見出し画像

共に考え、共に生かす。地域を彩る食と料理人

金曜日の夕方。
仕事は終わり、明日からの休みに心を弾ませ、自然と帰り道の足取りは軽くなる。
今日の夜は何を食べようか。晩酌にはどのお酒がいいだろうか。
浮かんでくるのは、楽しい未来予想図ばかり。

そんな平凡な幸福感を抱きながら上田市大屋駅を歩いていると、丸子へ向かう橋を渡ってすぐのところに、ポッと温かな灯り。
店内からジャジーな音楽が流れ、すでに始まっている酒盛りの楽しそうな声が聞こえる。
ちょうど腹が減っていいたところだ。今日はここにしよう。
私は誘(いざな)われるように、「うめや料理店」を訪れたのだった…。


という話を、店内のお客さんから聞きました。
私は車で来たのでもちろんお酒は飲めず、カウンターで粛々と今日の取材の用意。
大将の許可を得て、店内の写真をパシャパシャ撮影しているのでした。


はい。
今回は上田市塩川石井にある「うめや料理店」さんで取材をさせていただきました。
和食・寿司屋であるうめやさんは、HEART BEATまるこ(以下HBM)ともお付き合いが深く、新商品の開発や会の打ち上げまで、多くの活動でお世話になってるお店です。


ちなみに、冒頭で述べた通り、取材日は金曜日の夜。
ぶっちゃけ、うめやさんはめちゃくちゃお忙しいお仕事の中、合間をぬってインタビューにお答えいただきました。(本当にありがとうございます)


今回はHBMのイベントで提供してきた「寿司ブリトー」について。そしてそもそもお米とワインを結びつけることが可能なのか?


そんなHBMには欠かせない、「ワインと地域の食」についての話を、「うめや料理店・藤森さん」と「HEARTBEAT丸子・金子さん」を交えてお伺いしていきたいと思います。


ゲスト
藤森 一宏
うめや料理店
長野県上田市塩川石井2782−1
公式HP 
https://www.umeyaryouriten.net/

オブザーバー
金子 和夫
所属:HEART BEATまるこ
趣味:日本一キリンクラシックラガービールの販路拡大&消費



●お二人の関係性について教えてください


「同じ地域に住んでいる仲間です」
金子:ちゃんと話すようになったのは地元の消防団がきっかけだよね
藤森:そうですね。
金子:もちろん、同じ地域で子供のころから知っている仲なんだけどさ、うめやさんは一度、上田市を離れて、上田へ戻ってきて家業を継いだから。
藤森:そこで地域の消防団に入って、改めて金子さんと出会った感じです。
金子:同じ会や無尽(※1)に入ってるから、もうご近所付き合いだよね。そこからHBMの絡みで会食や商品の開発とか、いろいろとお願いするようになりました。

(筆者コメント)
小さな地域ということもあり、今いるお客さんも同じ無尽や消防のメンバーだそうです。
実際取材の中で、藤森さんはもちろん、金子さんも次々に入ってくるお客さんから話しかけられていました。地域というコミュニティの近さを感じることができ、うめやさんが地域にとって欠かせない存在であると分かります。
金子さんがおっしゃるには、うめやさん自身も、お客さんに合わせて、洋酒(ウイスキー、ワイン)を扱ったり、ジャズのようなオシャレな音楽を流したりして、新しく変わってきたとのこと。
既成の形にとらわれず、地域の憩いの場を守っていこうという、藤森さんの工夫を感じました。

※1無尽
複数の個人や法人等が講等の組織に加盟して、一定又は変動した金品を定期又は不定期に講等に対して払い込み、利息の額で競合う競りや抽選によって金品の給付を受ける金融の形態。
つまりは身内同士で会を作り、お金を貯めて旅行に行ったりするサークルのようなものである。(参考 Wikipedia)

●HEART BEATとの関りについて教えてください


「ワインと寿司屋」
金子:最初の絡みはやっぱり「寿司ブリトー」からだよね。
藤森:そうですね。HBMさんからご依頼があったのは、ワイナリーでのイベントの時でした。
イベントに出店するに際して「HBMが作ったお米を使って、ワインに合わせた料理を作ってほしい」とのお話を頂戴しましたね。
金子:このお店ってさ。お寿司屋さんなの定期的にワイン会をやってるんだよね。だからHBMのワインの企画があがったとき、僕がうめやさんを勧めたんだよ。
藤森:お酒自体に関心がありますから、「お酒に合わせて料理をつくる」という企画自体に興味はありました。その後、上田市にある3つの店舗で「寿司ブリトー」という料理を作ってほしいとのご依頼があり、料理人同士でディスカッションをして、それぞれのお店のスタイルで寿司ブリトーを作りました。

