事にてご紹介したいと思います。当記事は私の心証に基づき脚色されており、記載内容が意図せず事実と異なる可能性もあります。また、当記事は同銘柄の売買を推奨するものではありません
 記載内容に関するご指摘、ご意見、ご感想がございましたら、ぜひお気軽にツイッターにお寄せ頂ければ幸いです。


1.参考記事

 まずは同社関連の記事として、昨年の株主総会レポート記事を再掲しておきます。

2.基礎情報

 それでは株主総会の中身としてまずは基礎情報として当日のタイムテーブルと大まかな流れを共有いたします。

  10:00 開会 (水島社長)
  10:02 監査報告・議決権数確認(水島社長)※口頭・スライド投影のみ
  10:03 事業報告プレゼン(水島社長)
  10:12 対処すべき課題(水島社長)
  10:14 新中計説明(水島社長)
  10:18 スピンアウトの件の説明(水島社長)
  10:27 議案上程(水島社長)
  10:29 質疑応答
  11:12 決議
  11:15 閉会
  ★閉会後に任意参加で報徳二宮神社境内でご祈祷に参加します★

 スピンアウトの件など説明事項が多かったものの、議案がシンプルだったので、質疑応答までの時間は昨年とほぼ同じ時間で進行しました。また、質疑応答については、昨年より20分弱多くの時間を割いて頂きました。
 会場での参加者は昨年はまだコロナ禍という事もあり少なかったのですが(純粋個人株主は20人弱くらい?)、今年は倍増していたと思います。元々コロナ禍前では、同社の株主総会はそれなりに参加者も多かったですからね。少しずつ日常が戻ってきているのですね。また参加者の中には個人投資家というより関係者っぽい方々も散見されました。バリバリスーツの機関投資家という感じでもなく、地元関連の支援者などなんでしょうかね。

 それから今年も開会前の控室では、サービスや商品を紹介するブースが設けられ、社員さんも多くいらっしゃり交流を持てるような企画がなされていました。この辺りの様子についてもこの後、簡単にご紹介していきたいと思います。
 また閉会後には、任意参加になりますが、役員の方々と一緒にご祈祷を受けるということになります。株主総会に赴いて、神様の前でご祈祷を受けるというのはなかなかユニークなものだと思います。

3.開会前のこと

 Hameeの株主総会は本社のある小田原で開催されます。そして毎年、報徳二宮神社内の報徳会館という場所で行われます。神前式の後に披露宴等を行うような感じの場所ですが、会議も出来るわけですね。駅からもそれなりに遠くて、この暑い季節を小田原城を周って赴くことになります。この後の観光の事も考えると、この暑さがなんとも辛いわけで、このために決算期を変えて欲しいくらいですね(笑)。毎年前日には、早起きをして青春18切符で行くぞ~ってなるんですが、だいたい朝起きると諦めて新幹線に頼ることになります(笑)。東海道新幹線の車内メロディがリニューアルしたということもあり、鉄道好きとしてはまぁそれを聞きながら行く事も悪くはなかろうと、口実を作って新幹線で向かうことになります。が、しかし、私が乗った新幹線はJR西日本編成で、この場合、変わらずにいい日旅たちが流れるわけです。結局、新たなメロディは聞けずでした(涙)。

 寝坊したのはもう一つ要因もあって、前日の夜にコモンズ投信さん主催のクラシコムさんのセミナーがあり、前日夜が既に更けていたわけです。こちらの様子はまた改めてご紹介できたらしてみたいと思います。

 さて、現地に到着し受付を済ますと株主控室に案内を頂きます。かつては、以下のような地場のお菓子やサイダー等が株主控室にしつらえられており、ブースでサービスや商品について社員さんと交流できる機会がありました。

 今年はまだコロナ禍ということもあり飲食を伴う形ではありませんでしたが、社員さんとの交流の場が今回はより強化されていたのはとても嬉しかったです。昨年は細々でしたが、今年は多くの社員さんがもてなして下さりよき交流の機会になりました。そして社員の方に混じって、水島社長を含めて役員の方もいらっしゃり会話をする事も出来ます。招集通知にはこの辺り一切案内がないのですが、せっかくこういう機会を設けて下さっているのであれば、ご案内したらよいのではと、水島社長にもお伝えしました。株主総会後の会社説明会の開催案内や、オフィス見学会をやりますとかいう案内が招集通知にかかれている会社さんも散見されますから全然いいと思うんですよね~。

 今年は株主控室に以下のように商品やサービスについて展示があり、社員の皆さんと交流を持つ事が出来ます。話に夢中になって、全部の写真が撮れなかったのですが、一部をご紹介したいと思います。
 みたいな感じで。

