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現在地は分かってる。だけどあきらめきれない。

縛るもの


わたしにとって「なりたい」と「こうあらねば」と「こうでしかいられない」というのはかなり近い距離に位置しているように思う。
もう少し正確にいえば「なりたい」だけを信じていたいけれど、「こうあらねば」と「こうでしかいられない」が隙をついては顔を出すのだ。

小さいころはパン屋さんになりたかった。
そのときはまだこんなひねくれたことは思っていなくて、ただパン屋のにおいが好きだからという理由だった。

だけどすぐに純粋ではいられなくなった。

「なりたい」という純粋な希望には不安がまとわりつき、成長するごとに「こうあらねば」という強固で揺るがない頼りたくなるけど、がんこな同僚ぐらいちょっと厄介に思ってしまう感情が蓄積され、”大人”になると「こうでしかいられない」というあきらめのような自分への信頼のような感覚が生まれた。

現在地


今わたしは職業選択に悩んでいる。
今年か来年ぐらいには転職をしなくちゃいけなくて、それは期限が決まっているから今の時点でやらなきゃいけないことだが、

そこには
雇用形態、住む場所、住まい方、人との距離、これからの人生設計と、
多くのものが積み重なっている。

正社員で「あるべき」とか、娘として「こうあるべき」とか、私には「これしかできない/なにもできない」と思ったりして、「なりたい/やってみたい」という純粋さは影をひそめる。

新卒のときは「就職しなければ」と誰かから追われているような焦りの中、就職先を決めてしまった。入社の2か月後には仕事に行けなくなっていた。

2回目の就職のとき、こうありたいという自分の理想の姿にならってみようと思った。人に関わって支えられるような人でありたいと思った。純粋にも見えるが、そこは「そうあるべき」という岩板に囲まれていたのかもしれない。理想だけではやっていけないことにすぐ疲弊してしまった。今度は1ヶ月で行けなくなった。

職歴は脆弱なまま年数だけで重なり、わたしはもう「新卒枠」ではなくなった。スキルもない中途枠。「こうしたい」「でも不安」「こうあらねば」「次は”失敗”できない」「こうするべき」日ごとに変わる感情に振り回され、書類もまともに出せない。

じゃあ本当にやりたいことは?

そう聞かれたとすれば口からすぐ言葉は出てこないだろう。けれど頭に浮かぶものはある。きっと。

やってみたいこと

わたしは一年間ぐらいZINEをつくっている。個人がつくる冊子だ。自分がテーマも内容や題、判型、装丁、紙の種類や価格に至るまで決める。その基準はなんでもいい。

一年前唐突に二冊のマンガと一冊のエッセイZINEを持ってイベントに出た。売れ行きも良くないし、売れたとしてもコピー用紙で作ったもので200円から400円の価格だったから、出る方が大幅に多かった。それでも人に届く感覚を知った。自分が描いた絵や言葉に興味をもってくれて、こんなことがいいたいんだということを受け取ってくれる人がいた。今までの人生が開けて新たな世界を知った。

それから1年間。わたしはほとんどの時間を”創作”に費やすようになった。書いたり描いたりしゃべったり考えたりうなったり。休日はもちろんのこと、行きかえりの電車の中、昼休み、帰ってきてから寝るまで、”創作”で頭がいっぱいだ。

なぜなら伝えたい事があるからだ。別にわたしを知ってほしいわけではない。でもわたしを知ってもらうことで仕事になって生活が安定したらいいな、すなわちこれが”仕事”になったらいいなという思いはある。身の程知らずの自覚はある。一応。

それに「生きやすい社会になってほしい」と思う。
けっこう本気で。

どうやったら「生きやすい社会になるか」と思うけど、今ある仕事とか仕組みはその上になりたっているから、どうしても「こうあらねば」をきっちり着込んで週5日8時間働けないと厳しい部分が大きい。

だから、いっそ。

自分ひとりのためだけじゃない。
自分がウツになったことをきっかけに、
世の中には見えない蜘蛛の糸がたくさん張り巡らされていることに気付いた。目が変わったと思った。ウツになってよかった、とは思わないし、そのまま働けていたらどんなによかったかと思う。だけど、悪くない部分もある。だってわたしはこうやってかけるようになった。だから人に伝えたい。

同じように身動きがとれない人、息苦しい人、涙が出てくる人、悲しい人、つらい人、たくさんいる。私の周りにもたぶん読んでくれている人の周りにも。

別に変革者とか人格者になりたいわけじゃない。
でも変わったらみんな生きやすくなるならそのほうがいいじゃん?
そのためになにかできるならなんかしたいじゃん?

残念ながら今の時点でこんなちっぽけな自分が何ができるかわかっていない。でも変えたい。

そんな大志を描きながら今日も現実におびえ求人サイトを開く。
履歴書は軒並み落ちている。


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