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猫足バスタブにiPhoneを沈め、私はnoteを始めた。

ぼちゃん。

慌てて湯舟からiPhoneを取り出す。
いつかやるとは思ってはいたが、なかなか習慣は直せないものだ。

実家では風呂のふたを自分の体分だけあけ、ふたにiPhoneをのせSNSのチェックや漫画を読んだりするのが日課だった。湿度の高さは若干気になっていたが、iPhoneXの「生活防水」を完全に信じていた。
半身浴はダイエットに効果がないだのなんだの話題になったが、効果があるなしに関わらずその時間が好きだった。

だが、コロナで在宅勤務になったのを機に、半同棲から完全同棲となった(離れがたいとかそういう浮ついた理由ではなく、実家のネット環境がよくなかった&高齢の祖母との接触を減らしたかったというのは言い訳させてもらいたい)パートナーとの新居は、築48年のなかなか年季のはいったアパートをリノベーションしたもので、オーナーの趣味なのかなんなのか、なんと猫足バスタブだったのだ。おいおい。矢澤あい漫画じゃないんだから…。水回りは機能重視にしてくれよ…。とも思ったが、都内の駅ちかの1LDKにしては家賃も安く、部屋のインテリアが気にいったため、即決したのだ。

追い焚きなしの猫足バスタブにふたは不要というわけで、私の大事なiPhone水没保険がなくなってしまった。風呂の間ぐらいスマホ我慢すればいいじゃないと声が聞こえてきそうだが、お互い在宅勤務の24時間二人暮らしにプライベートなどないに等しい。貴重なひとり時間だったのだ。別にやましいサイトをみるわけでも、隠れて連絡をとる人がいるわけでもないが、SNSはよくても、漫画を読んでいるのを見られるのはなんとなく恥ずかしい。そんなわけで、同棲を始めてからは、猫足バスタブの中で連載漫画を読むのが日課だった。落とさなければ大丈夫でしょ。それがよくなかった。

漫画の画面でフリーズされたら困る。

落として直後に考えたことがそれだった。
幸い仕事関係のものは何もはいってないが、スケジュールもWEB、通帳もWEB、家計簿もWEB、様々なID,パスワードもWEB、持ち物が増えるのが苦手でなんでもかんでもスマホで管理している私は他に考えることがあるはずだが、その時は漫画を消すことであたまがいっぱいだった。

シュッ

なんだ。消せるじゃん。ありがとうiPhone。ありがとう生活防水。
びしょびしょのまま慌てて操作すると普通に動いた。漫画アプリも、下世話な話をしていた女子会LINEも閉じれた。な~んだ。よかったよかった。
すっかり安心しきった私は、パートナーの「なに!?どうしたの!?」の声に大丈夫大丈夫と答え、タオルで水滴をふきとったiPhoneで友人のインスタにいいねなんかしてから風呂の外に置き、いつも通り髪を洗い、いつも通りスキンケアをして風呂をでた。それがよくなかった。その②である。

…。

iPhoneが真っ黒の画面のままうごかない。リンゴもでない。充電してくださいマークもでない。それから私は(なんでさっき大丈夫っていったんだ…てか風呂でスマホいじってたんだ…)というパートナーの引き気味の目線に気づかないふりをしながら、ドライヤーをあててみたり(よくないというネット記事は後で読んだ)生米と一緒にジップロックにいれたりと思いつくことをしてみたが、うんともすんとも言わなかった。
ご臨終。1年半の短い命だった。

それから一か月弱、私はわけあってスマホなし生活をしている。
わけあって、と書いてみたが、大したわけではない。その場で手に入るiPhone11は私の手には大きいうえ(また水没というアホなことはしたくない)高額で、iPhone8をいま買うぐらいだったら…と、新iPhoneSEの発売を待つことにしただけである。マスク生活を強いられる今、指紋認証というのもいい。PCからLINEもSNSもログインできたため、完全に距離を置いたわけではないが、スマホからのアクセスのような気軽さはなくなった。いままでスマホに奪われていた時間が、ぽっかりと空いた。暇も最初は楽しく感じていたが、そのうち飽きてきて(わたしは元来暇がが苦手である)、もともと好きだった読書を再開してみたり、パートナーの趣味であるゲームを一緒にしてみたり、料理や運動で時間をつぶしていたがいたが、だんだん漠然とした「自分が停滞している感」に(スマホがあったら感じることもなかったのだろうが)堪えられなくなり、なにか新しいこと始めたくて堪らなくなった。そこで始めてみたのが、このnoteである。

noteを選んだ理由は他にもあるのだが、気が付いたら1800字以上も書いていたので、また別の機会にしようと思う。始めてみたところで、全然書けなかったらどうしよう…と心配していたのだけど杞憂だった。こんなに喋りたい人だったのか、自分。。

日常で起こったことや、思ったこと。自分の好きなものの話(インテリアや北欧のこと、観劇、音楽、カメラ…)など、マイペースに書き留めていこうと思う。長く続くといいな。

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