 最初に赴いたブースはふるさと納税支援の紹介があったのですが、写真を撮り忘れました(笑)。ふるさと納税って最近運用コストも込みでの還元を促すような動きが出てきていますが、この辺りがどういう作用をするのかなと、ふと思っていたのでそれを投げかけてみたりしました。同社のふるさと納税支援は規模もあまり大きくなかったり、ネクストエンジンを活用した効率的な運用を実現しやすいというところからみると、このような動きは案外好機になるのではと思いつつですね。思い付きで色々しゃべりまくってしまって、社員の方は温かく耳を傾けて下さっていましたが、困惑させてしまったかもしれませんね(笑)。

iFace商品群

 iFace商品についてですね。様々なキャラクターとのコラボ商品が可愛さがあるわけですが、私のようなおじさんとの親和性はなかなかないですね(笑)。ここでは主に原宿に展開するラボについてお話を伺いました。原宿という立地上からも後に照会するByURを展開したりするのも面白いのではと素人ながらに考えていたのですが、やはりまずはスマホアクセサリーのブランド深化に特化していくというお考えのように感じました。このラボには一度行ってみたいのですが、キャットストリートにいくだけでも浮きますからね…。

ByUR商品群

 ByURについてもご紹介下さいました。私も嫁さんにプレゼントしたのですが、そもそも何を買ったかはっきり覚えてなくて、しどろもどろになってしまいました(笑)。インフルエンサーの影響がとても大きな商材であるが故に、インフルエンサー本人への直接的な訴求はもちろんですが、専属のメイクさんなど、様々な訴求活動をされてきたと伺って、このあたりの立ち回りはご苦労も多いのだろうな(競合との差別化という意味合いからも)と感じました。とはいえ、大きなトリガが引かれた印象でもありますから、あとは製品力がより高まっていく事と、認知が拡がっていく事のスパイラルが上手くいくといいなと思いました。
 それから、最近ドンキホーテさんにシートマスクを並べるというニュースがありましたが、顧客層が合うのかなと思っていました。この点は、あくまで網羅的な商品展開というより、手に取ってもらいやすいシートマスクをまずはエントリーとしてByURブランドを知ってもらうきっかけ的な動きであるようですね。

Hamicサービス

 新規事業でかねてから課題の多いHamicですね。Bearの時代から見守ってきた感覚としては、端末もようやくこじゃれてきた感じですね。そして最近サブスク型が好調というお話も伺いました。やはり初期コストが高くなる事への抵抗感が高いようですね。確かにまだ小さい中でどこまで使えるものなのかとか考えるとまずはスモールスタートで使ってみようという存在が一定数おられるということなのでしょうね。私からはやはりそもそも認知機会があまりに少な過ぎるので、この辺りの課題対処を期待している旨を申し伝えました。
 あとは、決算説明資料にも一切表現されなくなってしまって、社員の方々にとってはモチベーション的によくないんじゃないかと思っていたので、株主でもちゃんと見ている人はいるから、と少しでもポジティブな気持ちになってもらえるといいなとお声がけしました。Hamicが中々うまくいかないにしても、それでも現場で頑張って下さっている社員さんもおられます。自らやっていることが、決算説明資料等で何ら言及がないというのは寂しいと思うのです。そういう想いをさせないためにも、コストをかけて活動していることもありますから、経営陣各位においてはIRできちんと表現してもらいたいなと感じています。IR担当の方にもお伝えはしているので、社長や会長が会社の代表として出す文書において、外からの目線だけでなく、内からの目線も意識していかれる事を期待したいですね。

Pixio事業

 Pixioについて話を伺おうと思ったら、まるのんさん、総会始まりますよと係の方が後ろから声を掛けて下さり、慌てて会場にINしました。話が盛り上がり過ぎて、危うく総会欠席になるところでした(笑)。とりあえず半導体不足解消してよかったですね~と一言だけ咄嗟のエールをかけておきました。なんかもう少し気の利いた事をお話すればよかったです…。

 こんな感じで、それぞれのブースで社員さんと交流を持つことが出来ます。中にはSNSで緩く存じ上げている方々ともお話が盛り上がって楽しかったですね。逆の立場だとどう思われているのかなとか思わなくもないのですが、私自身がコミュ障であることを自認しているので、出来るだけ嫌な存在にならないように努めていきたいなと思っています。とにもかくにも、より多くの方が来場され、様々なコミュニケーションを図って頂くことで社員さんの励みになったり気付きになったりという事になると思いますから、会社側もこういう機会をより積極的にアピールするとか、場合によっては株主総会以外の場で、株主との対話会的なものを企画してもよいのかもしれません。もちろん手間もかかる事ですが、個人投資家向けのIRとしてスピンアウトという注目を浴びる手法を進めていくタイミングでもあるのでぜひ頑張って頂きたいなと思います。

