見出し画像

地域おこしのススメ! 地域と人と全国と(後編)

ローカル&グローバル


※この記事は前回の記事の続きとなります。


―地域を巻き込んだ取組みについて、こだわりや目的とすることは何ですか?ー

柿嶌 HEARTBEATってどんなこだわりもってやってるの?
小宮山 まず丸子はメルシャンのワイナリーがあるじゃん。だから外側から見ると、ワイナリーがある土地として認識される。でも実は、住んでいる人がそれをあんまり理解してないと思うんだよね。地元の人がそのワイナリーについて知ってないと、せっかく良いものでも価値が発揮できない。
というわけで「ワイン」をテーマに、ワインに合わせる「食」を開発しようと思いました。
そこで、自分たちがつくってた「米(ササニシキ)」で考えてみたんだけど、まあワインと合わない。
柿嶌 そうだよな。ふつうワインといったら肉だし。
小宮山 だから、地元の飲食店へ「ワイン」に合う「米料理」の開発をお願いしたわけなんです。そんな経緯で生まれたのが「寿司ブリトー」という料理で、ワインを中心とした地元の連携の一つの成果になったんじゃないかと思ってます。

柿嶌 自分も同じように六次化を進めてますね。地域にはそれぞれのプロがいて、花農家だったら花といった役割があって任せてしまえるんです。地域の連携っていうのは結局それぞれのプロがそれぞれの仕事をこなすことなんですよね。
小宮山 そういうプロをまとめるには、どうすればいいんだろう?
柿嶌 こういった地域活動は、関わってくるとそれぞれ責任が生まれるんです。そこが地域の面白いところで、そうすると産地の底力が上がる。それは突き詰めると個人の仕事が稼げる仕組みになるわけです。
なので、地域活動はちゃんと個人に還元されているわけなんですけど、個人がそれをやる意味を理解するまでが大変なんですね。

画像3


個人のこだわりというのは、他人には伝わりづらいものです。でも、それを分かってくれる人が、いわゆるファンというやつなのでしょう。
地域を活性化することで、最終的には自分の仕事も良くなるというのは盲点でした。
考えてみれば、豊かな土地ほど仕事がしやすいのは当たり前なことなので、それを築くこと、維持することは極めて重要なわけです。
それは地域全員で考え、守っていかなくてはいけないことなんでしょうね。


―地域での事業の改善点・可能性、今後取り組んでいくべき方向性―

小宮山 丸子は元々閉鎖的な地域だったと思います。それが今は先ほど柿嶌さんが言ったように、徐々に全体が動き始めている気がするんですよね。
柿嶌 「HEART BEAT」はある意味その象徴だよね。
小宮山 丸子で3年間やってきて、「HEART BEAT」のメンバーは全員が農家なわけじゃないですか。だからこそほかの地域を真似してるだけじゃだめだと思ってて。
柿嶌 団体として稼ぐのはもちろんだけど、丸子がフィーバするタイミングやモノがあればチームは納得するんじゃないかな。
リーダーの耕平だけが考えるんじゃなく、個人個人が勉強してるだろうし。
全員がプロなんだから、それぞれのメンバーがその地域のスターになればいいと思うよ。
小宮山 そうですね。今はワインというキーワードでまとめています。このワインにしても、それぞれが誇れるものであってほしくて、丸子に行けばその人に会える。
つまり「人そのものが商品」になってほしいと思っています。


変わりつつある丸子地域。
それは個人のプレイヤーが、それぞれプロとしてチームや地域に貢献しているからこその成果なんですね。

旅行の趣向は人それぞれですが「誰かに会う」というのは立派な理由で、人そのものが貴重な観光材料であるといえるわけです。


いいな!いっちょ私にも誰か訪ねてこないだろうか!

「あ、まるほろさん。集金です~ニコニコ」
「いい保険があるんですけどね~ニコニコ」
「あなたは○○を信じますか~?ニコニコ」

画像1



やれやれ、モテる男はつらいぜ!


