食事の関わりについて。
保育園で勤めて10年以上経ちますが、毎年必ず出会うのが、偏食をする又は食べないお子さんです。
悩んでみえる保護者の方も多いのではないでしょうか。
子どもと関わるすべての人に、少しでも参考になればと思い、保育士の私が子どもと関わった実例を元に、食事について記してみようと思います。
保育園で偏食があるとか食べないとか…。
子どもの年齢によっても違うし、家庭での生活リズムや育った環境、食事の経験によっても変わってくると思います。
現代はいろんな食べ物の文化があっていろんな食事のスタイルがあります。
偏食や少食の子どもが多いのもしょうがないと言ったらそうなのかなぁと思います。
それらを踏まえた上で、
私は子どもの
"好き嫌いを無くしたい”
というよりは、
"食べることを好きになってほしい”
という思いで子どもと関わっています。
マルちゃんが関わった『全然食べない子』
ある保育園で出会った3歳児の女の子は、前のクラスの担任から「全然食べません」と聞いていたお子さんでした。
偏食と少食を持ち合わせていて、初めは本当にこれだけ?!と思う量しか食べてくれませんでした。
その子の食事の様子を見ていると、食べ進めるのに時間がかなりかかるし、あまり食べることに興味がないような感じでした。
お腹が空いていない?
登園時間が朝早い方ではないし、もしかしたらお腹がすいてないのかもしれないと思いました。
保育園の整った日課(生活リズム)の中でたくさん遊べば自然とお腹がすいてくるのではないかと考え、外で身体を十分動かしたり、頭を使ったり、友だちや保育士と関わったりして、たくさん遊ぶ機会をつくりました。
食事がツラいもの?
家庭のように、大人と子どもが一緒に食事することで、子どもの食生活に関わること全般に良い影響を与え、子どもの「食育」にも繋がります。
勤めていた保育園では、特に食事の様子が気になる子どもは、保育士と同じテーブルで食事します。
私とその女の子は、同じテーブルで毎日一緒に食事しました。
「お腹すいたね」「おいしそうな匂いがするね」「〇〇な味がしておいしいよ」など、楽しい雰囲気の中で食事ができるよう言葉をかけました。
初めはその子が完食できる量を子どもと相談しながらお皿に盛り付けて提供しました。
少しずつ食べれる量が増えてくるとまた子どもと相談して量を調節しました。
一度もマイナスな言葉はかけず、急かしたり無理に食べさせたりはせず、
その子に合った食事の量を完食できた時は、「いっぱい食べて満足だね」「おいしかったね」と笑顔で言葉をかけました。
“日課”と“楽しむ”を意識して関わり続けた。
こうした働きかけを一年を通して関わり続けました。
すると、進級する頃には保育園の規定量を毎日完食できるようになり、クラスの中で一番に食べ終えることができるほどになりました。
本人も「いっぱい食べた」「お腹いっぱい」とニコニコ嬉しそうで、食事に興味がない様子はなくなり、“食べるのが楽しい”といった姿になってくれました。
マルちゃんの学び
これは一つの成功例です。もちろん一般化できるものではないですが、この経験から多くのことを学びました。
これをやれば食べれるようになると言った魔法のようなことは見つけられませんでした。このような姿が見られるようになるまでに、全然食べない日もあったし残すことも多々ありました。
ただ、“食事は楽しいもの”であるために、食べないことを指摘したり急かしたり無理に食べさせたりすることはせず、
一緒に食事する中で美味しさを共有する言葉かけや、その子なりに食べれたことを褒める言葉かけをして、継続して関わり続けた結果だと思います。
食事だけに関わらず、言われてすぐにできないことは当たり前で、子どもそれぞれのペースで関わり続けることが大切だと考えています。
経験の浅い保育士の方はどうしても“今できないこと”に焦ってしまうと思います。
次の日できる子もいれば、一年かかってできる子もいるし、もっともっと時間がかかる子もいると思います。
子どもを「いつかできる」と信じてあげて、自分の心に余裕を持ち、根気よく見守り続けることが大事だと思います。
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