4.議事進行

 さて、議事について簡単に記しておきます。
 まず冒頭に議決権行使の状況や監査報告については、議長である水島社長が一言ずつ言及するに留めて、事務局や監査等委員からの朗読会は割愛されていました。同社では毎年この傾向で、この辺りは合理的でよいと個人的には思っています。最近こういう運営をする会社も増えてきましたけど、まだまだ少数ですからね。
 その後、事業報告と対処すべき課題について、水島社長がスライドを使ってご説明されていました。とはいえ、決算説明資料に沿った内容ですので改めて特筆すべきことはありません。ただ、初めて同社の事を知る人にもわかりやすい事業別の説明もあって、丁寧な運用であると感じました。特に会社の事業の事を知らずに参加しても、十分に理解しうる内容です。中計のローリングの結果についても開示資料に沿って説明があるため、開示の確認が出来ていなくても、キャッチアップできる内容になっています。
 そして今回の説明の中では一番重要だと感じていたスピンオフの件についてもこの場で丁寧な説明がありました。とはいえ、これも開示済の内容の説明の範疇ですから、あまり新たな情報はありません(当たり前なのですが)。ただ、やはりコマースとプラットフォームの両事業の性質の違いもあり、様々なシナジー創出を企図してきたものの、全体最適のロジックによって双方のポテンシャルを引き出す事への障壁というものは数年来の課題でありました。そんな中、先に両事業を分社化するという建付けになってきたわけですが、このプロセスにおいては、今回のスピンオフはある程度視野に入っていたものと思われます。税制面の課題等もクリアになってきた中で、このタイミングでの意思決定ということなのだろうと感じました。同スピンアウトにより理論上の価値按分により時価総額の状況等を鑑みた時、見合う市場としてスタンダード市場を選択するという説明も併せて説明がありました。

5.質疑応答

 株主総会での一番のメイン所である質疑応答です。冒頭で1回につき1問とするよう要請がありました、こちらは昨年と同様ですね。
 以下、各質疑応答の内容についてメモを残していきますが、この記載は私の主観に基づき脚色したものとなっております。従いまして、意図せず認識齟齬による事実との相違等がある可能性があります。あくまで参考程度にお読み頂いた上で、投資判断の際には、ご自身で調査、照会等を通して判断頂けますようお願いいたします。
 なお、私が投じた質問には★印をつけております。

★Q スピンアウトの意思決定について
 HameeとNEが分社化した際には社員から様々な不安の声もあったものの、現状では適度な距離感と一体感のバランスを保たれたものと理解している。今回スピンアウトでより独立したものを志向していくとなった時に、社員さんからはどういう反応があったか。今後両社が成長を続けていくにあたり、社員の皆さんがどういう心構えで士気を持たれているのかを教えて頂きたい。また昨年の総会でも伺ったが、創業者の樋口会長にも伺いたいが、これからより独立した会社を志向していくという中において、やはりマインドの火は燃え続けられるとお考えか。分社化から更に踏み込んでスピンアウトという事への想いをお聞かせ願いたい。
A
 分社化の発表の際には、社内で様々な反応があり、一定の不安の声等が上がった事は事実。しかしながら、その不安を含めた反応については、様々なコミュニケーションを通して時間をかけて各社の歩みという部分へのマインド醸成は進めてきていた。そのようなこともあり、既に分社化という時点でそれぞれの道を志向していくという環境が構築されつつあるという状況でもあり、特段このタイミングでの大きなネガティブな反応はなかったと認識している。(水島社長)
 (ご指名)ありがたい。少なくても自分はクリ魂は燃え続けているし、今回の意思決定によってより燃え盛るものと認識している。これまでもクリ魂は燃えていたわけだが、やはり質の違う事業において、求められるもの、レベルに差もある中であっても、時に全体最適という志向の中で、その火が最大限燃える事を阻害する要素があった事も事実である。このままでは本来発揮されるべき創造性というものが、全体最適の下でのルールによって十分に引き出せていけないという課題認識があり、ここへようやくひとつの解を出す事が出来たと捉えている。個人の燃やすクリ魂を制約によって小さくしてしまうのではなく、解放させてあげるという意味合いからも大きな一歩になると確信している。(樋口会長)
■考察
 実はこの質問は優先度の低い質問だったのですが、今回参加者が多かった事もあり、2巡目が回ってくるかわからなかったということから、創業者である樋口会長に一言発してもらう機会を損なわないように、1巡目に持ってきました。
 社員さんの反応は?という切り口でしたが、まぁやはりこれは規定路線だたという事の感覚を共有したかったわけなのですが、やはりそういう事だったんだなと理解をしました。その意味では、分社化の判断によりざわつきをもって流れた日時だったと思いますが、ようやく各社の歩みを本格的に、堂々と進める事が出来る、というスタートラインに立ったということなのだろうと思います。各社に沿ったミッションを掲げる等、外形的には各々の会社の特徴に沿った活動は既に着手をされてきたわけですが、いよいよ各社が異なる上場企業として独立性を本格的に発揮していくと宣言をされたわけですから、ここをスタートにまた一歩ずつ歩みを進めていって頂きたいなと思いました。
 樋口会長の答弁からは、昨年の総会でも火は燃えているというお話があった一方で、内側には悩みというか課題認識はあって、それをようやく公の場で発言され対処していくという事をお話された事は、特段投資家サイドにとって何か判断をUPDATEするようなものではないのですが、どちらかというと、こういう発言を株主総会の場で創業者である樋口会長がなされている、ということを、改めて社内IR含めて示して、士気向上に繋げていって頂きたいなと思いました。こういうご発言は、弱小個人株主の私が聞くより、社内でマインドを持った方が対外的な場での発言として受け止められると、各位がどう火をより燃やせるのか、という事を考えてもらえるきっかけにもなり良いのではないかと思います。
 私は質問の後に、こういう株主総会の様子を株主に向けてライブ配信をするとか、noteの記事で広く紹介するというような活動のリクエストもしました。もちろん、小田原という地に平日朝に参集出来ない多くの個人投資家への共有という意味合いもありますが、同時に社内に向けての発信としても有益だと思っています。ぜひ株主総会の場をもっと盛り上げて、そこを起点に何かを考えられるきっかけになれば嬉しいなと思っています。

