見出し画像

築65年の駅前ビルリノベーション「Marching bldg.」誕生の話

今日は3連休の中日、銀行的には休日。明日は、鳥取環境大学でゲスト講師を行うため、その授業準備をしながら、娘の小学校の学年行事に参加したりと慌ただしい一日となっています。今日明日は天気悪そうですが、明後日くらいから梅雨明けの様相、いよいよ夏本番って季節ですね。


鳥取駅前徒歩5分にある築65年の5階建てビルの活用相談をいただく

2018年ごろに遡りますが、百貨店の屋上リノベーションを皮切りに定期マルシェを開催したり、プロジェクトベースでまちづくり活動を開始していた我々に、1件の相談が持ち寄られます。
鳥取駅前徒歩5分の好立地にあるものの、築65年を迎える5階建ての遊休不動産のオーナーさんより、物件の今後の利活用について相談をいただいたのです。物件は1フロアーが約100㎡程度の5階建て、間口が狭く、奥行きが長い商店街建築の代表的なような物件です。現在のオーナーさんはご両親がこの地で長年ご商売をされており、上層階にご家族でお住まいになられていたとのこと。しかしながらオーナーさんも、現在は近隣に新たなお家を建てられており、外にお勤めであるため、数年前に商店は閉店、ご両親が他界されて以降空きビルとなっていた物件です。
通常であれば、不動産会社にご相談をされるところ、知り合いの不動産会社も無かったため、市役所に相談され、同じエリアでリノベーションまちづくり活動を始めていた僕らに話がつながったという訳です。

鳥取駅前の商店街に位置するビル、シャッターが締まり街から隔離された状態に
雑貨店だった1F部分
2・3Fは雑貨店の商品置き場の倉庫
上層階はオーナーさん一家が長年お住まいだった住居

ビル(資産)の今後をシュミレーション、そして株式会社まるにわの誕生

駅前の好立地にある物件であるものの、上層階は元々住宅利用であり、2階と3階も商店の倉庫として活用されておりました。既述のとおり、間口が狭く、上層階へのメインの階段は一番奥に位置し、通常で考えれば、ビルをフル活用することはなかなか難しい。
駅前であるため、更地売却すれば一定のニーズはあるかもしませんが、密集地における解体費を考慮すれば売却利益はそれほど大きくない。
一般的な賃貸市場で解決を図る場合、1・2階を飲食業(それも2フロアで200㎡程度あるため大手飲食業)仕様に改修して事業者募集をするということになることが多い立地でですが(奇しくもその後コロナ禍に突入し街から多くの飲食業が撤退しました、、)、元小売と倉庫から飲食店への改修は相応の投資が発生します。また駅前であるため、従来より地価が下がったとはいえ、毎年の固定資産税は一定の額を払わなければいけない(相続前は必要なかった税金払いが毎年発生)。
上記のような、建物特性やオーナーさんの事情を聞き取り、方向性としていくつかのプランをご提示しました。
そのようにして決まったのが、現在の契約形態。市場から比べてたら安めの賃料で僕らがビルを一棟借りさせていただき、ビル活用企画と合わせてリノベ投資費用は僕らが負担するサブリースモデルで事業展開を行うこととなりました。オーナーさん視点では固定資産税等の毎年の負担が無くなり、一方の僕らは投資リスクは負うものの、利用者が増えれば(サブリース先増えれば)有効な事業として成立します。
そうして一般社団法人としてまちづくり活動をしていた僕らは、改めて株式会社を結成し、「とっとりまちづくりファンド」から出資を、また自らが働く鳥取銀行から「鳥取市まちづくり融資」にて融資を、一部鳥取市と鳥取県から補助もいただき資金調達を実施、ビルのリノベーションに着手しました。

株式会社まるにわ 結成当時の役員メンバー (2020年6月)

Marching bldg.の誕生、人々が交流する場に


Marching bldg.として再生(2020年10月〜)

検討に2年ほどかかりましたが、2020年の10月にMarchig bldg.としてオープン(まずは上層階のシェアハウスがオープン、2021年4月に下層階のワークプレイスがオープン)しました。
リノベーション後の機能は「シェアハウス」と「ワークプレイス」となっています。「シェアハウス」については、このビルの立地するエリアが”鳥取民藝”の中心地であることを踏まえて、民藝的な暮らしをコンセプトとしました。また、「ワークプレイス」は、ワーケーション拠点と位置付けており、鳥取と都市部を混ぜる役割を担うことをコンセプトに運営しています。
このあたりのお話はまたの機会に詳しく書くことにしますが、いずれにしてもシェアハウスには鳥取大学や鳥取環境大学の学生が暮らし、ワークプレイスでは首都圏企業のサテライトが数社と地元企業が働く場所となり、外部から様々なイベント持ち込みもいただいており、多様な人が交流する場となってきています。
今年でオープンから5年目に入りますが、僕らの経営も今のところ順調です。
僕らはこのMarching bldg.事業に取り組むにあたり、リスクを感じながらも主体的に事業に向き合ってきました。その結果、オープン以後、色々な分野からお声がけ頂いたり、役割をいただく機会が増えてきています。今は、資本と機会を生かしながら、鳥取の街を面白くするための次の機会を考え続けているところです。

民藝的な暮らしをコンセプトにした「シェアハウス」
「ワークプレイス」ではワークというよりコミュニケーションを重視
ワークプレイスでは様々なイベントも持ち込み開催されています

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?