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散歩日記 |とある雑談

2月11日(土)。天気は晴れ。
誰もいない道を散歩していたら、向こうのほうから雑談が聞こえてきた。雑談、といったのは、それが気軽な会話だったというのもさながら、なんだか雑味のある声だったから。

えい
人はすぐ、つまらないだの言うものだな。しかし。

つまらないだのつまっているだの。
結局は、自分の頭の中で起きていることか全て真実だと思っている。だから、つまらないだのつまるだの言うのかも知れないな。
……いや、どちらかというと、真実が事実だと思っているのかもしれないけど。
えい
そうか、真実は人の数だけあり得るけど事実は一つしかないからな。つまり、自分の真実が絶対と思っているということか。
なんだか、この間そこへやってきた制服の男から同じことを聞いた気がする。あれは、警察って職業についていて、人が決めたルールから逸脱する人を捕まえる仕事をしているらしい。

ルールとやらは人が創り出した、その集合体内での真実のことではないのか?なんで事実の話しをしたんだろう。
えい
……ところで、事実ってなんだい?

たとえば、「1日24時間という等しい時間が与えられてる」ともいうけど、そういうことだとおもう。
えい
ずいぶん難しい話しだ。しかし、24時間って人が決めた単位だろう。宇宙でも同じなのかい?

いや、単位は違うかもしれないな。ただ、名前とか単位とかは違っていても、それは、つまるところ絶対的なものをどう分けるか、というだけのことだ。
たとえば「何かを成し得るには、人生は短い。」という人がいるけど、それは真実ではあっても事実ではない。結局それはその人の解釈だろう。
えい
そうか。わかりそうでわからなさそうで、わかる気もする。
……そういえば、ここのペンキ塗り直してほしいな。この間の嵐で、ずいぶん塗料が落ちたんだ。

たしかになぁ。最近あった耐震工事でずいぶん土台しっかりしたけど……。


これ以上聞いたら盗み聞きしてるって思われそうだな、と思って、
私は散歩を続行することにした。知らないうちに立ち止まっていたようで、汗がちょっと冷えていた。
それにしても興味深い雑談。

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