Q スピンアウト後の両者の関係性とビジネス依存について
 スピンアウト後は、両社は全く独立した別会社、ということになるが、今後の関係性としてはどのようなスタンスなのか。またビジネス上、Hamee社のコマース事業はNE社のネクストエンジンを利用する顧客であることから、NE社はHamee社へのビジネス上の依存度が高くなる事で、NE社の市場評価を割り引かれてしまう事も想定されるがどのような認識か。
A
 スピンオフ後は、もう完全に別会社ということになる。現状では一部役員の兼任等もあるが、これも上場準備を進めていく段階を経て、完全に兼任は解消される事を想定している。しかしながら、分社化前からいる社員にとっては人的交流を持っている社員も多くいたり、部活動の活動等も現状は両社で共有してやっている部分までをも厳格に分けるのかなど、詳細はこの後整理をしていくことになる。しかしながら、両者の独立性やガバナンス上のオペレーションとしては、切り離されたとしても、個人的な人と人とのつながりという部分については、何もすべてを切り離して考えるということではなく、大切にしていけるものもあればいいなという思いは抱いている。上場準備を進めていく段階であるべき姿を整理していきたい。
 また、ビジネス上の依存度という点は、NE社にとって、Hamee社は現状では、5,700社以上の利用企業様の中の一ユーザーに過ぎないことから依存度が高いということはない。そして、ネクストエンジン立ち上げの初期においては、Hamee社がEC上で抱える課題をネクストエンジンに取り込む事で、ECプラットフォームとしての強みをブラッシュアップするという営みもあったものの、現状では、様々なEC事業者様にご利用頂くまでになっており、様々な声を製品力に反映する機会は十分あることから、収益以外の依存度というものも存在していないと考えている。(水島社長)
■考察
 独立した会社として、とりわけ両社が各々上場企業となるという事は、これまでの分社化という以上にハードルが高くなります。現状では分社したとはいえ同拠点を使っていることも、セキュリティ面等で独立性を持った運営にしないと審査が通らないとか、様々な制約が出てきます。だからこそ、各々が各々の状況に応じて運営ができていくということになるわけですけどね。そういう意味では、例えばビジネスから外れた部活動とかの扱いはなかなか整理が難しい問題ではありますよね。活動費を按分して会社が出すとかいう時にも、両社が独立性をもった収益管理含めた事務をしていく事を鑑みた時、どういう整理の仕方があるのか、悩ましいのだろうなと想像できます。
 依存度の話は答弁にもある通り、収益依存という観点は全くないと言っていいような気がします。あくまで一ユーザーですからね。また製品力を高めるシナジーという側面からみても、むしろEC事業者の中でも多様性が進む中で、様々な業態のEC事業者さんから声を聴く方がより多面的になるはずです。ですので依存度という意味合いからは無視して良いレベルなのでしょうね。

