頑張れ小さなたまご、という距離感で
2022年 クリスマス翌日の夜
くっきり並んだ2本の線を自宅のトイレで眺めていた
1分ほど前、水平に置けと言われているが、尿がついているものをどこに置けと…と迷い、トイレットペーパーで拭き取ってから個包装の袋の上に置いたその、検査結果である
妊娠検査薬というものを使ったのは初めてではない
初めて使った時はたしか大学生の時だったか
生理が1日遅れるだけで、頭の99%がもし妊娠していたら、でいっぱいだった
あんなにヒヤヒヤしていたが、何事もなく大学は卒業し、社会人になり、結婚した
周りに比べて結婚が早かったことや、私が転職したこと、コロナの先がよめなかったことなどがあり、新婚時は2人でしばらく過ごそうかという方針だった
結婚して2年、さあそろそろ、と避妊をやめたが、驚くほど生理は正確に来た
学生時代はあんなにヒヤヒヤさせてきたくせに、さあいつでもどんとこい!と構えると1日もずらさずに来るだなんて、難儀なやつめ、、と思っていた矢先、4日ほど遅れた
不思議な感覚だった
ヒヤヒヤでもウキウキでもなく「そうだろうな」と思っていた
夜いきなり薬局で妊娠検査薬を買ってくると夫に伝えたが、夫もプラスでもなくマイナスでもない、いたってフラットなリアクションだった
心の中では「え…今から会社の同期の送別会いくのに…今日じゃなくても良くない、、、?」と思っていたのだろうが、これまで2年間行われてきた家庭内戦争の結果をふまえてのそれ、だろう
わたしも「そのために飲み会行かないでとは言わないから安心して」と先回りした
お互い家庭という小さな世界の平和のために成長したのである
結果ど「陽性」だ
ドラマのように大喜びしたり、涙を流したり、するのかと思っていたが、心はフラットだった
「なるほど、まずどこの病院下調べねば…」と頭が働くくらいにフラットだった
私はきっと怖いのだ
初期の段階では流産の確率が高いことくらいは知っていた
愛着を持ってしまったら、もしそうなった時に立ち直れないのではないか
夫もこの私の気持ちを理解してくれて、変に期待しすぎない、喜びすぎない、気負わない方針で数ヶ月は過ごすことにした
晩夏に産まれる小さな命のことを想像せずにはいられないけども、まだフラットな気持ちでいさせてほしい
そんな想いを込めて、
「頑張れ!受精卵!」
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