牛肉にチーズやアボカドなどが使われた「うめや料理店」の寿司ブリトー

金子:うめやさん的に寿司ブリトーを作ってて、気にした部分とかあるの?藤森:そもそも寿司ですからね(笑)。まず、ワインに海苔って合わないんですよ。だから海苔以外に何が合うだろうって考えて、薄い玉子シートを海苔代わりにして包んでいます。
金子 これはワイン会をやっている寿司屋さんだからこその感想だよね。
藤森:具材は牛肉のしぐれやチーズなど、使った食品はワインに合うよう揃えていきましたね。
金子:包装もこだわって、英字柄の包装紙を使ってオシャレなんだよね。手に取りやすいし、イベントでも人気ですよ。
藤森:正直、素材にもこだわっているので原材料的に予算が厳しかったんですが、宣伝費も兼ねて少しゴージャスにしてみました。採算が多少マイナスでも、それで地域が盛り上がって、寿司ブリトー自体の人気が上がるなら良い効果だったと思っています。

(筆者コメント)
ワインと寿司…。
両方とも高級なイメージのあるものだけど、確かに一緒に食べるものとしてはピンとこないものではありますね。
それをただ「合わない」と切り捨てるのではなく「どうすればワインと合わせることができるのか」と考えるところから、新しい商品が生まれるのでしょう。
交わらない二つを結びつける、料理人はさながら食品同士の仲人のようなものなのかもしれません。



ただ、ポテトサラダにりんごを紹介した奴はゆるさ――(このコメントは作者の一方的な感想のため削除いたしました)


場を乱して申し訳ありません。
さて、うめやさんがHBMとどのような活動を行ってきたか、簡単にご紹介いただきました。

それでは最後にHBMに対してのうめやさんの感想、そして今後のうめやさんの展望についてお伺いしたいと思います。


●今後、HBMと取り組んでみたいこと、期待すること

「もっといろいろな宿題を提案してほしい」
金子:とりあえずは、マルシェがまたあるからそこに参加してもらうよね。藤森:はい。
金子:またHBMからお米買ってもらうことになって申し訳ないけど(笑)
藤森:まあ、そうですね(笑)。ですが、寿司ブリトーのような宿題を振られる企画も楽しかったので、またHBM側からいろんな提案をしてほしいと思っています。そもそも米はワインと合わせるのは難しいので。
だからこそHBMはその決められた条件でよく取り組んでいると思いますし、自分も実験のような宿題を与えられて楽しめました。普段仕事している中では見つけられない観点だったので、そこはありがたいと思いましたね。
金子:キリンさんの支援が終わって、今後も地域に特化するなら、選択肢としてワイン以外のでもいいんだよね。もちろん基本はワインをテーマにするけど。
藤森:他には、地域の食材を利用した企画など、丸子地域のブランドをもっと全面に押し出してほしいと思っています。行政をもっと巻き込んで、飲食店以外にも道の駅などもコラボしたり、いろんなプランを考えてもいいんじゃないでしょうか。
金子:HBMのお米を学校給食で取り扱ってもらえたことは、一つの成果としてよかったんだけど、やっぱりまだまだ利用方法を考えないといけないんだよね。
このお店でも、寿司ブリトーがまだ定番メニューになっていないからさ。一般の方が気軽に手に取るような商品になれるようHBMも頑張っていきたいと思ってます。


「最後に、丸子地域で飲食店を営む店主の思いをお聞かせください」

藤森:商店街がさみしくなってきていますが、それでも店舗がありそれぞれが素晴らしいお仕事をされています。自分が生まれ育った町の、こういった景色を次の世代へ引き継いでいきたいですね。
他の店舗とも協力して、地域を盛り上げる話もしています。うちは町の入り口ですし、地域のためだけじゃなく自分のためにも、その火を消したくないなと思っています。


まとめ


農業を通じて地域の活性化を目指すHBMにとって、農作物を最大限に利用できる「料理」は欠かせないものです。

多くの挑戦をしていく中で、新しいものを生み出す努力や工夫を共に考えてくださる、うめやさんのような存在は、HBMにとってとても大切なものであると言えるでしょう。

信州は、はっきり言ってしまえばどこの地域でも農作物が採れる場所です。
その中でも上田市丸子はワイナリーがあり、高い日照条件のある畑があり、地域のために働く人々がいるという恵まれた地域。

その地域の資源を生かして、地域を代表するような商品が作れたなら、それは本当に素敵なことだと思います。

ジャジーな音楽の中、ぽっと明るい照明でお寿司を楽しめる。
地域を盛り上げる人々が、存分に羽根を伸ばせるお店。
うめや料理店に、皆さんもぜひお越しください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?