★Q モバイルライフ事業の状況について
 最近のスマホケース市場をみていると、ショルダーストラップ等の形態変化も相まって若者を中心に求めるものが多様化していると認識している。このような多様化が進む中で、アパレルを含めた様々な競合環境の下で、iFaceブランドがどのように対峙してシェア拡大、収益向上を目指されるものと考えているか。原宿のアンテナショップ設立等期待しているが、大きな潮流の中で見据えておられる成長戦略を改めてお伺いしたい。
 また多様化への対応となるとSKUが増えるという事になるが、SKUが増える事はオペレーションや販促等でも難しさがあると思うが、この辺りの考え方についてもお伺いしたい。
A
 iFaceブランドは既に一定の認知を得られているという状況下、主にケースしか扱えていないという課題認識を持っている。ケース以外の商材へのチャレンジという所は進めていきたい。昨年はこの新商品の展開という所が十分進めて来られなかったという点が反省点でもあるので頑張りたい。
 また多機種対応という点においても、最近はiPhone自体の値段が高くなってきており、ユーザーの選択肢も多岐に渡ってきているという状況もあるため、このような動向を踏まえて展開を行っていきたい。
 原宿のアンテナショップの件も挙げてもらったが、今後はiFaceを利用していない層にもリーチしていく機会というものも大切になってくると考えている。原宿というファッション意識の高い地域に出すことで、トレンドの先端となることで、インフルエンサーの影響も出せていけるような、憧れるブランドへと更に進化させていきたいと考えている。
 SKUの管理コストの件は、量が増えていくという構造だが、元々ストラップ屋時代の頃から見れば、今はピーク時から1/4くらいになっているため、管理コストの件が大きな課題だという状況ではなく、むしろ軽くなったという感覚である。とはいえ、SKUが増えていくことでの管理コスト増は不可避であるため、社内的にも設定しているSKU上限数なども意識しながら対応を取って参りたい。(水島社長)
■考察
 確かに昨年の商品展開はあまり進まなかったイメージがありますね。ショルダーストラップもだいぶトレンドから遅れてのリリースだった気がしますしね。この辺りはHameeさんの創造性という部分のコアな部分でもありますから、今期の状況もみながら、来年の質問事項の候補に挙げておきたいと思います。
 原宿の件はむしろ既存ユーザー層と違う層へのリーチというより、今の層へのリーチ深化だと捉えていたのですが、そうではないのですかね。若い女性層という部分が現状のコアユーザーとすると、原宿立地ってまさにそうだと思うのですけどね。むしろ銀座とか丸の内とかの方が、ちょっと違った層にリーチできるのではないかも思いました。
 SKUの話は確かに過去のストラップ屋の時代からすれば合理化が図れていると思うのですが、多機種対応やキャラクターとのコラボ強化となると管理面での議論がなおざりにならないか、という懸念のためにもこの質問をしたつもりです。総会でこういう質問を挙げておくことで、改めて社内基準を設けているSKU管理についても議論をして頂けるきっかけになるといいなとの想いです。

Q セグメント間の調整額について
 セグメント調整額が多額になっており、NE社がHamee社への依存度が一定程度あると認識していたのだが、依存度はないと先ほど答弁頂いた。このセグメント調整額とはなにものなのか。
A
 コマース事業における海外子会社との間で生じている部分。そして海外子会社とHamee社で決算期が1ヶ月ずれていることもあり、相応の金額調整額を計上するに至っている。従って、この調整額が、NE社とHamee社の間でなされている調整額であるということではない。(水島社長)
■考察
 恐らく質問者さんは以下の調整額をみて、Hamee社とNE社の依存を懸念されたのだと思います。ここにある連結調整は本部費用等の作用を考慮した利益項目ですね。

 そしてNE社とHamee社の間の依存状況を把握するためには、以下の短信の情報がわかりやすいかもしれませんね。ここでプラットフォーム事業の社内売上をみると6百万円程度となります。ですので、全体の売上からみるとごく軽微ということになりそうですね。

Q スピンアウトのスケジュール
 スピンアウトに向けたスケジュールの詳細を教えて頂きたい。いつ頃上場申請を行い、上場を目指すのかなどの概況を把握したい。
A
 リリースにも記載をさせて頂いたが、2025年中に上場申請を行うという事としている。現状で未確定でもあるし、審査のプロセス上の手続きで流動的な内容にもなるためこれ以上のことは申し上げられない。(水島社長)
■考察
 スケジュールは流動的ですからね。中々こういう場で回答を引き出すのは難しいと思いますね。もちろん、会社としては線表をもっており、WBSを引いているとは思いますが、開示は出来ないでしょうしね。

