見出し画像

時間の分断

「マァマーー!ぎゅうにゅっ」
YouTubeを見ながら4歳の息子が叫んだ。

「はいはーい!牛乳が、どうしたー?」
私はたまにこうして、知らないふりをする。

「ぎゅーーにゅーーーっっ!」唇を尖らせながら
もう少しだけ大きな声で叫んでみせる。

「かっくん。それだけじゃ、牛乳出てこないよ?」

しばらく、沈黙したあとで「牛乳くーだーさい」
と、ちょっと甘えた声で言った。

いつもなら、自分で取りにおいで。
と、言うところだが、今日は、なんだかやめておいた。

仕事が溜まっていた。
すぐに締め切りというものでもないが
終わってない仕事が、2つ以上あると
なんだかいつも、気持ちが落ち着かない。

それなのに、いや、それだからなのか
PCのジャーンという音だけを形式的に鳴らし
いそいそと掃除を始めてしまった。

(テスト前に、ついつい、模様替えしちゃってたなぁ。)

そんなことを思い出しながら、床を磨くことに集中した。

さて、そろそろ…と思ったら、隣の家から美味しそうな
匂いがする。

(はぁ。もう、お昼ごはんか。ご飯めんどくさい…)


逃げるように、スマホを手に取った。

最近、偏頭痛を頻繁におこしていたせいか
気圧が気になってしまう。
天気予報からの、Twitter…インスタ…note…と、
なんとなくSNSサーフィン。

「マァマーー。おーなかすいたーーー」

「はぃはぃ。ちょっと待ってね。かっくん何食べたい?」

「パーン」

「パンはね。無いんだよー」

「飴」

「飴はお菓子でしよ。ご飯の後。」


そんな話をしていたら、キャーーーと外から
なんだか楽しそうな声が聞こえてきた。

かっくんと一緒に開け放しの窓に駆け寄ってみると
近所の子どもたちが、水鉄砲で遊んでいる。
かっくんは、人見知りなのに、少し羨ましそうだ。

テーブルの上で動く、パソコンのスクリーン画面が
目に入った。

「まぜてもらう?」

「……」

「お外に出てみる?」

「……あのさー、しょうぼーしゃのさー
ママさー、背中のさー、お水の」

(あれか)

「わかった。持ってきてあげるね」


テーブルの上で動く、パソコンのスクリーン画面が
目に入った。


#小説風
#エッセイ
#日記
#子育て








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?