―HBまるこへの期待、全国的な取組にコミットする先輩への期待―

〈HEART BEATまるこ、丸子地域に関して〉
柿嶌 今の段階では丸子はぼんやりしていると思います。商品を選ぶのはあくまでお客さん側で、ぼんやりしたまま商品をつくっても、毒にも薬にもならないものができるですしね。
だからこそ、やり切ればすごいことが起こると思う。極端なこと言えば丸子全部ブドウ畑にしてしまってもいいですよ。
その地域だけの、真似できないものを一つ作る。自分にとっては奏龍(日本酒)だったわけですが、一本通すことでお客さんの視点がはっきりすると思いますね。
鹿教湯温泉といった温泉地もあるわけだし、旅館の方とも協力できているから、もっといろんな人と絡んでいっても面白いんじゃないですかな。今の時代は、選ばなければ、食品が余っている飽食の時代ともいえます。

供給が足りている中、HEARTBEATとしてどこの需要に照準を合わせて、どこに幸せを求めるか。それを考えてほしいですね。

〈柿島さんに対して〉
小宮山 自分は大きなものが現れると右往左往戸惑ってしまうんです。そんなときはだいたい洋ちゃんへ相談してて(苦笑)
自分が柿嶌二号にはなれないことは分かってるし、それじゃダメだという気持ちもあります。だからこそ柿嶌さんには、自分の方向を示してくれる灯台的存在でいてほしいですね。

画像4



―今後の自分の活動、または将来的な上田ヴィジョンなどについてお伺いできますか?ー

小宮山
個人に関しては、今は変わるタイミングなんだと思っています。自分の中でつくるものが限定的だと思っていたので、地域のトルコギキョウのグループへ入りました。
次のステップへ進みたい、新しい品種にも挑戦する。
大御所の方々の仲間入りをするスタートラインなんだと思っています。
HEART BEATまるこについては、人が来る地域づくりをしたいと思っています。
ワインを飲むことだけがワイン文化じゃなくて、地域にワイン文化を築いて定着させる(テロワール)。それがHEARTBEATの役割だと思って発信していきたいと思っています。
まあ、柿島さんの言葉をパクってるんだけど(笑)
農業においていいものをつくるのは当然。そんな当然なことを、魅力として感じてもらえるよう頑張っていきたいですね。


柿嶌
いろんな活動をしてきて思ったことが、今自由に農業ができるのはなぜだろうかという疑問です。そして、それは昔の人が作ってきた財産だと思っています。
だけど農業は生み出す力が日に日に弱まっていて、やはり、先代たちがやってきたこと続けているだけだからなんだと思っています。
農家個人が目先のお金を追っちゃダメなんですよ。農家が声を上げて、農業の将来をどうしていくか考えていかなくてはいけない。
運動(地域活動など)は有機肥料みたいなもんなんですよ。そこにたどり着くまでに時間がかかる。
それに対して経済活動は即効性で金になる化学肥料なわけです。
二宮金次郎の言葉に「道徳なき経済は罪悪であり 経済なき道徳は寝言である」という言葉があるんですが、農業というもの全体が、今後どうなっていくか。もっと個人が勉強し、視野を広げて声を発していかなくちゃいけないと考えています。

画像5


―本日は貴重なお話どうもありがとうございましたー

柿嶌、小宮山:ありがとうございました


まとめ

地域という舞台であっても、全国という舞台であっても、結局それらを支えるのは一人一人の個人なわけです。その個人が成長しなければ地域は盛り上がらないし、将来的にはもっと大きく損をしていく可能性もあります。

なにも、一人一人がオールマイティである必要はない。ただ少し視野を広げて、今自分が抱えている当然の疑問について考えるだけでいいのだ。

それは誰でもできることなのに、その事を気づかせてあげることはなんとも難しい。

だけどそんな当たり前を気軽に話し合ったり、協力したりできる人の近さが、地域の魅力なんじゃないかな。

私も自分の住んでいる地域が、他の人にも好きでいてもらえるような記事を書いていきたいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?