Q 為替影響及び海外における人件費増の影響について
 為替の動向によって受ける影響や、海外における人件費増の影響を教えて欲しい。
A
 為替については、影響を受けるとすると韓国子会社との間で円建て決済後のウォン転換時の影響である。現状では大きな影響をきたすほどではないが、今後の更なる円安進行ということがあれば、ヘッジ方法を含めて検討していかないといけないとも考えている。
 人件費については、米国で特に上昇が顕著であるが、米国の展開は主にEC中心ということで、労働力がネックになるという構造ではないため、直接的な影響は軽微である。(水島社長)
■考察
 為替影響で円ウォンを挙げておられましたが、仕入が多いこともあり円安はデメリットになりますよね。ただ、同社のコスト構造をみると、実は原価は低いという状況もありますので、価格対応等である程度調整は可能なのでしょうね。むしろ米国販売等での円安作用辺りは一切話題に出ませんでしたが、そういうものなんですかね。
 人件費については、元々労働集約型ではないこともありますし、海外拠点で大量人員が必要というわけではないので、あまり影響はないのかもしれませんね。

Q 中計について
 今回の中計目標数値は、スピンオフを考慮したものなのかどうではないのかどのように策定されたのか。
A
 中計目標はスピンアウトの発表の1ヶ月程度前に開示したものだが、当然のことながら、この1ヶ月でスピンアウトの件を発表したわけではないため、スピンアウト後の状況を踏まえて策定したものである。(水島社長)
■考察
 まぁスピンオフを考慮したものでしょうね(笑)。ただ、スピンアウトを考慮したとしても、そうでないにしても、あまり変わるものではない気もします。元々分社化が決まっていた中で各々の事業計画を合算しているという事を考えるとあまり総枠で変わるものではないかもしれません。
 ただ、完全に独立した会社となることで、管理部門などの人件費等は重複してかかる分、独立上場後の2社の数値を足し算しても利益はややマイナスになるのかもしれませんね。まぁこの辺りの事も踏まえて今回策定しているのかもしれませんが、それより遥かにトップライン起因の利益増減の方が支配的でしょうね。
 私はそんなことより、中計の説明資料でも、今回の総会の中での中計の説明の場でも、前回中計数値より数値を下方修正しているという点に言及がないのはよろしくないと考えています。こういう事をしていると、今回出した数値目標もまた、来年にはまた上下大きく変更するかもしれないという雰囲気になってしまい信憑性が下がります。もちろん、中期的な計画ですから環境の変化などで様々な変更が入ること自体は仕方ないと思います。しかし、変更をするのであれば、どういう前提が変わり、どういう目算で修正をしたのか、きちんと説明をした方がいいと思うのです。中計目標って、会社側は投資家と期待を共有してその長い目線で一緒に応援していって欲しいというメッセージだと思っています。ですから、別にネガティブな事でもいいので、それをきちんと説明を尽して欲しいなと思います。

★Q 新規事業と米国事業について
 新規事業は前期においても2.6億の赤字を計上しており、ずっとこのよう状況が続いている。もちろん新規創造という点で赤字になる事そのものは問題ないと考えるが、一方で、この投資が今後どういうように華開いて期待を寄せていけるものになるのかという観点の評価も必要であると考えているHamicなど新規事業についての投資も一定程度の範疇で継続されているかと思うが、この新規事業の投資の活動がどういう状況で、今後どのように収益貢献をされていくイメージなのか共有頂きたい。
 また、米国での雑貨等の販売においては、小売の棚取り等、販売チャネル面で何か前進がみられたか。価格調整等で利益を削りながらの拡販に頼っている部分も散見され、今後安定的かつ成長をどのように展望されているのか。
A
 新規事業において当社ではプロジェクトの数も投下コストも小規模ということもあり、網羅的に撤退基準や成功基準というものに照らして評価をしているというより、個々の状況をつぶさに観察を行い、評価を行いながら進めているという状況である。当然のことながら現状のiFace等の商材だけで生き残っていくということではなく、新たな商材やサービスを作っていくという事は大切であると考えているため、最終的に収益貢献となれるよう取り組んでいきたい。今回コスメがようやく収益貢献に向けた兆しが出てきているように、最初は生みの苦しみもあるかもしれないが、しっかり状況を観察しながら新規事業への投資を続けていきたい。
 米国の販売戦略については、EC主力だが、B2B(卸)にも力を入れている状況。オタマトーン等の雑貨が人気があり、現地にいき量販店との取引も始められるようになってきており、こういったチャネル開拓も進めていきたいと考えている。(水島社長)
■考察
 新規投資において撤退基準や成功基準を明確に設けていないという点はびっくりしました。ただ、個々の案件の状況を踏まえて機動的に判断をしていっているということで、無策という事ではない模様です。もちろん、既存事業だけで良いとは思ってないのは当然なのですが、投資は必要ですしその分利益を削る事自体は別にいいと思っています。ただ、Hamicのように毎期赤字を計上し続けているのであれば、その先の展望はこういう場で語って欲しいと思うのです。Hamic事業は決算説明資料から一切言及すらされなくなっており、この姿勢には厳しい目線を持っている点は認識してもらいたいという趣旨でもありました。冒頭の控室の部分でも記載しましたが、この事業にも大切な社員さんが張り付いて事業をしているわけですから、そういう社員さんが上場会社として開示している資料に自分の関わる事業について言及が一切ないという事を、どう感じるかという事を経営陣の皆さんにはよく考えてもらった方がいいと思うのです。
 米国の件は卸売りが徐々に良いという状況は良いのですが、やはりトレンドによって大きく盛り上がったり、シュリンクしたりという商材がメインになっていると事業の安定性という点でどうしても評価が難しいという側面があります。直近の決算でも値引販売のような形で凌いでいるという様相も垣間見えており、今後をどうしていくのかという点が気になりますね。

