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靴の値段の意味が分かる!知っておきたい靴作りの流れ(3)

靴の作り方第3弾です。

前回まででつりこみという作業が終わり、靴のソールから上の部分が完成していました。

残りはソールを着ける底付けという工程になります。

8 底付け

釣り込みしたアッパーにソールをつける作業を底付けと呼びます。

ソールの種類

本格的な革靴のソールって一見すると木でできているのかな?って思うかもしれませんが、大体革かゴムでできています。

●革

革の場合、何枚も重ねることでヒール部分の厚みを出しており、革の側面が木みたいな質感なんです。

革のソールの良い点としては以下が挙げられます。

○見た目が上品

○吸湿性が高い

○歩いている時にコツコツ鳴るのが好きな人は好き

特に吸湿性の点は強くて、ソールもアッパーも中底も全部革でできている靴は非常に蒸れにくく、市場にはそういう靴はほとんどありません。

そのため靴=臭くなるという考えが一般的と思いますが、本格的な革靴は中々臭くなりません。

一方弱点としては雨に弱い、滑りやすい、クッション性が低いことが挙げられます。

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ジョンロブ LOPEZ

●ゴム

その点、ゴムのソールは蒸れやすいものの滑りにくくてクッション性もあるし雨にも強いため便利です。

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ロイドフットウェア ローファー ダイナイトソール


ソールの付け方

ソールの素材にも革かゴムかという違いがありますが、ソールの着け方にも色々な手法が存在します。

●セメント製法

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Nike Air Max 1 LV8


強力なノリでソールとアッパーを接着するもの。作業が簡単な為スニーカーなどの比較的低価格の靴に使われることが多い。

●マッケイ製法

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タッセルローファー ARNO スエード ブラウン

イタリアの伝統的な製法で高級ローファーによく用いられます。

アッパーと中底とソールを一度に縫い付けることが特徴でこれによりソールが曲がりやすく見た目も軽快になります。

水が染み込みやすいという弱点があります。

●グッドイヤーウェルテッド製法

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Church's CONSUL

高級紳士靴によく用いられる製法。

特徴はソールとアッパーが直接接続されておらずソールの付け替えが前提で作られています。アッパーが壊れないかぎり修理しながらずっと使い続けられることです。

またグッドイヤーウェルテッド製法の靴はコルク を中底の下に敷いているため履いているうちにだんだんと足の形に変形してきてフィット感が増してきます。

弱点としては厚みがあり履き始めかなりソールが硬く歩きづらいことや太めの堅牢な印象になることです。

●ハンドソーンウェルテッド製法

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UNION IMPERIAL別注/ハンドソーン/撥水/ストレートチップシューズ

ハンドソーンウェルテッド製法はグッドイヤーウェルテッド製法の上位互換のような製法で、アッパーが壊れないかぎりソールを張り替えることでずっと使い続けられ、またソールはグッドイヤーウェルテッドに比べて柔らかく仕上がり、見た目も細く仕上がり履きやすい製法です。

もともとメンテナンス可能な高級紳士靴の製法としてハンドソーンウェルテッドが先にあり、手間がかかるため自動化しようということでグッドイヤーウェルテッド製法が開発されました。

グッドイヤーウェルテッド製法はその自動化のためにどうしてもソールを厚くせざるおえず、これによりソールが曲がりにくく印象が無骨になるという欠点がありますが、ハンドソーンウェルテッドはそういった欠点の無い製法と言えます。

その分お値段も高くなってしまいますが、、


終わりに

他にも製法はありますがざっくり言うとこんな感じです。

高級革靴は高級な材料を使用しており、メンテナンス可能なように丁寧に手作業で作られているためとっても作るのに時間がかかりお値段も高くなってしまいます。

一人の靴職人が月に生産できる手製靴の数は3−5足のため、生計を建てるために一足20万円はしてきます。それでも決して高い給料をもらっているというわけでもなく売れる保証も無いため靴作りだけで生計を立てるのが厳しいのが現実です。

靴に20万円は高すぎると思うかもしれませんが、10年以上履き続ける前提で作られており、丁寧に使えば一生物です。それでいて履き心地や見た目のカッコよさも抜群のため、5年程度で買い替えとなるパソコンよりもコスパはいいのではないでしょうか。

いわゆるハイブランドの靴はブランド代がたくさん入っていてそれで20万円とかするかもしれませんが、そうで無い靴職人の靴は本当にそれくらいの手間がかかってその値段になっているため、もし一度高級紳士靴を買いたいと思った時は変に中間マージンの入っていない靴職人さんの靴をぜひお勧めします。

また靴作りに興味があるという方は靴教室というものが世の中には結構ありますので通ってみて1足作ってみるのがいいと思います。

より一足作るのにかかる手間を実感できると思います。

以上ざっくりとでしたが靴作りの説明をさせていただきました。

お読みいただきありがとうございます。


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