★Q カスタマサクセスの構築状況について
 足元でアフターコロナの潮流からEC事業者にとっては逆風下が続いているものと認識。このような中でネクストエンジン事業のカスタマサクセスに伴走する姿勢を改めて強化し、足元ではその成果が表れてきているように思えるが、この継続性や成長力を本来の姿に回帰するために必要と考えていることを教えて欲しい。
 またスピンアウト後、このような成長力回帰を背景にグロース市場への上場が視野に入るのか、この辺り、お話出来る範囲でお聞かせ頂きたい。
A
 (最後の取締役としての答弁について)質問及び発言出来る機会を頂き感謝している。NEの主力事業はネクストエンジンであり、この事業で大切なCS(カスタマサクセス)を注力するという方針で活動を行ってきている。背景としては、EC事業者さんは小規模スタートで徐々に成長していってもらうとうプロセスにおいて、我々がロングタームで伴走していくという事が我々の価値の源泉であると捉えている。エンタープライズへ注力していく方が、収益面や効率性から優位であるという事もあるが、それだけでは本質的な支持は得られないと考えている。やはり小規模事業者さんにも寄り添えてこその存在意義だと考えている。その中では一定のコストをかけることも大切であると考えている。顧客のリテラシーに合わせた対応力というものが我々の差別化要素であり、時代の潮流の中でどうしても一定の解約等も生じて成長力が鈍化しているように感じさせてしまっている部分もあろうかと思うが、我々としては自分達の価値を高めていく事に注力していく事が大切であると考えている。そのためにはコンサルティング等の強化も進めており、売上を作っていきながら、収益面を確保するという観点で料金テーブルの改訂を行い、より小規模事業者さんにも使いやすい訴求力を持って対応していっている。この取り組みにより、今後新料金テーブルの作用が入ってくるわけだが、足元でも支持が拡がるような兆候が感じ取れているという回復してきている状況である。但し、小規模事業者さんは続けていく体力が相対的に弱いということもあり、だからこそ我々の伴走力が試されているとも考えている。
 また、2024物流問題もEC全体からすると逆風下であるものの、我々のネクストエンジンが実装している自動出荷システムが作業の効率性という部分で貢献できる所が大きいと考えている。またこの問題への対応を踏まえて更なる状況も進めている所。(比護取締役)
 NE社のどの市場にいくかという話は難しいが、同社の事業は高い成長を目指していくという事に変わりないため、それを踏まえた市場選択をしていくということになる。(水島社長)
■考察
 ようやくネクストエンジンの件で質問出来ました。今回退任になる比護さんにもマイクを握って頂く必要があると認識していました。流石に他の方が何かしらネクストエンジンについて質問されるかと思っていたので、ここまで引っ張ってしまう形になりました。結果、比護さんもお話が出来た事をとても喜んでおられたと聞いて、本当に質問を差し向けられて良かったなと思いました。
 そしてやはり今回でひとつの区切りでもあり、またNE社のリーダーとしての想いが強い事が答弁のお言葉からとてもよく感じられました。小規模事業者さんをフォローしていくということは、ときに収益最大化という意味合いからすると良手ではないという事もあるわけです。実際答弁の中でもそれを感じさせるような内容もありました。コストをかけてでも、本質的なCSを追求する事を志向している辺りは惚れましたね(笑)。とはいえ、慈善活動をしているわけではないわけですし、収益をきちんと出して成長していくという姿勢も堅持され、だからこそのスピンオフでもあるわけですから、今後の展開に期待したいなと感じました。取締役は退任されますが、今後、NEスピンアウトまでの間も、株主総会にもふらーっと来て下さるといいなと思います。
 物流問題の件は自動出荷システムの強化が訴求点になるということがありましたね。これはいわゆる物流問題のドライバーの方の労働時間上限の件にはあまり関係しない認識だったのですが、何かここが論点になるのですかね。確かにドライバーさんが荷物の出荷待ちなどで無用に労働時間を消費してしまうとうことはありますが、自動出荷システムがここに大きな優位性があるという事にまで至るものなのかなと未だによく理解できませんでした。
 市場選択はまぁこういう答弁になりますよね(笑)。高い成長性を目指していくという事になるようですね。

★Q コスメ事業について
 4月には某インフルエンサーさんの影響から、予算比で大幅な超過がみられたとのことだが、メディア露出等が明暗を大きく分けているように思う。今後、同ブランドがコマース事業の基幹になっていく上で安定的に成長を持続するために必要なものはどういうものなのか?また需給が不安定な中で、在庫管理にも課題があると思うが対応はどうされていくのか。
A
 指摘のように4月に大きく反響を頂いて売上が急伸したということは、決算説明の際にもご報告させて頂いた通り。そして足元でもその反動で大きく落ち込むのかというとそういう事もなく推移をしているという状況。今回の件を踏まえて、全体的に売上のベースが一段上がったという認識を持っている。モール内のランキング等でも常に上位に入れるようになっており、小売店からの発注ロットの数量も変わってきている。従って、今後はこういった需給の状況を踏まえた管理オペレーションが重要になってくると考えている。6-7月はこのような急拡大してきている状況下で忙しく対応をしてきているが、足元でオペレーションコストも下げて効率化していけるような状況になっている。まだまだ広告等の状況によっても売上が増減する事はあろうかと思うが、今期中には利益を出せていけるような所へもっていけるのではないかと考えている。(水島社長)
■考察
 コスメはかなり手応えがある印象を受けましたね。最近嫁さんからも、そういえばByURというブランドを最近よく目にするようになった、と言っていたんですよね。急増した需要への対応となると、足元ではオペレーション等の混乱からむしろコストも先行してそうですが、このオペレーションが落ち着いてくるといよいよ収益化の兆しがみえてくるのかもしれませんね。

6.さいごに

 株主総会に参加すると様々な思いが交錯します。Hameeの総会の場合、社員さんとの対話機会というものもあって、自分が投資をしている会社さんで活躍している方々と交流を持てることは、経営陣の皆さんとの対話という事に劣らず程に印象に残ります。
 投資先企業が大いに成長して、沢山稼いでもらって、時価総額も大きくなってもらって、更に配当まで頂いてという事を当然期待もするわけですが、その前提として企業の温かみを感じる事も大事な事だなと私は思っています。
 同社に対しては期待するところ、不満と様々あって、主力の投資先とするにはなかなか難しい側面もあるのですが、毎年足を運び対話をする事が楽しいなと思っています。

 同社に対してはコロナ禍前の一時期注目され、こぞって個人投資家にも注目をされた頃がありました。しかし、今ではあまりそういう声を聞かなくなってしまいました。それは成長戦略や財務面の定量データの鈍化等様々な要素があるのでしょうが、少なくてもIRが今一度誠実さをより高めて、ファン株主が再び回帰してきてくれるといいなと願っています。
 頑張れ、Hamee!

[おまけ]小田原観光

 小田原に来ると必ず赴く籠常商店さん。かまぼこ通りに位置しており、趣きのあるお店です。店主のおばあちゃんが、今年も元気でいらして、しかも年に一度しか来ない私の事もきちんと覚えて下さっていて嬉しかったですね。ほんの些細な会話をしながら、こうやって最高の鰹節をお土産に出来る事がありがたいですね。ちなみに箱根などの老舗旅館にも出汁用の鰹節を沢山納入されているようですよ。

 本当は冬に来たい所ですが、この暑い中、小田原おでんを頂きにいきました。小田原というと海産物なので、海鮮丼などが多いのですが、値段が高いんですよね…。出汁も塩だけでシンプルにされている小田原おでん本店さんは、実はHameeで株主優待でお買い物をした時に、請求書の裏側か何かに小田原のグルメ情報の紹介があった中で見つけたご縁です。そういえば、最近はこういうのなくなりましたね。

 本当はもう少し色々練り歩きたいのですが、今年の夏は特に酷暑で、歩いているだけで命の危険を感じる位です。ですので、観光はこれ以上観光も出来ませんでした。

 地方の総会に赴いて、その地元を観光するのは楽しいですね。もっと多くの地方の会社にも投資をしていってみたいですね。

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